薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 の商品レビュー
人それぞれ
恋愛も結婚も家庭も、人それぞれの考え方と生き方がありますが、この本に出てくる9人の女性たちの場合は……?女性が持つ強さとあやうさ。繊細で複雑な心のうちが、残酷なほど見事に描かれる。江國ワールド全開。
yama
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
江國香織さんの文章は美しくて、珍しくて、たまらない気持ちになる。いつだって予想できない、でもいっぱいいっぱい頷くことのできるフレーズが癖になって何度でも読み返したくなる。 彼女のお話に登場する女性はみんなわがままで美しくて、私は読む度いつも少しだけ背伸びをしたくなって、自分が好きなものを見つめ直したくなって、1冊1冊を読み切る毎に魅力的な女性に近付けているようで楽しくて、とっても嬉しい。 この本に出てくる女性はそれぞれ結婚していたりしていなかったり、恋をしていたりしていなかったり。読んでいて1番頭に残ったのが 「みんな、いちばん愛したひととはちがう相手と一緒にいるみたい」 「でも、すぎてしまえばずっと一緒にいた相手をいちばん愛していたと思ってしまうのね、きっと」 という会話で、いちばん愛した人を手に入れることはきっと難しいのだろうと思う。いちばん愛しているからいちばんたくさんの事を期待してしまうし、いちばん自分をすり減らしてきっと長く一緒には居られないんじゃないかなと感じた。それに人は失ったものを美化してしまって、そばにある美しいものには気付くことが出来ないんだろうなと思う。
Posted by
20年以上昔に買った本を、何度目なのか分からないくらいの読み直し。それぞれの夫婦の形、恋愛の形、家族の形があって、色々と思い出したり、想像したりしながら、やっぱり江國香織さんの本は、行間の余韻がいいなぁ、と、思いながら、またも心が引っ張られてしまった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
不倫、恋愛関係の拗れがいくつも同時展開される、かつ、登場人物たちの生活や心情があまりにも自分のものとはかけ離れているので、ちょっと読みにくかったです。胃もたれしそうでした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
夫婦を軸にした群集劇といった内容ですが、幸せな結婚をしているカップルが全く出てこない点が特徴です。 終始「お洒落感を演出」しているのが鼻につくなという印象で終わってしまいました。
Posted by
読むべき時に、読み始めた気がする。 彼女たちは、彼らは、どうしてこうも強気に、というか、確立して生きられるんだろう。 敢えて言うなれば、そこだと思う。こんなにきちんと気持ちを放出できるだろうか。 周囲の友人らに当て嵌めてみたら、何だか面白かった。 自分の気持ちに正直であり...
読むべき時に、読み始めた気がする。 彼女たちは、彼らは、どうしてこうも強気に、というか、確立して生きられるんだろう。 敢えて言うなれば、そこだと思う。こんなにきちんと気持ちを放出できるだろうか。 周囲の友人らに当て嵌めてみたら、何だか面白かった。 自分の気持ちに正直でありたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
登場人物が多くて、物語に入り込むまでに時間がかかりました。 ただ、それぞれがどんな人物か読めてきた後半は凄く面白くて、知らず知らずのうちに惹き付けられて、最後まで一気に読んでしまいました。 色んな形の愛や恋を描いた作品。愛っていうか、夫婦の形って言った方がいいのかも。 なにしろ登場人物たちの半分以上が、既婚者だったので。 結婚した夫婦たちが、それぞれにする恋、そして夫婦間の不思議な関係。 江國さんは、ほんとに不倫ものが多いですよね……。 夫婦でお互いに不倫してるとか、ざらにありますもんね。 ただどちらも家庭の外に恋人がいながらも、夫婦としての関係は必要としているし、壊す気がないんだよね。この作品では、道子と山岸、あと、夫は浮気してないけどそれが顕著なのが、陶子と水沼。 その関係性が奇妙なんだけど、何だか分かるような気がするのが、江國さんの魅力なのかな、と思った。ただ幸せな結婚ものはあまりないので、結婚に対しての悪いイメージしか湧きません…。 この作品には女にモテモテの、というか妻がいながら二人の若い子に言い寄られる土屋っていうカメラマンがいるんだけど、そのモテぶりが凄い。妻のれいこは美人で仕事も出来て料理も上手い。そんな妻がいながら衿っていうモデルにはそりゃまあ、熱烈に愛されていて、しかも女の私から見てもメチャクチャいい子。れいこの所で働く桜子っていうアルバイトも、ちょっと粘着質で怖いくらい土屋のこと愛してる。 ただ私には、土屋の魅力がさっぱり分からなかった……。クズみたいな内面を読んでるからかなぁ…。 私は陶子が一番好きだな。 ほわほわしてるようで、自分を守ってくれるべき場所はしっかり確保しながら、情熱的な恋にも手を出す強かさ。刹那的な恋に溺れることなく、遊びは遊び、と割りきれるどこか冷めてるところも。 ただこんな生き方してたら、ふと自分の人生を虚しく感じそうだなぁ……。 痛い目みても、やっぱり自分に正直に真っ直ぐ生きたい。
Posted by
江國香織版、既婚者の『フレンズ』のような笑 でも結局は、近場で全てを動かしてしまうのが人間なのかも。袖触れ合うも他生の縁。
Posted by
人から見れば恵まれた結婚生活を送る陶子、その妹で少し風変わりな草子、女性に凡庸な妻らしさを望み自分自身を変える事を望まない夫の水沼。 陶子の学生時代からの友人で、完璧主義に伴いそれを貫くれいこ、その夫で恋愛が人生を彩ると考えている土屋、れいこの元で働き同じく完璧主義だがまだ子供ら...
人から見れば恵まれた結婚生活を送る陶子、その妹で少し風変わりな草子、女性に凡庸な妻らしさを望み自分自身を変える事を望まない夫の水沼。 陶子の学生時代からの友人で、完璧主義に伴いそれを貫くれいこ、その夫で恋愛が人生を彩ると考えている土屋、れいこの元で働き同じく完璧主義だがまだ子供らしさを感じさせる桜子。 念願の花屋を成功させたエミ子、その裏で崩壊していったものの象徴のような夫の藤岡。 陶子の元恋人であり女性を信じられなくなった山岸、その原因の一つでもある道子。 平凡な結婚生活と息子の育児、そんな全ての日常で悩みを抱えるどこにでもいるような主婦の綾、同じように平凡な生活と職場での日々を繰り返しているその夫の修一。 三世代に渡る母子家庭で育ったモデルの襟。 草子の友人であり、四十歳という年齢も考え、色んな事に於いて成功しているもののどこか満たされない麻里江。 少し登場人物が多すぎるかな?と思い、途中疲れてしまったのが本音でしたが、読み進めるにつれて登場人物人物の誰かに読み手が共感してしまうだろうな…と。 誰もが自分を幸せである、と思い、思い込み、そしてそれが少しずつ捻じくれていく。 救いはないのかもしれないけれど、どれも誰にとっても真実で日常。 後味はあんまり良くないのかもしれない。でも、生きていく事ってこういう事の積み重ねなのかも。 相変わらず台詞一つ一つにドキッとさせられます。 江國作品によく出て来る女性の陶子がお気に入りのキャラクターでした。
Posted by
誰も悪くないような、誰ひとりまともな人がいないような。 お金には苦労せずに質の高い暮らしをする人々(それについては登場人物達にとっては無意識なことで、日々の生活描写から滲み出る)の話。でも、幸せなのかどうなのか。 それぞれの登場人物視点で話が進んでいき、その描き分けが見事。 何...
誰も悪くないような、誰ひとりまともな人がいないような。 お金には苦労せずに質の高い暮らしをする人々(それについては登場人物達にとっては無意識なことで、日々の生活描写から滲み出る)の話。でも、幸せなのかどうなのか。 それぞれの登場人物視点で話が進んでいき、その描き分けが見事。 何故だか好きな物語。何度も読み返してその世界に入ってしまう。
Posted by