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ローマ人の物語(7) の商品レビュー

3.8

74件のお客様レビュー

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2012/03/14

同盟者戦役中のポントス王ミトリダテスの小アジア進出から、ポンペイウスによるユーフラテス以西平定まで。前半は、マリウスとスッラがミトリダテス戦役への出兵を奪いあったことに端を発する。以下、政争におけるマリウスの勝利、スッラとその私兵による首都占領と虐殺、スッラによる選挙法改正の是正...

同盟者戦役中のポントス王ミトリダテスの小アジア進出から、ポンペイウスによるユーフラテス以西平定まで。前半は、マリウスとスッラがミトリダテス戦役への出兵を奪いあったことに端を発する。以下、政争におけるマリウスの勝利、スッラとその私兵による首都占領と虐殺、スッラによる選挙法改正の是正、スッラによるミトリダテス戦役出兵、スッラの留守に行われたキンナによるマリウスの名誉回復、首都に帰還したマリウスのスッラ派虐殺、マリウスの死、キンナの台頭、スッラのアテネ占領・ミトリダテスとの講和・オリエント平定、そして、ローマへの帰還、自ら独裁官に就任したあとの改革などである。スッラは市民権問題には手をつけなかったが、小麦法の全廃、植民地建設、元老院の定員倍増(600人)、陪審員の元老院独占、年功序列のキャリア導入、軍隊のシビリアン・コントロール、地方改革、護民官の弱体化などを行った。つまり、元老院の力を大きくし社会保障を削った保守改革である。市民派と元老院派に分かれて揺れていたローマはとりあえず、元老院体制を維持して安定したかにみえた。後半は、スッラに才能を認められたポンペイウスの活躍である。安定したかにみえたスッラ体制だが、元老院の人材枯渇は深刻で、結局、スッラの弾圧をのがれたセルトリウスに対して、まだ若いポンペイウスを起用せざるをえなくなり、年功序例のシステムは崩れた。また、スパルタクスの反乱、クラッススによる鎮圧、その後のクラッスス・ポンペイウス体制によるスッラ体制の浸食(陪審員への平民・騎士階級参加、小麦法の復活)、ポンペイウスによる海賊討伐、ミトリダテス征討、ユーフラテス以西の平定などによって、元老院の影響力は低下し、実力が支配する。このころ、キケロやカエサルもローマ史に登場する。キケロは属州シチリアが総督を訴えた事件でシチリアの弁護にたった。カエサルはスッラの粛正リストから、からくも逃れた。また、七年もの間、小アジアでミトリダテス相手に10倍の軍隊に勝ち続けたルクルスも興味深い人物である。能力はあったが優秀すぎて兵士とのコミュニケーションがとれなかったために、功をポンペイウスに譲ることになった。引退後は美食を行い、豪奢な屋敷をたてた。ルビコン川以南に軍隊を伴ってはならないと定めたのはスッラだ。また、ユダヤを属州にしたのはポンペイウスである。歴史上重要なことが起こっている。とにかくいえることは、優秀なシステムも実力を備えた人間がいなければ機能しないということである。しつこく蜂起するミトリダテスのローマ帝国主義批判も一部聞くべき内容はある。キケロの「平和のための必要経費」という視点も現代に通じるものである。

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2012/01/04

しかし、よく人をぽいぽい殺すなあ。 人の命って、この時代、どんなもんだったんだろ。まあ、つい最近でも大差ないかもしれないけど。

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2011/12/02

【読み返し】いわゆる政争に終始している。スッラ、マリウス、キンナによる、第一次とスッラの弟子達による第二次。元老院を二分しての争いは二大巨党での政権争いにも見えて面白い。 しかも歴史上突如現れる天才に主導されるローマはまるでフィレンツェのようにも見える。 一人のスターを愛する...

【読み返し】いわゆる政争に終始している。スッラ、マリウス、キンナによる、第一次とスッラの弟子達による第二次。元老院を二分しての争いは二大巨党での政権争いにも見えて面白い。 しかも歴史上突如現れる天才に主導されるローマはまるでフィレンツェのようにも見える。 一人のスターを愛する気質なのかとも考えられる。

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2017/08/15

 ローマは混迷の度を深めていた。同盟者戦役に続き、小アジアではミトリダス戦役が勃発、そしてスッラとマリウスの両実力者による内乱状態に陥る。ローマ人同士による血で血を洗う報復合戦を制したスッラは反対派を一掃し、元老院体制の強化を主眼とした国家再建を推し進める。しかしその体制もスッラ...

 ローマは混迷の度を深めていた。同盟者戦役に続き、小アジアではミトリダス戦役が勃発、そしてスッラとマリウスの両実力者による内乱状態に陥る。ローマ人同士による血で血を洗う報復合戦を制したスッラは反対派を一掃し、元老院体制の強化を主眼とした国家再建を推し進める。しかしその体制もスッラの死後間もなく崩壊、ポンペイウスの時代を迎える。そんな中で次代の英雄カエサルもようやく動きはじめていた…  

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2011/08/14

ポンペイウスの登場。 カエサルも歴史の表舞台に進出するための下地が敷かれる。 結局内部の反乱や内乱によってローマは小アジアとスペインを支配し、地中海が名実ともにローマの支配下に。

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2017/08/16

副題通り、本当に混迷しっぱなしである。昔の東映風に言ったら「仁義なき 戦い ローマ頂上決戦」と言ったところか。 スペインやオリエントの地への軍事遠征が相次ぐなかで、互いの不足 部分を補っていたマリウスとスッラの間で血で血を洗う抗争が繰り広げ られる。 お互いが粛清を繰り返...

副題通り、本当に混迷しっぱなしである。昔の東映風に言ったら「仁義なき 戦い ローマ頂上決戦」と言ったところか。 スペインやオリエントの地への軍事遠征が相次ぐなかで、互いの不足 部分を補っていたマリウスとスッラの間で血で血を洗う抗争が繰り広げ られる。 お互いが粛清を繰り返す様は、スターリンが同時にふたり出現したようだ。 最後は軍事クーデーターにり、スッラが無任期独裁官に就任することで 結末を迎える。 だが、その代償は国を司る元老院議員の3分の1を失うと言う大損失を もたらした。 そのスッラだが、これまで「怖い」イメージしか抱かなかったのだが、著者は スッラの人を食った面にも焦点を当てている。 「味方にとっては、スッラ以上に良きことをした者はなく、敵にとっては、 スッラ以上に悪しきことをした者はなし」 生前にスッラが考えていた碑文が、彼の墓には刻まれている。 本書ではマリウスとスッラの時代、それに次ぐポンペイウスの時代を 描いて、次のユリウス・カエサルの登場を待つ。 スキピオの話の時、大カトーにはほんの少ししか触れなかった著者 だが、この巻でもキケロの扱いがかなり小さい。記述で好き・嫌いが 分かるぞ。笑。

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2011/07/12

前巻に続き混迷するローマが描かれる。 同盟者戦役、ミトリダテス戦役、奴隷による反乱。弱った体が合併症を引ここすかのように問題が次から次へと発生する。 この共和政ローマの政治は、少数指導性を特徴とする寡頭制政治と言われている。 日本もまた、直接選挙で首相を選ぶことができない現状...

前巻に続き混迷するローマが描かれる。 同盟者戦役、ミトリダテス戦役、奴隷による反乱。弱った体が合併症を引ここすかのように問題が次から次へと発生する。 この共和政ローマの政治は、少数指導性を特徴とする寡頭制政治と言われている。 日本もまた、直接選挙で首相を選ぶことができない現状の制度を寡頭制であると捉える考え方もある。 スッラは国家の建て直しのため、独裁官となった。そのやり方は独善的で強引であったとはいえ、自らの政治目標を実行し、その後、潔く自ら退いた。 このあたりの文章を読んでいると、今の日本を思わずにはいられなかった。 未曽有の危機に瀕し混迷する日本。今の首相の独善的な言動が、さらなる混迷を呼んでいる。確固とした政治目標は見せることはできず、党は内部崩壊を繰り返す。 なんだか、ため息が・・・・・・ 前巻も含み、この『勝者の混迷』の巻に、英雄を思わせる登場人物はいない。その全てが、次巻で活躍するであろうユリウス・カエサルの物語の序章であるかのような印象を受けた。

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2011/07/03

建国500年にして地中海全域に覇権を及ぼした共和制ローマに起こった危機は、内戦や政治制度の混迷。出来たばかりの頃を乗り切って、それなにり大きくなると、自分の中での折り合いをつけるのが難しくなり、それを仕切れるだけのリーダが簡単には出てこないし、出てきても従来の制度では対応できない...

建国500年にして地中海全域に覇権を及ぼした共和制ローマに起こった危機は、内戦や政治制度の混迷。出来たばかりの頃を乗り切って、それなにり大きくなると、自分の中での折り合いをつけるのが難しくなり、それを仕切れるだけのリーダが簡単には出てこないし、出てきても従来の制度では対応できないので独裁的な制度改革が必要になる。この傾向は、国家だけでなく、会社も、人間も、同様だと思うし、今の日本がはまっている課題だとも思う。 授業参観で社会科の授業での先生の質問がよかった:「元寇で、元は1回目は暴風雨で負けたが再度攻めた。このときに、どんな工夫をしたと思うか。そして、2度目の防衛を行う幕府はどんな工夫をしたと思うか。考えてみよう。」--歴史を学ぶのではなく、歴史に学ぶというスタンスがよかった。小堀先生good job!

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2011/05/28

共和制ローマで初の終身独裁官になったスッラ。『味方にとっては、スッラ以上に良きことをした者はなく、 敵にとっては、スッラ以上に悪しきことをした者はなし。 』優先順位をはっきりさせる男。ミトリダテス戦役では10万の軍勢同士の戦闘で戦死者14名。どんな戦い方をしたんだ?英雄になる資格...

共和制ローマで初の終身独裁官になったスッラ。『味方にとっては、スッラ以上に良きことをした者はなく、 敵にとっては、スッラ以上に悪しきことをした者はなし。 』優先順位をはっきりさせる男。ミトリダテス戦役では10万の軍勢同士の戦闘で戦死者14名。どんな戦い方をしたんだ?英雄になる資格を充分に備えていたが、筋金入りの保守派でローマ秩序再建のために「スッラ体制」を築き引退したのだが、死後間もなくして崩壊。先見性に乏しかったと。そしてポンペイウスが台頭。剣闘士スパルタクスの反乱が興味あり。昔、映画「スパルタカス」を観たことあるような…。この時代の話だったんだ。確か巨大な戦車で街中を走り回ってたような。「グラディエーター」と被ってるのかな。

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2011/04/02

20110402読了。 スッラ体制の終焉と、その後について。 のちの三頭政治のうちのポンペイウス、クラッススについても語る。 主にスッラの一貫した強い行動力、ポンペイウスの軍事能力について大きく紹介。 この頃になると、ローマの法も改正しまくり。 マリウス、スッラによって国内の有...

20110402読了。 スッラ体制の終焉と、その後について。 のちの三頭政治のうちのポンペイウス、クラッススについても語る。 主にスッラの一貫した強い行動力、ポンペイウスの軍事能力について大きく紹介。 この頃になると、ローマの法も改正しまくり。 マリウス、スッラによって国内の有力者の数多くが死に、国としての統一感、方向性を見失っているように感じる。

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