ダライ・ラマ自伝 の商品レビュー
山際素男著「ダライラマ自伝」文春文庫(2001) * 仏教の根本的教理は事物の相互依存性、因果の法則である。簡単にいうならば、人が経験するいっさいのものは行為(カルマ)に基づいている。それゆえ起因こそが行為と経験の根元であり、意識と再生の仏教理論はこの認識から生まれている。まず、...
山際素男著「ダライラマ自伝」文春文庫(2001) * 仏教の根本的教理は事物の相互依存性、因果の法則である。簡単にいうならば、人が経験するいっさいのものは行為(カルマ)に基づいている。それゆえ起因こそが行為と経験の根元であり、意識と再生の仏教理論はこの認識から生まれている。まず、原因から結果がうまれ、その結果がつぎの原因となり、それがまた結果となってゆくがゆえに意識は持続的であり、経験や印象を次々に集積しどこまでも流れていく。 * お祈りをするには3つの理由がある。第一に日々の勤めをまっとうするための心構え、第二に時間を充実させるのに役立つ、第三に恐怖をやわらげることである。 * 日々の修行の大事な面は死という観念にかかわっている。人生において死にかかわる道は2つある。1つがそれを無視する。その場合、死の観念をある期間おしやることができる。一方で、自己の死の到来を見据え、それを検討し、そうすることによって死から生じる避けがたい苦しみをいくらかでも軽減しようとする。どちらにしても実際に死を乗り越えることはできない。仏教者は、死を人生の当然の経緯として考え受け入れる。死とは丁度きている衣服がほころび、古くなり、着替えるようなものではないだろうか。
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【後日再レビュー】誰にでも伝わるわかりやす言葉で複雑で深刻な問題をユーモアを織りまぜ情景が目に浮かぶように生き生きと描かれている。
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チベットについては、それなりの興味を持ってニュースも追いかけていたはずなのに、思っていた以上に過酷な弾圧・差別・虐殺の歴史を語る部分にショックを受けた。「憎しみを伝えたいわけではなく、事実を知ってほしいだけ」と繰り返し書かれていて、なお真に迫る。 神秘的な転生の話を、事実として...
チベットについては、それなりの興味を持ってニュースも追いかけていたはずなのに、思っていた以上に過酷な弾圧・差別・虐殺の歴史を語る部分にショックを受けた。「憎しみを伝えたいわけではなく、事実を知ってほしいだけ」と繰り返し書かれていて、なお真に迫る。 神秘的な転生の話を、事実としてたんたんとつづっている部分も面白い。多くの人に読んで欲しい一冊。
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『ダライ・ラマ自伝』(ダライ・ラマ著、山際素男訳、文春文庫)を読み終えた。 中国によるチベット圧制の様子がよく分かる。事実とすれば大変なことである。 それにもかかわらずダライ・ラマが赦しの心で接しようとするところに救いを感じる。私もそれに倣いたい。以下、心に残った文章を...
『ダライ・ラマ自伝』(ダライ・ラマ著、山際素男訳、文春文庫)を読み終えた。 中国によるチベット圧制の様子がよく分かる。事実とすれば大変なことである。 それにもかかわらずダライ・ラマが赦しの心で接しようとするところに救いを感じる。私もそれに倣いたい。以下、心に残った文章をあげる。 「この苦しみは無知によって引き起こされており、人は己の幸せと満足を得んがため他者に苦痛を与えているのだと固く信じている。しかし真の幸せは心の平安と充足感から生まれるものであり、それは愛他主義、愛情と慈悲心を培い、そして怒り、自己本位、貪欲といったものを次々と根絶してゆくことによって獲得できるものなのだ。 ある人々には、これは無邪気すぎるように聞こえるかもしれないが、その人に言いたい。どんな世界から私達が生まれてこようと、根本的に我々は同じ人間なのだ、と。私たちはすべては幸せを求め、苦痛を避けたいと思っている。我々の基本的要求と関心は同じなのだ。さらに、私たちはすべては自由を欲し、個人として己の運命を決定する権利を求めているのだ。これが人間性というものである。(中略) と同時に、今日われわれが直面している諸問題、武力衝突、自然破壊、貧困、飢えその他諸々は、ほとんど人間が作り出しているのだということを忘れてはならない。それらはきっと解決しうる。だがそれは人間的努力、相互理解、兄弟姉妹感を育てることによってのみ可能なのだ。これを成し遂げるには、善意と自覚に立ってお互いに対する、そしてわれわれが共有する地球への普遍的責任感を深めてゆかねばならない」 →そう思う。そのためには人は“輪廻転生する魂である”と認識することが助けになるのではないか?というのはもし自分が再生するとはっきり自覚すれば、将来自分が生まれていく環境が今より悪化している所には行きたくないと思うだろうから。 “孫子のために”というよりも“自分のために”なるというふうに腑に落ちれば、小林正観氏の言う“究極の損得勘定”じゃないけど、この星を住みやすくするという行為により熱意がこもるのではないか? 「愛と慈悲の心を育ててゆく上で、私にとっては仏教が役立っているが、愛や慈悲といった資質は、宗教があってもなくても誰にでも深めてゆけるものだと確信している。そして私はさらに、すべての宗教はみな同じ目標、善なるものを培い、すべての人間に幸せをもたらす、という共通の目標を追求していると信じている。方法こそ違っているように見えても目標は同じなのだ。 私達の生活に、科学がますます大きな影響を及ぼすにつれ、宗教と精神性もまた私達の人間性を考えさせるうえでいっそう大きな役割りを担ってきている。両者の間に矛盾は無い。どちらも互いへの貴重な洞察をもたらしてくれる。科学と仏陀の教えはともに、すべてのものの基本的合一性をわたしたちに告げているのだ」 →鈴木秀子先生が臨死体験された時に「この世で大事なことは愛することと知ることですと諭されました」と書いていた。(『A・NO・YO』(新潮45、江原啓之編集、新潮社) 知ること=科学=左脳=顕在、愛すること=精神性=右脳=潜在… それと繋がるなぁ。 そして私の今生での名は“聡哲”。“聡”は智慧、科学、知ること…、“哲”は愛情、精神性…を意味し、両者の統合、橋渡しが僕の役割りの一つと考えていることもあり、このへんのダライ・ラマの話には深く共感する。 また、別のところで「人間には物質面、精神面両方の発展が必要である」旨の発言があり、この点も今更ながら再認識させられた。人は“物質”も魂の成長の道具として使えばいいのだ、と。ややもすると自分の中に“物”を軽んじる傾向があるから。 さらに「わたしは半マルキシスト的人間だといったが、もし実際に選挙で一票を投じるとすれば環境保護に熱心な党に入れたい。最近の世界における最も建設的進展の一つは自然の大切さへのいっそうの自覚である。そこには宗教とか神聖さなどといったものは介在しない。われわれの惑星を大切にするのは、我が家を大事にするのと同じだ」という文章に触れてとても嬉しかったな。
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実は途中で寄り道して3、4冊他の本を読んでしまいましたが、 やっと完読。 最後の20ページに、感動。自分を反省。 自分がどこに属して、何を望んでいるのか、 あまりにも恵まれていると思いつきすらしないことを、 時々は考えてみたいと思った。 そして考える時は、真剣に。 政治家は優...
実は途中で寄り道して3、4冊他の本を読んでしまいましたが、 やっと完読。 最後の20ページに、感動。自分を反省。 自分がどこに属して、何を望んでいるのか、 あまりにも恵まれていると思いつきすらしないことを、 時々は考えてみたいと思った。 そして考える時は、真剣に。 政治家は優れた宗教家でもなければならない、 という言葉がとても印象的だった。
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読了 内容(「BOOK」データベースより) チベットの宗教的、政治的最高指導者として精力的に平和活動をつづけ、ノーベル平和賞を受賞した第14世ダライ・ラマが、観音菩薩の生れ変わりとしての生い立ちから、長きにわたる亡命生活の苦悩、宗教指導者たちとの交流、世界平和への願いなどを、波...
読了 内容(「BOOK」データベースより) チベットの宗教的、政治的最高指導者として精力的に平和活動をつづけ、ノーベル平和賞を受賞した第14世ダライ・ラマが、観音菩薩の生れ変わりとしての生い立ちから、長きにわたる亡命生活の苦悩、宗教指導者たちとの交流、世界平和への願いなどを、波乱の半生を振り返りつつ語る。チベットとダライ・ラマを知る恰好の入門書。
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いやー読むのに時間かかった。 文が断片的すぎてよくわからない。 しかしチベットを知る最初の本としては入りやすいかも。
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ダライ・ラマについて一番わかりやすい入門書ではないだろうか。 ダライ・ラマって何? チベットフリーって叫んでるけど何があったん? どうして解決できひんの? 様々な疑問を持つ人にオススメ。 ダライ・ラマ視点で書かれたものであるが、非常に客観的な感を受ける。 中国の裏側を知りた...
ダライ・ラマについて一番わかりやすい入門書ではないだろうか。 ダライ・ラマって何? チベットフリーって叫んでるけど何があったん? どうして解決できひんの? 様々な疑問を持つ人にオススメ。 ダライ・ラマ視点で書かれたものであるが、非常に客観的な感を受ける。 中国の裏側を知りたい人にもオススメだけど 世界で何が起こっているか知る上でチベット問題も絶対に知らなくちゃいけないと思ったんで、絶対に読まなきゃいけない良書だと思う。
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ニュースで聞いたことのある、チベット問題・・・ ぐぐっと、距離が近づく感じがしました。 それと共にダライ・ラマの想いが伝わってくる本。 自伝の中の自伝です。
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2008年4月に日本に帰ったときに買った本。 3・14以降、なんだかんだ言う前に、 俺って、結局何も知らないじゃんって思って、 買った本。空港の本屋で平積みになっていたので、 衝動的に手に取ったというのもありますが。 1989年にノーベル平和賞を受賞したダライ・ラマ14世。 1...
2008年4月に日本に帰ったときに買った本。 3・14以降、なんだかんだ言う前に、 俺って、結局何も知らないじゃんって思って、 買った本。空港の本屋で平積みになっていたので、 衝動的に手に取ったというのもありますが。 1989年にノーベル平和賞を受賞したダライ・ラマ14世。 1940年に5歳のときに13世の生まれ変わりとして、 即位した彼の半生と、祖国チベットを侵攻した中華人民共和国 とのやり取りを、そして、チベット人民の生活の様を、 ダライ・ラマ自身によって綴った自伝書。 1990年に英語版で発行され、翌91年に日本語訳された。 今から18年前に書かれたものであるものの、 今なお続くチベット人民への圧政。 そして、亡命政府と名乗り、チベットに帰ることの できない、ダライ・ラマ14世。 ただ、漠然としか知らなかったこの半世紀以上の出来事を 改めて理解することが出来ました。 また、この半世紀以上という時間の長さも感じながら、 既に破壊されてしまったチベット文化の回復の 可能性はどれくらい残されているのだろうかという 危惧も抱かずにはいられません。 チベット「自治区」の自治を回復したとしても、既に そこには多くの漢民族も移住しているわけで、 チベット人だけのくにに戻すことは現実的には 不可能になっているのだから。 当然、事実追認するというつもりもないのだけれど、 植民地支配による文化破壊の恐ろしさを痛感しました。 帝国主義下の日本による事実上の植民地支配を受け、 虐げられてきた中国が、その後の新しい政府である 中華人民共和国政府によって、「隣国」チベットを 植民地支配してしまったということは、なんとく皮肉だろう。 また、中国国内ですら、文革の時代を経て、蛮行が 横行した時代、植民地であるチベットでの治安維持で 更なる残虐な手段が用いられたというのも、 歴史のめぐり合わせなんだろうか。 実際のところ、1949年の中華人民共和国成立以降、 翌年の50年にチベット侵攻があって以来、チベットは 中国の一部として地図の上では描かれている。 一般の中国人民にとって、チベットは中国の国土の一部で、 独立主張するなんてとんでもないと考えるのは 仕方がないのかなとも思う。 なぜならば、そういう教育を受けているから。 また、政治的にも、資源の有用性から北京政府がチベットの 大地を手放すとも思えない。 しかし、チベットで何が起こっているのか。 何が行われてきたのかを中国人民にも知って欲しい。 この本を読んで、ダライ・ラマ14世の人となりを知って欲しい。 そう、強く感じてやみません。 ダライ・ラマ14世はこの7月で73歳になります。 彼が無事にチベットの地で「生まれ変わる」ことが出来るのか。 変わり行く中国の中で、チベットの位置づけはどうなっていくのか。 ただ、がむしゃらに"Free Tibet"と叫ぶのではなく、 どうかかわっていけばいいのかなって考えていきたいと 思います。 http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2008-06-01
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