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西瓜糖の日々 の商品レビュー

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115件のお客様レビュー

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2022/01/21

多くのものが西瓜糖で作られている世界。 死後を思わせるような、<過剰でない>平穏な人々。 詩的な幻想ながら、藤本和子さんの翻訳が見事で読みやすかった。 なんとなく、長野まゆみさんを思い出す。もしかしかたらブローティガンがお好きなのかもしれない。 『ビッグ・サーの南軍将軍』もいつか...

多くのものが西瓜糖で作られている世界。 死後を思わせるような、<過剰でない>平穏な人々。 詩的な幻想ながら、藤本和子さんの翻訳が見事で読みやすかった。 なんとなく、長野まゆみさんを思い出す。もしかしかたらブローティガンがお好きなのかもしれない。 『ビッグ・サーの南軍将軍』もいつか読みたい。

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2022/01/08

ひんやりと、冷たい。つめたくて、寂しい。なのにぼんやりとした黄色いひだまりが感じられる。 ここは、どこなんだろう。私は誰なんだろう。そんなことは時にまかせて。あなたが呼んだままに。 時の流れは無常で、流れるだけで、とまらない。 ここで構築された世界を私は忘れたくないと思う。

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2021/11/20

翻訳がすばらしいな。一気に読んだ。村上春樹っぽいし、長野まゆみっぽいともいえる。こういう読書体験は好きだ

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2021/10/18

過度な感じが全くない、死後の天国のような世界には、常になにかに脅かされているような、ヒヤヒヤさせられるような、生暖かい恐怖のようなものを感じる。 リアルさの欠ける不思議な世界観のなかで進んでいく物語も、欠如している部分が多い。 村上春樹好きのフォトグラファーにこの本を教えても...

過度な感じが全くない、死後の天国のような世界には、常になにかに脅かされているような、ヒヤヒヤさせられるような、生暖かい恐怖のようなものを感じる。 リアルさの欠ける不思議な世界観のなかで進んでいく物語も、欠如している部分が多い。 村上春樹好きのフォトグラファーにこの本を教えてもらいはじめてリチャードブローティガンを読んだが、私なりの腑に落ちるまでもう少し時間がかかりそう。 アメリカの鱒釣りもいつか読んでみたい。

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2021/10/18

文学ラジオ空飛び猫たち第3回紹介本「アイデスと忘れられた世界」 文章が詩的で、素敵すぎます。不思議な世界設定がすごい。いろいろと疑問に思うことも多いですがそれでも惹きつけられるのはこの小説のすごいところだと思います。当時の社会も映していたんだろうけど現代にも当てはまる気がして普遍...

文学ラジオ空飛び猫たち第3回紹介本「アイデスと忘れられた世界」 文章が詩的で、素敵すぎます。不思議な世界設定がすごい。いろいろと疑問に思うことも多いですがそれでも惹きつけられるのはこの小説のすごいところだと思います。当時の社会も映していたんだろうけど現代にも当てはまる気がして普遍性のようなもの、時代に左右されない部分を強く感じました。人が歩み寄らない感じに通じるものがあるなと。 好き嫌いがはっきりわかれる小説です。途中からひきこまれて、最後はけっこうしんみりしました。解説で柴田元幸さんが、「これはほとんど死後の世界のように思える」と書いているとおり、この世界では死があまりにも身近にあるし、そもそも世界を構成するものが現実世界とは違っています。地球ではない星の話にも思えてきます。合う合わないは別にして、そういった別の世界を見せてくれます。読む人によっては、あとがきと解説を先に読んだほうがリタイアせずに読み切れると思います。 ラジオはこちらから聴けます。 →https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/3-eg1ane

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2021/10/03

静かでどこか浮遊している感覚に陥るような、はじめて味わう読書体験だった。 日常に疲れた時、この本に戻って、あるようなないような世界に思いをはせたい。

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2021/09/08

詩的・幻想的な世界観の短い小説。「西瓜糖の世界で」「インボイル」「マーガレット」の3チャプターに分かれる。さらにその内部が最短2行から5ページぐらいまでの掌編として区切られる構成となっている。 舞台は現実の世界ではない。"わたし"が住むその世界では建物・家具...

詩的・幻想的な世界観の短い小説。「西瓜糖の世界で」「インボイル」「マーガレット」の3チャプターに分かれる。さらにその内部が最短2行から5ページぐらいまでの掌編として区切られる構成となっている。 舞台は現実の世界ではない。"わたし"が住むその世界では建物・家具・服などさまざまなものが西瓜糖でつくられている。人口は約三百七十五人。人びとはそれぞれに仕事をもち、日々を過ごしている。かつては人間と同じく言葉を操る虎たちの時代で、"わたし"も虎によって両親を失っている。世界のはずれには果てしなく広がる<忘れられた世界>につながる入り口が存在する。<忘れられた世界>との境界にはならず者たちが集う。のどかな西瓜糖の世界を紹介する第一編に始まり、第二編ではインボイルを中心とした荒くれたちの登場が転機となる。 同著者の『アメリカの鱒釣り』はどう読んでよいのかもわからずに終わったのだが、寓話のような本作はかなり趣きが異なり、終わりまで物語を楽しめた。よく似ていると感じた作品があり、それは村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のなかの半分である「世界の終り」フェイズである。箱庭的な世界観、外部の存在、キーとなる動物など、物語の舞台に多くの共通点がある。また、"わたし"の語り口調とやや浮世離れした言動も村上春樹の比較的初期の作品の主人公たちと相通じる。恋人との語らいの様子なども同じく近しいものがある。それ以前から村上氏がブローティガンの影響を受けていただけでなく、もしかすると『世界の終り〜』刊行前年のブローティガンの自殺が、直接的にも作品を書かせるモチベーションになったのだろうか。 読み終わってからも、"わたし"が暮らすアイデス(iDEATH)や、広大な外部である<忘れられた世界>、インボイルたちのファナティックな行動、そしてマーガレットのありようなど、それらは何を意味したのかとぼんやり考える。西瓜糖の世界には独特の居心地のよさを感じた。短いこともあって、興味はあるけどなんとなく未読だという方にはとくに一読をおすすめしたい。

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2021/08/24

氷砂糖のような言葉の世界だった。掴んだと思ったら味わううちに溶けてしまう。皆慈悲深く、穏やかで、とてもひんやりとした冷たさを持っている。 忘れられた世界のイメージ、血のイメージがありありと迫る。

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2021/05/22

西瓜糖のことばで綴られているので 私にはすーっと入ってきた。 入ってこない人もたくさんいると思いますが。。 悲しみは淡々と、 日々のちいさな幸せは、ポーリーンみたいに愛おしく描かれている。 辛いことを葬り去ってしまうようなこわさ のあるお話しでもあった。 わたしの名前 _誰...

西瓜糖のことばで綴られているので 私にはすーっと入ってきた。 入ってこない人もたくさんいると思いますが。。 悲しみは淡々と、 日々のちいさな幸せは、ポーリーンみたいに愛おしく描かれている。 辛いことを葬り去ってしまうようなこわさ のあるお話しでもあった。 わたしの名前 _誰かがあなたに質問をしたのだけれど、あなたはなんて答えてよいかわからなかった。 それがわたしの名前だ。 そう、もしかしたら、そのときはひどい雨降りだったかもしれない。 それがわたしの名前だ。_ わたし は、アイデスというコミューンのようなところにいて、彫刻や、物書きをしている。 両親は虎たちの時代に、食べられてしまった。 わたし は、夜になると上手く眠れず、散歩に出る。 アイデスには鱒の孵化場がある。とても象徴的な場所だ。 そして、アイデスの向こうには、忘れられた場所という、途方もない場所がある。そこに惹かれる人たちは、飲んだくれて、アイデスの静けさを嫌っている。 忘れられた場所の住人ちとの対立。愛しいポーリーンの美味しい食事。昔の恋人マーガレット。。 暴力や戦争を否定し、愛だけが残った。 そんなおはなし?

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2021/02/15

もしかしたらかつて〈忘れられた〉別の時代があって、いろんな思惑や策略のために、一度めちゃめちゃになった後にできたのが西瓜糖の世界なのかもしれない。 支配したり、裁いたりする存在がいない世界は、わたしたちのそれより、ほんのちょっと甘く、やさしい。

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