後巷説百物語 の商品レビュー
先日、「了巷説百物語」を読んだので10年ぶり位に再読。 やはり傑作だわ。時系列でいうと「了〜」の後の話になるのだけど、時は文明開化の明治10年間。 幽世と現世のあわいは存在せず 明治の怪は当世の若者によって理で解決する。 懐かしむでもなく、惜しむでもなく 与次郎がふと江戸の空気...
先日、「了巷説百物語」を読んだので10年ぶり位に再読。 やはり傑作だわ。時系列でいうと「了〜」の後の話になるのだけど、時は文明開化の明治10年間。 幽世と現世のあわいは存在せず 明治の怪は当世の若者によって理で解決する。 懐かしむでもなく、惜しむでもなく 与次郎がふと江戸の空気を感じて悲しくなるあたり、超に共感してしまうのは 歳をとったからかもしれない。 百助一世一代の「仕掛け」が 本人の思惑通りでないにも関わらず、色々な偶然が重なり見事な憑き物落としになるあたり見事。 やっぱりこのシリーズ好きだな。
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続巷説百物語から、約40年後の話。百介さんの思い出と今とがうまく絡み合っていて、面白い。又市さんやおぎんさんなど、回想シーンで出てくる。最後は、切ない終わり方だった。 前作、前前作と比べると、物語のスリリングさみたいなのは薄かったかもしれない。
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「巷説百物語」シリーズの第三弾。 直木賞受賞作。 しかし、このシリーズのいちばんの外れだと思う。残念。 続巷説、に賞を与えるべきだったと思う。
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目次 ・赤えいの魚(うお) ・天火(てんか) ・手負蛇 ・山男 ・五位の光 ・風の神 前作から時代が一気に飛んで、明治十年。 近代化、西洋化の時代の中で、妖、幽霊、祟り神などは忘れられていく。 山岡百介も、ひっそりと薬研堀の傍の庵に暮らす。 そこに訪ねてくる若者4人が、最初は上手くハマらなかった。 一等巡査で古典籍に造詣の深い矢作剣之進。 旧旗本の次男で洋行帰りだが、無職のボンボンである倉田正馬。 時代遅れの剣豪であり、意外にも合理主義者の渋谷惣兵衛。 貿易会社の社員で、百介と感性が近い笹村与次郎。 そして百介の世話をしている遠縁の娘、山岡小夜。 巡査である剣之進が謎を持ち込み、それを四人で語りあった後に百介に教えを乞う。 というパターンで話が進むのだが、四人の若者の役割分担が今一つすっきりしなくて、話が入ってこない。 与次郎を除く3人があーだこーだと語りあって、百介に「事実はこうである」と言われ納得した後、与次郎だけがあとで「そうではないのではないか」と百介の元を一人で訪れるという流れの方がいいのではないか、と思いながら読んでいたら、「山男」以降の作品で徐々に与次郎の存在が大きくなり、最後は百介を彷彿させるほどの無自覚な仕掛けを行う。 ここに登場する百介は、日がな一日書籍を読みふけるだけの、世捨て人のような生活を送る一白翁。 彼が生きている実感を味わえたのは、又市たちと行動を共にしていたほんの数年の間のこと。 百介は長い長い余生を過ごしていたのだと思う。 それでも、「いい人生だった」と、百介はきっとそう思ってあちらの世界に行ったのだ。 百介と又市たちの物語はこれでおしまい。 しかし、シリーズはまだ続く。
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前巷説から続く、百介と又市さんたちの絆に感動です。 長年会えなくてもお互いを信頼して思い続けているのが伝わります。 前巷説・巷説・続巷説から経過順で一話ずつ読み返したいです。その上で、最後の百介の語る百物語は涙なしでは読めません。
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時代が江戸から明治にうつり、4人の若者達が様々な怪異に立ち向かう。その中で出てくる一白翁が百介の老後の姿である。 話の内容、展開、結末等とてもおもしろく、とにかくすごいと思った。最後の話も百物語であったり、与次郎の仕掛けや骨を集める宗教等、他ともつながる話があったりとにかくすごい...
時代が江戸から明治にうつり、4人の若者達が様々な怪異に立ち向かう。その中で出てくる一白翁が百介の老後の姿である。 話の内容、展開、結末等とてもおもしろく、とにかくすごいと思った。最後の話も百物語であったり、与次郎の仕掛けや骨を集める宗教等、他ともつながる話があったりとにかくすごい。
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ずっと、ドキドキするから手を付けていなかったんだけど、 どうしてもやっぱ気になるから着手。読了。 時代が進んでいるから、仕掛けの真っただ中にいるような、あの百介さんと一緒に味わうような臨場感はないんだけど、 百介さんと一緒に味わう懐かしさ―みたいなのがある。 百物語から始まって、ようやく 長かった百物語が終わったんだなぁ…としみじみしてしまいます。 最後の話がよかったなぁ。
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山岡百介のその後。かなり時間がたって倒幕後の話。山岡は一白翁と呼ばれるご老体になっている。 主人公は若い頃の山岡にちょっと似てる。主人公の笹村の周囲の人間が好きになれないけど、後日談とか所々に出る山岡と又市たちの思い出に惹かれて、なんとか読破。 最後の話が好きだ。 それにしても、山岡は又市たちを好評価しすぎだろう。大好きすぎる、と言っても可。 風鈴が置いてあって、その音がりん、と表現されていたのは、又市プッシュの結果じゃないかと勘繰っている。鈴の音とは似てないだろうけど、りんと鳴るたび懐かしんでいたのかも。 小夜の母の形見がよかった。山岡が最初に開板した本の奥付を又市が持っていたということは、又市もぎんもその本を読んだだろう。いざというときの保険だとしても、山岡が本を出したというのは知っていたのだ。偽名だったのにである。これは山岡も読者も嬉しい話だ。 おぎんの夫が気になる。又市じゃないといいんだけど。いや又市でもいいけど。山岡とおぎんが幸せになるという道はやっぱり無かったんだろう。寂しい。 小夜は大切に育てられたんだろう。山岡が死んだ後はどうするのだろう。働くだろうけど、女の子一人で生計大丈夫かな。 山岡の最後がきれいだと思う。白い人影は、山岡が又市といた頃の又市だろうか。山岡にも「御行奉為――」って言ってほしい。
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ひとつひとつのお話が精密な作りです。時間をかけてゆっくり読める本です。登場人物にも愛着が持て、もっとお話しが読みたくなります。
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又一たちと別れ何十年と経ち翁となった百介が語るお話。 又一の仕掛けは何十年経っても生きていることに驚くと共に、その先を読む能力に脱帽です。
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