竜馬がゆく 新装版(六) の商品レビュー
薩長同盟締結、馬関沖の幕府海軍を蹴散らす龍馬の活躍ぶりに魂が揺さぶられるくらいの豪胆、快活ぶりを感じざるを得ない。
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「これで、薩長連合は成立した。 歴史は回転し、時勢はこの夜を境に倒幕段階に入った。一介の土佐浪人からでたこのひとことのふしぎさを書こうとして、筆者は、三千枚ちかくの枚数をついやしてきたように思われる。事のなるならぬは、それを言う人間による、ということを、この若者によって筆者は考え...
「これで、薩長連合は成立した。 歴史は回転し、時勢はこの夜を境に倒幕段階に入った。一介の土佐浪人からでたこのひとことのふしぎさを書こうとして、筆者は、三千枚ちかくの枚数をついやしてきたように思われる。事のなるならぬは、それを言う人間による、ということを、この若者によって筆者は考えようとした。」 「『生死などは取り立てて考えるほどのものではない。何をするかという事だけだと思っている。世に生をえるは事を成すにあり、と自分は考えている。』 『事とは何ですか』 『しごとのことさ。仕事といっても、あれだな、先人の真似事はくだらぬと思っているな。釈迦や孔子も、人真似でない生き方をしたから、あれはあれでえらいのだろう』」 「『おりょうよ、世間のすべてはこうだ、遠きにいるときは神秘めかしく見えるが、近づいてみればこのたぐいだ。将軍、大名のたぐいもこれとかわらない』」 「武士の道徳は、煮詰めてしまえばたった一つの徳目に落ちつくであろう、潔さ、ということだ。」 「古来、英雄豪傑とは、老獪と純情つかいわけのうまい男をいうのだ」 「平等と自由。 という言葉こそ竜馬は知らなかったが、その概念を強烈に持っていた。この点、同じ革命集団でも、長州藩や薩摩藩とは違っている。余談ながら、維新後、土佐人が自由民権運動をおこし、その牙城となり、薩長がつくった藩閥政府と明治絶対体制に反抗してゆくのは、かれらの宿命というほかない。」
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※このレビューにはネタバレを含みます
長州でクーデターが起こり、佐幕派が粛清され、また勤皇党が勢力を握る。竜馬はまず、薩摩を懐柔する。第二時長州征伐に向け、幕府が動き出すが、遅々として進まない。特に薩摩は第二時征伐には、それは徳川の私闘であるとし、参加を拒んだ。且つ諸藩も戦費がまたかかるので、余り積極的ではないと言った状況。幕府は諸藩に金を出させ、且つ兵隊を出させて戦をしようとするが、ご威光が過去の栄光に成り下がっていて、中々そうはいかない。そして、のろのろしている間に、長州は着々と戦争に備える。その準備には竜馬の亀山社中が活躍する。長州の武器の買い付けに同行し、価格、量等相談にのった。ここに後の伊藤博文が出てくる。長州の武器入手に大いに助けとなる。また、感謝される。が、買い付けに同行しただけなので、商売した訳ではなく、条件も後で反故にされ、恩だけを売った形となり、社中の運営には余り寄与しないのが、至極残念。また、買い付けに協力した饅頭屋も後に切腹する。社中では、戦でなく、人が死ぬ。折角手に入れた船が難破し、溺死。竜馬は泣くに泣けなかっただろう。人に任せると言う事は、社長業として必要な事ではあるが、やはり、割り切れないモノがあるはずである。後に資金繰りがつかず、社中を解散しようとした時も、皆に止められ、皆に協力を得て凌ごうとする。良い社員に恵まれ、良い会社の資質を手にしている。 竜馬は、薩摩に株主になってもらい、先に船を手に入れる算段を付ける。そこは商売人の本領発揮と言ったところ。薩摩もいちいち文句は垂れない。薩長の同盟も薩摩に打診し、長州に話をし、それぞれに進めて行く。どうして犬猿の仲の薩長が手を結ぶ運びとなったかを表現するのは難しいと著者も言っているが、それがなったのだから、すごい。また、成る直前の意地の張り合い等、面子で生きている侍は難しい生き物なのだなあと感じた。設立後、竜馬は寺田屋で危機に瀕するが、何とか逃げおおせて、薩摩に匿われ、療養をする。長州は幕府と戦える力を手にし、また、薩摩を戦争に参加させず、いよいよ長州との戦が始まる。長州は死力を振るって戦い、竜馬は海から参戦する。幕府軍を破り、(幕府軍は余りやる気がなさそうではあるが)軍令老中小笠原を撤退させ、幕府に勝つのであった。
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薩長同盟が成り立つ前後のダイナミックな巻。頑固に薩摩への不信感を抱く桂小五郎を見事に説得する件(くだり)が印象的。他にも寺田屋からの脱出、亀山社中関係では竜馬と同郷の近藤長次郎が切腹に至る経緯など、ドラマの連続。おりょう、その他(?)との恋物語もちょっとあり。京都、長崎、下関あた...
薩長同盟が成り立つ前後のダイナミックな巻。頑固に薩摩への不信感を抱く桂小五郎を見事に説得する件(くだり)が印象的。他にも寺田屋からの脱出、亀山社中関係では竜馬と同郷の近藤長次郎が切腹に至る経緯など、ドラマの連続。おりょう、その他(?)との恋物語もちょっとあり。京都、長崎、下関あたりが主な舞台。
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いよいよ薩長同盟と相成った。 竜馬の活躍ぶりは目覚ましく、見ていてハラハラするほどである。 早く続きが読みたい。
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坂本龍馬ならぬ坂本「竜馬」の人生譚。虚構が色々と盛られている点(だからこその「竜馬」)に賛否両論があるが、長編に飽きさせず読者を惹きつけ、坂本龍馬という人物の魅力を伝えるという意味において、これはさすが司馬遼太郎というべきだろうと思う。
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薩長同盟の締結、海援隊の設立、幕長戦争など歴史的な出来事がたくさん。 事の成るならぬは、それを言う人間による。
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どんなことに関しても、どんなに犬猿の仲だとしても、どこかで双方の利害の一致するところはないかと探し、お互いwin-winの実利をもって手を握らせようとする竜馬。その力、思想に、いやぁ脱帽。 この巻は、竜馬がもうずっと爽快!!
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元治二年正月の絵堂の戦い。そして、亀中社中設立、慶応二年正月の薩長同盟、伏見寺田屋での襲撃、慶応二年七月の第二次長州征討での幕府軍敗退までを描いている。 坂本竜馬が時代を動かしていく様が描かれている。 幕藩体制を超えた世界観を持ち、天下一階級という理念を持ち、相手の利を図り...
元治二年正月の絵堂の戦い。そして、亀中社中設立、慶応二年正月の薩長同盟、伏見寺田屋での襲撃、慶応二年七月の第二次長州征討での幕府軍敗退までを描いている。 坂本竜馬が時代を動かしていく様が描かれている。 幕藩体制を超えた世界観を持ち、天下一階級という理念を持ち、相手の利を図り説得する交渉術を持ち、死を恐れない勇気を持っている。まさに偉人と呼ぶに相応しい人物だ。
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司馬遼太郎の代表作としていつか読もうと思っていた作品。 母の坂本竜馬好きから、幼いころより坂本竜馬の逸話をよく聞かされていた。自分自身『おーい、竜馬』を読んだり、他の作品にでてくる坂本竜馬を通して何をした人でどんな人なのかある程度は把握しているつもりだったが、この作品を読んでみて...
司馬遼太郎の代表作としていつか読もうと思っていた作品。 母の坂本竜馬好きから、幼いころより坂本竜馬の逸話をよく聞かされていた。自分自身『おーい、竜馬』を読んだり、他の作品にでてくる坂本竜馬を通して何をした人でどんな人なのかある程度は把握しているつもりだったが、この作品を読んでみてそれを遥かに超える人だと思った。感動のあまり、高知へ旅行し、竜馬記念館も見てきた。 無論、司馬史観による坂本竜馬像ではあるが、それでも日本史上にこのような偉大な人物がいたのかと驚きとともに自分が日本人であることに誇りを感じることができた。まず、考え方というか、その思想が稀有であり、それはこの時代に生まれた人では決して行きつくことのない考え方のように思えた。決して革命家ではなく、かといって思想家でもない。その思想を行動で体現しようと短い人生(特に晩年)の活動の密度の濃さは驚愕する。一体、脱藩前、土佐での空白の1年間にどんなことを考えたのか知りたい。 竜馬が生涯に発言したとされる言葉に 「おれは落胆するよりも次の策を考えるほうの人間だ」 「男なら死ぬときは、例え溝の中でも前のめりに死にたい」 「自分こそが今の時代に必要なんだ、そう信じなさい。すべてはそこから始まるんだ、すべてはそこからなんだ。」 があると言われているが、本当にこの通り生きた人だと思う。 何度読んでも勇気づけられる。
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