青い眼がほしい の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
著者の作品はこれで2冊目。 これYAにあったけどYAは不相応。 なぜならば性的表現がきついのと ライトに収めているけれども近親相●がでてきます。 ただし、そこまで重いわけではないです。 なぜならばあからさまに登場する人物を 批判するわけではないから。 主人公の子は黒人の子だったもの、 ピコーラのようにはなりませんでした。 それは不条理なことをする白人に怒り マウンティングする子たちにくみしないことから 理解できることでしょう。 でも、ピコーラはこれらの人種差別の 犠牲者ともいえるのです。 肌の色が批判対象でなければ… そしてその目すら… 考えさせられることは多いはずです。
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変わった構成を持つ小説。 1941年、オハイオ。 太平洋戦争に参戦し、アメリカ社会も高揚する頃。 恵まれない家庭環境で育つピコーラが、父に犯された上、心が壊れてしまうという悲劇を描く。 黒人社会の中で、ピコーラのように、より「醜い」とされる者と、そうでない者とに分かれる。 人...
変わった構成を持つ小説。 1941年、オハイオ。 太平洋戦争に参戦し、アメリカ社会も高揚する頃。 恵まれない家庭環境で育つピコーラが、父に犯された上、心が壊れてしまうという悲劇を描く。 黒人社会の中で、ピコーラのように、より「醜い」とされる者と、そうでない者とに分かれる。 人種への蔑視が内面化されている。 (そして、それは私たちにも身に覚えのある感覚だ。) 追い詰められていく中、「青い眼が欲しい」と願い続けるピコーラの姿は痛ましい。 最初、近所の少女、クローディアを通して、ピコーラたち、ブリードラヴ家のことが語られる。 しかし、視点はやがて母ポーリーン、父チョリーに移り、彼らがどんな関係を取り結び、そして壊してきたかも語られる。 この人たちも、困難な人生を歩んでいることがわかる。 自在な語り、生活の細部まで克明に描きながら、安易な感情移入を許さないようコントロールされた筆致に、当惑しながらも、ぐいぐいひきつけられる。
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アメリカにおける白人から虐げられる黒人の生活及び黒人同士のヒエラルキーによる差別も書かれていて、物語の多くの部分の語り手は、まだ未熟な少女なので余計に人間の生々しさが際立つ。 ピコーラがなぜ青い目を欲しがったのかはよくわからなかった。
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ノンジャンルと言える長寿本の一つに珍しく手を出してみた。ノーベル賞作家トニ・モリスンのデビュー作であり、1970年に生み出されたものの、広く世界で読まれるようになったのは四半世紀という時間を要したそうである。 この作品は、あらゆる意味で人間を比べてみることの愚かさと、その中...
ノンジャンルと言える長寿本の一つに珍しく手を出してみた。ノーベル賞作家トニ・モリスンのデビュー作であり、1970年に生み出されたものの、広く世界で読まれるようになったのは四半世紀という時間を要したそうである。 この作品は、あらゆる意味で人間を比べてみることの愚かさと、その中で犠牲になってゆく心の痛みへの深い理解を、地道に、日常の言葉で綴ったものである。主たる視点は少女のものだが、時に他の三人称視点を使って挿入される作中作のような物語が、かしこに散りばめられている。 世界の歪みを、多角的な視点で捉えつつ、様々な区別や差別が人間に対してなされてゆく行為や、無意識という水底に沈殿してきた最大の罪のあり様を、作者は文章によって水面に浮上させてゆく。見た目の形としての差別。 人種差別、性差別、知的差別、肉体的差別。そのすべてを象徴するもののように、黒人少女ピコーラは周囲から捉えられており、その生を、語り手のクローディアは世界の歪みとして気づきつつ、なおかつ安全圏にいる自分の立場に揺れる。 恐ろしい時代。1941年の秋から翌年の夏への一年の季節。マリーゴールドが咲かなかったことから物語は始まる。大戦前の不穏なアメリカ。その時代の小さな村で、小さな女の子の身に何が起こったのか? 誰も耳を貸さなかったこの本は、1993年に作者がノーベル賞を手にした途端、日の目を見ることになる。1994年にトニ・モリスン・コレクションとして再版され、2000年にはこの文庫本のかたちとなった。 それを2020年に読んでいる自分がいる。TVではトランプとバイデンによる選挙の予想が報じられ、人種差別問題は、現代の南北戦争とまで呼ばれている今、本書は決して古い物語ではなく、連綿と続くアメリカという国、また遠い国の話というだけではなく、日本国内、身のまわりでも、当時同様の偏った精神性に身を委ねようという無思考な姿勢が問われてはいないだろうか。 今、この時代に、社会問題としてよりも、人間の在り方というような日常の視点からこの問題を抱え込んで頂きたいと、本書は万人に語りかけているように思う。
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ピコーラの少女時代は痛ましい。やりきれない気持ちになるが、周りの人間も皆やりきれない何かを持ってる。人種に関係なくこういう環境はあると想像できる分、他人事ではない気持ちになる。それでも時代は1962年。63年がキング牧師のワシントン大行進という大変革の真っただ中に書かれた作品。刷り込まれた価値観とひとりの少女。簡単に感想を持ってはいけないような気がするほど考えさせられる。多くの人に読み継がれていってほしい。
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2020/08/13 猫町倶楽部で課題本となった「青い眼がほしい」について、ほんの触りではありますが、レビュー動画を作ってみました。 https://youtu.be/WpF9_cBzoQI
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読書会課題本。救いのない話で読後感はあまり良くない。しかし「人種差別」だけでなく広い意味での「差別」に目を向けさせてくれる内容で非常に興味深い一冊だった。これがノーベル賞作家のデビュー作という事実に驚愕する。
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1941年、アメリカ北部にあるオハイオ州ロレイン市に暮らす9歳のクローディアという少女を通して、ある事件を中心に黒人たちの世界を描いた小説で、秋から夏までの四季に分けて進行していきます。 「青い眼がほしい」と願い、物語の焦点となるのはクローディアの友人、ピコーラという12歳前後...
1941年、アメリカ北部にあるオハイオ州ロレイン市に暮らす9歳のクローディアという少女を通して、ある事件を中心に黒人たちの世界を描いた小説で、秋から夏までの四季に分けて進行していきます。 「青い眼がほしい」と願い、物語の焦点となるのはクローディアの友人、ピコーラという12歳前後の少女です。彼女たち二人以外には、ピコーラの母ポーリーンの過去と父チョリーの過去、そしてクローディアから眼を青くしてほしいと請われる客員牧師ソープヘッド・チャーチの章が設けられています。クローディアの年齢は当時の著者の年齢と合致しており、彼女は著者の分身でもあるのでしょう。 主題だけではなく、小説としての構成、少女たちの目に映る社会の姿など、目を見張る点が多々ありました。心に深く刻まれ、容易には整理し難い小説です。本書を知ってからしばらく躊躇していたのですが、読んで良かったです。気になっている方はぜひ。
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何とか原書で読んでみた。主要でないとおぼしきところは飛ばしたりしたので消化不良かも。世間での高評価ほど感動せず。語り手の少女が貰った人形が白い肌で青い目でそれがかわいいとされてきるのに自分が違うので複雑な気持ちになるとか、子供の頃からマイナスなバイアスを抱えるのが伝わる。親に捨て...
何とか原書で読んでみた。主要でないとおぼしきところは飛ばしたりしたので消化不良かも。世間での高評価ほど感動せず。語り手の少女が貰った人形が白い肌で青い目でそれがかわいいとされてきるのに自分が違うので複雑な気持ちになるとか、子供の頃からマイナスなバイアスを抱えるのが伝わる。親に捨てられて育ったから自分が父親になっても、世間の父親のような対し方がわからないとか。自分の父親の子供を産むことが必ずしも不幸とは決めつけられない。そう決めているのは社会。しかし自分で生き方を選べないのは良くないし幼いうちにその境遇になるのは悲惨だ。その悲惨さを生み出している連鎖は描かれていると思う。
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以前、西加奈子さんが紹介していたのを見て、読んでみました。 読みやすいけれども、ずっしりときた。この本を読み終わった日にはピコーラーのことお母さんのこと、お父さんのこと、、、たくさんの人に思いを馳せてしまい、眠ることができなかった。きっとどうやってもなかなか打破できない状況という...
以前、西加奈子さんが紹介していたのを見て、読んでみました。 読みやすいけれども、ずっしりときた。この本を読み終わった日にはピコーラーのことお母さんのこと、お父さんのこと、、、たくさんの人に思いを馳せてしまい、眠ることができなかった。きっとどうやってもなかなか打破できない状況ということをリアルに感じ、そして私もその作品に入ってしまった時に、何もできない傍観者のような気持ちになったからかもしれない。なんだか、近所にいたり、すこし知っている人の「ゴシップ」(もっとずっしりとしたものだけど、、)を聞いたような気持ちになった。同じ人種の中の差別、壊れてしまった夫婦、過去のトラウマや憎悪、あらゆる面が紡がれていっている。
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