始祖鳥記 の商品レビュー
既に評判になっている作品で、読んだ方も多いのではないかと思いますが…。 とにかくもの凄く広がりのある作品で、いろんなことを感じ、気づき、知ることができる読んでいて没頭する物語でした。実在した人物を軸に、あの時代の圧倒的多数の一般市民の思いも疑似体験できます。
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江戸時代に鳥のように空を飛ぶことに人生を賭けた男の話。 凧揚げが盛んな地で育ち、表具屋としての技を磨くうちに凧で空を飛ぶことを思いつく。しかし実験を重ねるうちに大騒動になり町から追放となってしまう。そんな時に幼馴染の船乗りが彼を拾い、共に廻船業を営むが海育ちの者との差を感じ陸暮ら...
江戸時代に鳥のように空を飛ぶことに人生を賭けた男の話。 凧揚げが盛んな地で育ち、表具屋としての技を磨くうちに凧で空を飛ぶことを思いつく。しかし実験を重ねるうちに大騒動になり町から追放となってしまう。そんな時に幼馴染の船乗りが彼を拾い、共に廻船業を営むが海育ちの者との差を感じ陸暮らしを始めるが、あることがきっかけで再び空を飛ぶことへの挑戦を始める。 実在の人物と思われるが、ほとんど記録が残っていないため大半が創作らしい。 他の作品と比べるとドラマチックさは控えめ。主人公の行動を通して、当時の世の中のシステムへの批判的な面も窺える。 空を飛ぶことへの執着は主人公の性質という感じではあるが、もう少し何らかの外因があると納得感が増し、迫力が出たのではないかとも思った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一万円選書の二冊目。 私にはちょっと難しかったかも… 幸吉の人となりはわかったし、物語的にも面白かったけど、細かい設定があまり頭に入らず流し読みしてしまった。歴史小説は好きな方なんだけど、わかりやすく没入できる司馬遼太郎はすごいなと思ってしまった。ただただ私の読解力の問題だけど。
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空を飛ぶことに執着した男。意図しない社会の反応。数奇な運命。漢たちの情熱。 江戸時代、岡山城下の表具屋の職人が空を飛んだことは事実として残ってるそうで、それに脚色してるんだとは思うけど、こんな人がいたかもと思わせる。 面白かった。
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一万円選書に入ってた。 歴史物特有の言い回しにとっつきにくさを感じるけど、読み応えがあって、すごく面白かった。 安住せずに己の道を開く情熱に感動する一冊。
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ただ飛びたかった、それだけだったというのに、この影響力! 市中は沸き立ち、さらには遠く行徳の伊兵衛や幼馴染だった源太郎たちの心までも揺さぶる。 思い切ったことをやる人がいるというのは、それだけで力になる。 同時に、そういう右へ倣えでない人たちの話は、読み手としても魅力的。 特に...
ただ飛びたかった、それだけだったというのに、この影響力! 市中は沸き立ち、さらには遠く行徳の伊兵衛や幼馴染だった源太郎たちの心までも揺さぶる。 思い切ったことをやる人がいるというのは、それだけで力になる。 同時に、そういう右へ倣えでない人たちの話は、読み手としても魅力的。 特に印象に残ったのが、卯之助や杢平たちも含め、それぞれが磨いてきた技術やものごとへのこだわり。 できることならドキュメンタリー番組にでもしてもらいたい。
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てっきりギリシア神話のイカロスをめぐるお話のような完全なフィクションを想像していたのですが。半分違ってました。実在の人物を題材にしており、作中で発生した事件も史実に基づいているみたいです。 この種の作品はどうしても歴史上の出来事に縛られてしまうため、往々にして展開が窮屈になってし...
てっきりギリシア神話のイカロスをめぐるお話のような完全なフィクションを想像していたのですが。半分違ってました。実在の人物を題材にしており、作中で発生した事件も史実に基づいているみたいです。 この種の作品はどうしても歴史上の出来事に縛られてしまうため、往々にして展開が窮屈になってしまいがちですが、本作もその例に漏れていない印象です。 また、本作のキモは間違いなく第二部の塩をめぐる幕府や問屋との対決で、この部分はかなり面白く読めたのですが、相対的に幸吉が空を飛ぶお話が付け足し程度にしか思えないという弊害が・・・。第一部が終わった時はこの後何をやらかしてくれるんだろうと期待したんだけどなあ。結局、『始祖鳥記』というタイトルにしても文庫裏の説明文にしてもミスリード感があり、スタート地点から著者の意図と読み手である私の捉え方にズレが生じたのかな、という気がしています。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
江戸時代に空を飛ぶ事に取り憑かれた男 器用で、仕事でも対価を得ているのに・と思うのは一般人の考え。幸吉はただただ飛びたいという己れの思いで行動するのが良い。皮肉な事に彼の行動は腐った世の中ではヒーロー扱いされてしまうが、ブレることなく自分の欲望を叶えていく姿は清々しい。中々大凧が想像し難いのでドラマ化して見てみたい
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今年はエンタメ最優先と決めているので、基本的に小難しそうな文学には、たぶん殆ど手を出さない。当然本作も、各所で絶賛されているのを見て、なるべく早めに読みたいと思っていたものの一つ。個人的に感じるふとした懸念は、同じく絶賛される”黄金旅風”につき、それほどポジティブなイメージが残っ...
今年はエンタメ最優先と決めているので、基本的に小難しそうな文学には、たぶん殆ど手を出さない。当然本作も、各所で絶賛されているのを見て、なるべく早めに読みたいと思っていたものの一つ。個人的に感じるふとした懸念は、同じく絶賛される”黄金旅風”につき、それほどポジティブなイメージが残っていない点だった。そして本作。正直、しんどかった。上記の個人的今年のポリシーから、止めようかとも思った。時代背景についての細かい描写は、知っておくべきだろうし、分かった方が楽しめるんだろうけど、踏み込むとドツボに嵌ること必定なんで、基本的には読み飛ばし。その上で尚、読み進めるのがしんどかった。特に第2部は、ここだけ視点人物がガラッと変わるわけだけど、疲れた。それぞれに信を置く書評家、エンタメ系の北上次郎、文学系の豊崎由美、どちらからも絶賛されているし、それを読めない自分が悔しいんだけど、合わないものは仕方ない。他にも数冊所有しているんだけど、優先順位はダダ下がりだな、こりゃ。
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江戸後期に、世界で最初に空を飛んだと伝えられる一人の表具師がいた。備前岡山に生まれ、駿府で生涯を終えたと言われる〃鳥人備前屋幸吉〃である。 七歳で父親と死別。生家を兄が継いだ後、表具師を営む母の生家に引き取られて修行を重ね、やがて幸吉は表具師として最高の腕を認められ「銀払い」の地...
江戸後期に、世界で最初に空を飛んだと伝えられる一人の表具師がいた。備前岡山に生まれ、駿府で生涯を終えたと言われる〃鳥人備前屋幸吉〃である。 七歳で父親と死別。生家を兄が継いだ後、表具師を営む母の生家に引き取られて修行を重ね、やがて幸吉は表具師として最高の腕を認められ「銀払い」の地位と財を築く。しかし〃鳥のように空を飛んでみたい〃という少年期の思いは止みがたく、ある日幸吉は憑かれたように羽作りに没頭しはじめる……。ただ自らを生きるために空を飛び、飛ぶことで人々に希望を与え続けた幸吉の人生を、綿密な考証をもとに鮮烈に描く希代の歴史大作。前作で大衆文学の到達点とされる文学賞候補を意あって辞退した、まさに「知る人ぞ知る」著者、飯嶋和一氏の感動の書き下ろし長編である。
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