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日の名残り の商品レビュー

4.3

638件のお客様レビュー

  1. 5つ

    262

  2. 4つ

    204

  3. 3つ

    94

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    9

  5. 1つ

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2024/12/04

いつも以上に回想長めの、話前後多めの、後悔多め。カズオ・イシグロだあ、。 ほんとに優等生みたいな本の描き方するこの人。面白い。 読書してる気分になるから、たまには読みたい

Posted byブクログ

2024/11/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

執事の"忠誠的"品格たるものを追い求めてきたスティーブンスが、その品格の鎖に囚われて、人本来の大切なものたちを拾い損ねていたのに気づく。ミスケントンとは相思相愛にしか見えないのだが、これに気づけずに、長年の時がそれを思い知らせてしまうのが心を縛る鎖を証明するようで心が痛む。 彼の誇りは終わりゆくもの。そして、それは古き良き英国の消失としても示唆される。 しかし、彼も、英国もまた、新たな生を歩もうとしている。仄かに示された希望は、鎖が解けて、ようやく前へ進んでいけるような、解放に似た清涼感を漂わせていた。

Posted byブクログ

2024/11/18

物語の良さはこういうところにあると思う。国も性別も時代も考え方も生き方も全く違う人に寄り添って旅をする。100パーセント共感することも想像することも無理に違いない。でも、読み終わったあと、1日のうちで夕方が一番いい、としみじみとそう思う。人生においても終わり方が味わい深い、とこの...

物語の良さはこういうところにあると思う。国も性別も時代も考え方も生き方も全く違う人に寄り添って旅をする。100パーセント共感することも想像することも無理に違いない。でも、読み終わったあと、1日のうちで夕方が一番いい、としみじみとそう思う。人生においても終わり方が味わい深い、とこの歳になるとほんとにそう思う。スティーブンスは品格を備えた執事としての矜持を保ったまま、人生の夕暮れを迎えている。

Posted byブクログ

2024/11/17

書評読んで気になっていたので購読 イギリスの栄光と衰退、アメリカへの世界覇権の移行…といった時代背景もスッと入ってくるが、1人の人間の人生を振り返る話として読み応えがある。執事として仕事を常に人生の最優先事項とし、周囲のメンバーへの心遣いを忘れ、最も身近な素敵な女性の存在に気付...

書評読んで気になっていたので購読 イギリスの栄光と衰退、アメリカへの世界覇権の移行…といった時代背景もスッと入ってくるが、1人の人間の人生を振り返る話として読み応えがある。執事として仕事を常に人生の最優先事項とし、周囲のメンバーへの心遣いを忘れ、最も身近な素敵な女性の存在に気付きながらも職業人としての自分を優先してしまったことへの後悔… 人生のエッセンスが詰まってると思う。

Posted byブクログ

2024/11/11

かなり好みの作品だった。英国執事スティーブンスは、仕えているアメリカ人の主人より休暇をもらう。主人の車を借りて、スティーブンスは短い旅に出る。旅の途中、過去に長年仕えたダーリントン卿への思い、父や女中頭との思い出、そして執事の品格に思いをはせる。しかし最終的には、世間から理解を得...

かなり好みの作品だった。英国執事スティーブンスは、仕えているアメリカ人の主人より休暇をもらう。主人の車を借りて、スティーブンスは短い旅に出る。旅の途中、過去に長年仕えたダーリントン卿への思い、父や女中頭との思い出、そして執事の品格に思いをはせる。しかし最終的には、世間から理解を得られなかったダーリントン卿に仕えた事実、女中頭の想いに気づかなかった事実、そして前ほどの仕事ぶりを発揮できない事実をスティーブンスは吐き出す。とはいえ、スティーブンスの語る「品格」は、個人的に胸をうつ。

Posted byブクログ

2024/11/10

これはノーベル賞納得。文体に魅力がものすごいあるわけじゃないから最初数十ページは面白さがイマイチ分からなかったけど、人生の悲哀を書くのが上手すぎるし、執事という視点も素晴らしい。

Posted byブクログ

2024/11/07

伝統的な英国の執事の世界。雇い主に対する忠誠心の強さ、徹底的なプロ意識。人生を捧げたその生き様に脱帽しました。けれど、時代の移り変わり、人生を振り返った時に感じた後悔に涙したのか…哀愁を感じました。

Posted byブクログ

2024/08/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

主人公視点だが常に客観的な見方をするから、主人公の感情は見えない。けれど、周りの人達の反応からするに、主人公は品格を保とうと冷静にしているはずが実は冷静でいられてないのではと思った。仕事、品格を一番にしており、それによって大事なものを失っていることに気づいていないような描写だが、実はそれに気づいていながら無視しているだけなのでは。 仕事以外の大事なことを捨てるのは簡単だが、捨てる判断が正しいと思い込むのは難しいのかもしれない。 それでも、世界を動かす影響を持つご主人に忠誠心を持って品格をそなえて仕える姿はとてもかっこいい。特に戦争の時代だったから。仕事とプライベートで、プライベートを取る人に読んでみてほしいかも。どんな感想を持つか気になる。スティーブンスは仕事をとったから違う視点。 主人公の執事の感情を直接描写せずに、周りの人の発言(ミスケントンが、スティーブンスのことを慌ただしいと言ったり、、)で描写しているところが面白かった。 「何か真に価値があるもののために微力を尽くそうと願い、それを試みるだけで十分であるような気がいたします」結果的にその行動が正しいかは分からなくても、全力を尽くす事自体に意味がある。満足感と誇りを持てる。

Posted byブクログ

2024/09/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

物語は英国の伝統的な執事の一人語り調で進んでいく。 読み進めるにしたがって、なんか語りに違和感を覚える。嘘を言ってるわけじゃないんだけど、なんというか、昔あったバーティミアスというファンタジーの主人公のように、やたら自分を大きく見せたがっている人の語りのように感じてしまう。 最後まで読んでその謎がわかる。この執事は繰り返し一流の執事の条件を語るんだけど、それは社会の中心を担う偉大な主人をサポートすることだと語る。そしてどんな時にも職務を全うすることが品格だとも。 自分が尊敬してやまないダーリントン卿が、その人の良さによってドイツのナチスと通じていたという疑いをかけられ、不本意な死を遂げる。そのせいで、執事は自分が誰に仕えていたか聞かれても、自信を持って答えられないでいる。執事は心から卿を尊敬していたけど、もしかすると卿はもともと偉大とはかけ離れた人物かもしれない。 また、どんな時でも仕事を全うするという、執事が理想とする品格が邪魔になり、おそらく両思いになっていただろう女性と全くのすれ違いになってしまう。 この、自分が信じていた偉大な主人と品格が脆くも崩れ去ったという後悔と、自分の人生は立派だったと思いたい葛藤がむちゃくちゃリアルに描かれた作品。 ある程度歳を行けば、あの時こうしてたら人生違ったものになっていたのかなと振り返ることは多々あると思うんだけど、その辺の心情がすごく丁寧に描かれていた。

Posted byブクログ

2024/07/21

ふと昔、読んだことを思い出した。信頼できない語り手技法があるとしり代表的なものをと手に取った。諧謔に満ちた執事の切ない恋路の話だったと記憶している。

Posted byブクログ