砂糖の世界史 の商品レビュー
名著。大学時代にウォーラステインの世界システム論を読んでいたが、まさかこんなところで同じアプローチに出会うとは。具体例が豊富でわかりやすい。大学時代にこの本に出会えていたら、もっと授業が楽しかった、かつ成績もよかったに違いない。 それはそうと、奴隷の歴史は自由貿易の負の面として...
名著。大学時代にウォーラステインの世界システム論を読んでいたが、まさかこんなところで同じアプローチに出会うとは。具体例が豊富でわかりやすい。大学時代にこの本に出会えていたら、もっと授業が楽しかった、かつ成績もよかったに違いない。 それはそうと、奴隷の歴史は自由貿易の負の面として直視できるのはよかった。奴隷がなくなっても単一産品でなかなか富まない国も多い。西欧がつくりあげた宿痾から、いまだに抜け出せない国の国民はどう感じるのだろう?ジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」の世界観と比べながら考えてみると知的な刺激にもなる。 また、イギリスの食文化、喫茶店がない(正確には消えた)理由なども興味深い。彼の国の料理が美味しくないと言われる理由にもつながるのだろうか。
Posted by
我々の食生活に深く根ざし、無くてはならない砂糖がどのように作られ、急速に世界へ広まったか紐解いてくれる本。世界的な人気商品(本書では「世界商品」と呼ぶ)をどの国が握るかで常に競争が繰り返され、大量生産のため奴隷制度と深く結びついていく……。一つの調味料の歴史を追うことが世界の歴史...
我々の食生活に深く根ざし、無くてはならない砂糖がどのように作られ、急速に世界へ広まったか紐解いてくれる本。世界的な人気商品(本書では「世界商品」と呼ぶ)をどの国が握るかで常に競争が繰り返され、大量生産のため奴隷制度と深く結びついていく……。一つの調味料の歴史を追うことが世界の歴史を追うことに繋がり、そこから派生した様々なモノや文化を知ることができてすごく面白かった。本書では繰り返し現代まで爪痕を残す過去の奴隷制度について語られ、それは私達の世界におけるアジアやアフリカへと地続きであるのだと実感ができる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
おもしろかった。 ジュニア新書とあるので中高生向けのようだが社会人になってたまたま見かけて読んだ。自分に子どもが生まれたら読ませたい。 モノカルチャー、プランテーション、ボストン茶会事件など、言葉は何となく学んで覚えていたけれどその裏の事情がわかりより興味深い。
Posted by
砂糖きびの生産に適したカリブ。現地カリブの奴隷を使って生産。しかし現地カリブの奴隷はヨーロッパ人が持ち込んだ疫病で激減。そこで代わりの労働力(黒人奴隷)をアフリカから「調達」し、砂糖を作らせヨーロッパに運んだ。 カリブ海に産業が成立しなかったのは、黒人が怠け者だったからではない...
砂糖きびの生産に適したカリブ。現地カリブの奴隷を使って生産。しかし現地カリブの奴隷はヨーロッパ人が持ち込んだ疫病で激減。そこで代わりの労働力(黒人奴隷)をアフリカから「調達」し、砂糖を作らせヨーロッパに運んだ。 カリブ海に産業が成立しなかったのは、黒人が怠け者だったからではない。ヨーロッパ人が彼らに砂糖きびを作らせ、単一品種を栽培する経済にしてしまったから。※フランク、ウォーラーステインからの影響。 ※ブラジル(旧ポルトガル領)。現在でも世界一の砂糖生産量。ポルトガル語「confeito(砂糖菓子)」から「コンペイトウ(金米糖)」。 ※英。紅茶は高価、砂糖も高価。紅茶に砂糖を入れた飲み物は超高価。ステイタス・シンボルだった。お茶に砂糖を入れるという破天荒な発想。 ※アラビア人からコーヒー。中国人から茶。アステカ人からチョコレート。いずれも砂糖を入れる。 ※ジャマイカ。1494からスペイン領。1655から英領(クロムウェルによる征服)。黒人奴隷に砂糖きびを栽培させた。 ※チョコレートはもともと飲み物。後に固めるようになった。 ※ヨーロッパには主食とおかずという考え方がない。
Posted by
中高生の時に読んだもの。すごく面白かったので特装版表紙を機に改めて購入し読んだ。 砂糖を中心に世界が繋がっていくのが面白い。現代の国際問題も近世の砂糖貿易に一因かあるのかと思うと、歴史の根深さに慄いてしまう。アフタヌーンティーは最近ヌン活と称して流行っているけど、その文化の裏には...
中高生の時に読んだもの。すごく面白かったので特装版表紙を機に改めて購入し読んだ。 砂糖を中心に世界が繋がっていくのが面白い。現代の国際問題も近世の砂糖貿易に一因かあるのかと思うと、歴史の根深さに慄いてしまう。アフタヌーンティーは最近ヌン活と称して流行っているけど、その文化の裏にはグロテスクな搾取の歴史があったのかと思うと、これからは複雑な思いが脳裏をよぎるかも…
Posted by
人の名前や年号は全く覚えてないけど、砂糖を通して不思議と世界史を学べた感覚。中高生じゃなくても楽しめる&学べる良書。
Posted by
国の貧富差がなぜ起きたのか?を砂糖をテーマに語った本。国の国民性ではなく、世界経済の流れで貧富ができたことがよく分かった。 あと、当時の人々の生活も垣間見え、おもしろかった。
Posted by
「歴史を学ぶということは、年代や事件や人名をたくさん覚え込むことでありません。いま私たちの生きている世界が、どのようにしてこんにちのような姿になってきたのかを、身近なところから考えてみることなのです。」 あとがきにあった一文、本書はまさにこれを体現した本でした。 歴史で学んだ...
「歴史を学ぶということは、年代や事件や人名をたくさん覚え込むことでありません。いま私たちの生きている世界が、どのようにしてこんにちのような姿になってきたのかを、身近なところから考えてみることなのです。」 あとがきにあった一文、本書はまさにこれを体現した本でした。 歴史で学んだこと、今の世界のありさま、世界で起きていること、それぞれの点と点が本書を通じて線となり繋がる感覚を覚えました。 なぜ先進国と発展途上国があるのか、なぜイギリスでは紅茶が人気なのか、なぜ紅茶に砂糖を入れるのか。 今まで当然と思ってなぜとも考えてたこともなかった世界に、別の視点を与えてくれる良書でした。
Posted by
モノを中心として歴史を俯瞰する。面白い視点だ。 まずは砂糖が国際商品ということ認識から。 次に砂糖がいかに各国に浸透したか、それによって生活が変わったか。 最後に、そして砂糖を原因としていかに歴史が動いたか。 読了45分
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
砂糖の発見から、どのように消費されるようになったか。 世界史に詳しくない人間(私)でも読める本だった。 96年なので少し古いなと感じる点(人工甘味料)もあったが、全体的には勉強になった。
Posted by