後巷説百物語 の商品レビュー
御行奉為。と思わず呟きたくなるような終わり方だった。 それが与次郎の見た幻だろうと、確かに彼は又市の存在を物語を通してではなく感じたのだろう。「手負蛇」では剣之進がそれを間接的に感じ、誰よりも百介に近い彼は「風の神」間接的にそれを感じた。 だから、与次郎の中で又市は百介同等に生き...
御行奉為。と思わず呟きたくなるような終わり方だった。 それが与次郎の見た幻だろうと、確かに彼は又市の存在を物語を通してではなく感じたのだろう。「手負蛇」では剣之進がそれを間接的に感じ、誰よりも百介に近い彼は「風の神」間接的にそれを感じた。 だから、与次郎の中で又市は百介同等に生き続けるんだろうと思うと胸がほっこりした。 どの話も百介の郷愁が滲んでいて悲しかった。同様に、思い出や語りの中でしか又市が登場しないことも悲しかった。でもそうやって語られて、行いが引き継がれていくのは素敵だ。 百物語で仕掛けに組み込まれた百介が百物語で憑き物を落とし、与次郎が仕掛けをしたという繋がりがいい。 憑き物が落ちるような爽やかな終わり方で良かった。
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四年前、本書が直木賞を受賞したのを知って正・続を読んだ。そして今年、後日譚(本書)に続き、前日譚が発刊、さらに新シリーズ西巷説が始まるのを聞き読むことにした。 正・続では同時代の出来事として語られていた仕掛け話が、過去の仕掛けと現在の仕掛け、過去の登場人物と現在の登場人物、それ...
四年前、本書が直木賞を受賞したのを知って正・続を読んだ。そして今年、後日譚(本書)に続き、前日譚が発刊、さらに新シリーズ西巷説が始まるのを聞き読むことにした。 正・続では同時代の出来事として語られていた仕掛け話が、過去の仕掛けと現在の仕掛け、過去の登場人物と現在の登場人物、それをつなぐ百介自身も過去、回想、現在と、すべて重層的になっている。さらに過去との邂逅(江戸と明治)はそのまま、現代(平成)との対比構造を持っているようにも思える。 しかし、京極堂のように大哲学(禅、説法)的でない。 老境の域に差し掛かればこそ、すべてにおいて真実を見極められる境地、 世代交代の物語、又一→剣の新、モモ輔→よじろう
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「続」→「後」なんですね。記憶がごっちゃになって自分で既読済みと勘違い。京極作品に「妖怪」はつきものですが、結果として妖はいないというオチがつく時代物ミステリシリーズの3作目。 妖が絡むが結局話を転がすのは人工の仕掛け、というオチは健在の短編スタイルですが、前二作と大きく異なる...
「続」→「後」なんですね。記憶がごっちゃになって自分で既読済みと勘違い。京極作品に「妖怪」はつきものですが、結果として妖はいないというオチがつく時代物ミステリシリーズの3作目。 妖が絡むが結局話を転がすのは人工の仕掛け、というオチは健在の短編スタイルですが、前二作と大きく異なるのは、百介さんが体験している事をリアルタイムに描くわけでなく過去を語る口で又市さんたちの活躍(暗躍?)が語られる描き方。私はこの語り口調がなかなか読むのが苦手で遅読になるのですが昔話を語るように不思議な妖怪話をご隠居の翁(百介)が若いものたちへ語り、彼らが行ってしまうと又市の暗躍をそっとばらす…というのは従来の話の構成よりも、どんでんがえしがより一層楽しい。 百介の又市さんたちに対する境界線(コチラの者とアチラの者)もちらちら見えていい。 妖怪の存在がもはや身近でもなくなっている若い世代の登場が何だか寂しい。「妖怪ってぇのは、土地に湧くもの時代に湧くもの。場所や時世を間違えちゃ、何の役にもたちゃしないのサ。」という又市さんの一言も印象的。 最終話は驚きよりも、何だか切ない。
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又市シリーズ第3弾。 今回は百介が過去を振り返って語る形で、又市やおぎんの登場が少なく、ちと物足りない。。。気がしたが、百介の又市を懐かしく想う語り口が良く、第1弾からもう一度読み返したくなった。 最後「風の神」では、ちと泣いてしまった。 このシリーズ好きだなぁ◎
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【初出一覧】 「赤えいの魚」 『怪』vol.0011(平成13年9月刊) 「天火」 『怪』vol.0012(平成13年12月刊) 「手負蛇」 『怪』vol.0013(平成14年8月刊) 「山男」 『怪』vol.0014(平成15年3月刊) 「五位の光」 『怪』vol.0015(平...
【初出一覧】 「赤えいの魚」 『怪』vol.0011(平成13年9月刊) 「天火」 『怪』vol.0012(平成13年12月刊) 「手負蛇」 『怪』vol.0013(平成14年8月刊) 「山男」 『怪』vol.0014(平成15年3月刊) 「五位の光」 『怪』vol.0015(平成15年8月刊) 「風の神」 書き下ろし
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読み終わりましたーーー 百介さんが80歳くらいになってます 名前も変わって一白翁とよばれておりまうす。そして九十九庵 めっちゃ百にかかってるなぁ 実は4,5年前に一度図書館で借りて読んだのですが 今までとは違い若者4人のあーだこーだがだるくて読み終わらず返却 今回やっと読了...
読み終わりましたーーー 百介さんが80歳くらいになってます 名前も変わって一白翁とよばれておりまうす。そして九十九庵 めっちゃ百にかかってるなぁ 実は4,5年前に一度図書館で借りて読んだのですが 今までとは違い若者4人のあーだこーだがだるくて読み終わらず返却 今回やっと読了しましたよーーーー 最後のお話が面白かったけど やっぱり又市さんが出てくれないと面白くないです
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年末からぽつりぽつり、ゆるゆると愉しんできた一冊をようやく読み終えました。(これは2006年01月04日に書いたものです。) 京極夏彦さんの中でも最もデキのいいシリーズかもしれません。 残念ながら最終巻のようです。 あの山岡百介さんが一白翁という老爺となり若者たちに怪異を語る...
年末からぽつりぽつり、ゆるゆると愉しんできた一冊をようやく読み終えました。(これは2006年01月04日に書いたものです。) 京極夏彦さんの中でも最もデキのいいシリーズかもしれません。 残念ながら最終巻のようです。 あの山岡百介さんが一白翁という老爺となり若者たちに怪異を語る。 テイストとしてはアシモフの「黒後家蜘蛛の会」と岡本綺堂の「半七捕物帖」を足したような感じ。 頭の悪い連中が怪事件にあれやこれやのたもうたあげく一白翁に助けを求め昔がたりを聞く。 年の功で若い頃よりシャープになった百介さん大活躍。 いい時間をもらいました。 最後の百物語の回で一白翁の語った怪異の一覧がそのままこのシリーズの作品リストでしょうか。 どんな話だったかかなり忘れてますが『竹原春泉・絵本百物語』の該当すると思われる見出し語から並べます。 * 小豆洗い * 野鉄砲 * 白蔵主 * 狐者異 * 舞首 * 飛縁魔 * 芝右衛門狸 * 船幽霊 * 塩の長司 * 七人みさき * 柳女 * 赤ゑいの魚 * 帷子辻 * 天火 * 山男 * 手負蛇 * 老人火 * 五位鷺 * 風の神(百物語の回) (2006年01月04日)
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百物語に始まって百物語に終わる ホント素晴らしかったです 最後はつい泣いてしまった・・・ 百介さん・・・幸せだったんだろうか・・・ これ読み終わると『巷説百物語』をまた最初から再読したくなってしまう あの日々が彼にとっては一番輝かしい日々だったんだろうな 凄惨なことや辛いことがあ...
百物語に始まって百物語に終わる ホント素晴らしかったです 最後はつい泣いてしまった・・・ 百介さん・・・幸せだったんだろうか・・・ これ読み終わると『巷説百物語』をまた最初から再読したくなってしまう あの日々が彼にとっては一番輝かしい日々だったんだろうな 凄惨なことや辛いことがあったとしても、やっぱり忘れられなかったんだろうな
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※このレビューにはネタバレを含みます
百介さんにとって又市一味と過ごした日々は 今もキラキラ輝く宝物のようなものだったんですね… でも、あの夜から宝石箱のふたは閉めた。 閉めたのに、たまに光が洩れれば嬉しくなって… どんなに切なくても、私もそんな出会いがしてみたいと思いました。
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京極氏の本は、ただ怪談をおどろおどろしく書いているだけだと思ってました。 先入観を持ってはいけませんね。何事も。 「あやかし」「もののけ」よりも怖いのは人間の奥に潜む闇である―― と、こう簡単に書いてしまうと陳腐に聞こえますが、巧妙に構成された物語の中にすっと通った一本の糸...
京極氏の本は、ただ怪談をおどろおどろしく書いているだけだと思ってました。 先入観を持ってはいけませんね。何事も。 「あやかし」「もののけ」よりも怖いのは人間の奥に潜む闇である―― と、こう簡単に書いてしまうと陳腐に聞こえますが、巧妙に構成された物語の中にすっと通った一本の糸のように、そんなテーマが織り交ぜられています。 作者のこだわりというか執拗なほどの丁寧さはとても好感が持てます。 他の「巷説百物語」シリーズも読みます、きっと。
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