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これがニーチェだ の商品レビュー

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46件のお客様レビュー

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 「多くの書物がニー…

 「多くの書物がニーチェから問いではなく、答えを受け取ってしまっている」と著者はいう。この言葉にこの本の性格が現れている。本書は永井が永井の読み方でニーチェの著作をよみ、ニーチェの問い契機にして、永井自身の問いを問う本である。およそ本というものは、少なくとも哲学書というものは永井...

 「多くの書物がニーチェから問いではなく、答えを受け取ってしまっている」と著者はいう。この言葉にこの本の性格が現れている。本書は永井が永井の読み方でニーチェの著作をよみ、ニーチェの問い契機にして、永井自身の問いを問う本である。およそ本というものは、少なくとも哲学書というものは永井が本書で実践するように読み、考える本であろう。本書はその意味でいわゆる哲学の実践の型を示している。そこに本書のニーチェの著作を読む前にも読んだ後にも読み返せる魅力がある。最後に著者は問う。「これが私のニーチェだ。あなたのニーチェは

文庫OFF

2024/06/25

伝記的な記述や、ニーチェと言えばこれという概念(ニヒリズム、力への意志、永遠回帰)の説明もあり、入門書としても十分読めるものの、著者のカラーは強めである。ニーチェの言説には矛盾と思われるものが多くある(例えば、意志について語ったかと思えば、意志など存在しない、と言ったり)。著者は...

伝記的な記述や、ニーチェと言えばこれという概念(ニヒリズム、力への意志、永遠回帰)の説明もあり、入門書としても十分読めるものの、著者のカラーは強めである。ニーチェの言説には矛盾と思われるものが多くある(例えば、意志について語ったかと思えば、意志など存在しない、と言ったり)。著者はニーチェの哲学全体を第一空間、第二空間、第三空間と分けて把握しており、これによって全体が矛盾なくつながったように感じた。 巷にあふれるグロテスクな「社会の役に立つ」「生きる勇気を与える」ニーチェ本とは比較できない、素晴らしい書。 私が常に感じていた「貴族道徳を標榜するニーチェが、なぜここまで口汚いのか?なぜここまで顔を真っ赤にして他者を罵倒するのか?」に一つの回答が得られたのは良かった。やはりニーチェもルサンチマンの人間だったのだ。ニーチェ=ツァラトゥストラは第三工程の子供になりきれていない。子供になることを夢見る獅子なのだ。 そして、ニーチェの哲学の限界点、ルサンチマンを脱した、遊ぶ子供の聖なる肯定、それがこんなふうに称揚される。 『存在するすべてが肯定されるのは、究極的な価値基準によってそれらが肯定されるからではない。そんな価値基準が究極的にはないことによってこそ、それは端的に肯定されるのである。』 このような在り方は、実存主義的な、歯を食いしばって青筋を浮かべるようなニーチェ解釈では無理があるのではないだろうか。もっと朗らかで、もっと率直な顔をしていないか。この書の中で言うなら、十字架に至る前のイエスだろう。この書には挙げられていない例として、私はスピノザの顔が浮かんだ。

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2024/03/01

ニーチェの分かりやすい入門を期待してたのに開けてみたら著者のニーチェの批判だった……メルカリ行き 著者の感想文が欲しいのではなく、ニーチェの思想がどんなものなのか説明するだけで良かったのに残念

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2023/11/18

あるところで薦められていたので読んでみました。 この本を読むに足るだけの知識が自分にはなく、読み進めるのになかなか苦労しましたが、ニーチェの「神は死んだ」について、何となくは理解できた気がします。 が、著者も書いているように、本書は著者が思うところのニーチェであって、ニーチェには...

あるところで薦められていたので読んでみました。 この本を読むに足るだけの知識が自分にはなく、読み進めるのになかなか苦労しましたが、ニーチェの「神は死んだ」について、何となくは理解できた気がします。 が、著者も書いているように、本書は著者が思うところのニーチェであって、ニーチェには、もっと多面的な見方があると思うので、時間を見つけて、他のニーチェ本も読んでみたいと思います。 哲学もそうですが、人文科学や社会科学は、数学でいうところの公理ほどは、確実な土台がないので、根本的なところを考えだすと、なかなか厄介ですね。 まあ、それはそれで面白いところはあるのですが。

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2023/09/22

一章 道徳について 道徳を基礎付けるものはなく、道徳的だから、道徳行為は正当化されると言うトートロジーの説明に終始する。

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2023/01/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

哲学初心者の私ですらこの分野のアイドル的存在との認識がある、ニーチェ関連本に初挑戦。しかし、永井均先生の主張が多分に織り込まれており読み解くのに四苦八苦してしまったのです。 なぜ読むのに苦労するのかと考えると、ニーチェの王道的な思想を学ぶ前に、本作の世間一般的なニーチェ論に対する批判と対峙することになったからだろうと憶測されます。でも逆に、私のニーチェ像は本作から出発することとなり、ある意味で恵まれているではあるのかなと感覚的に察する。 相手の気持ちを慮ってできることを手助けしようといった慈愛なんてものは、何となく刷り込まれているけどもそれが同情になっているとそれは暴力であると指摘する。その精神的な侵略は逆に相手を傷つけてしまう可能性を感じた。 P47:敵は私を理解しようなどとはしない。だから、私の固有性は敵からはいつも守られている。だが、同情者は違う。彼らはいつも自分自身の知性と感性を携えて私の内面深くに入り込んできて、私を理解という名の暴力でずたずたにされてしまう。 ルサンチマンにおける僧侶的価値評価の巧妙な例え。タームとしては、奴隷道徳に該当するのかな。 P95:ぶどうに手の届かなかった狐が、「あれは酸っぱい部ぶどうだ」と言ったとしても、それはすでにある価値空間の内部で対象の価値を引き下げているにすぎない。・・価値の転倒が起こるのは「ぶどうを食べない人生こそが良い人生である」と‐人に言いふらすだけでなく‐自分の内部で実感したときである。 「力への意志」概念について言及していると思われるが、理解が追い付かない。むずい。。。 P140:いまだ実現していない自分の欲望を「そうあるべき」という形で世界に押し付け、それゆえに暗に「ものごとの進行の全体を断罪」しないではいられない。欠如と苦悩を背負った者の隠微な復習意思を起点とする、本質的にルサンチマン的で、そうであるがゆえにロマンティックな世界観である。 ここにも「力への意志」を理解する一助となる文章がある。 P144:ニーチェの力への意志説は贋金をモデルにした貨幣論なのである。それは何かを‐じつは自分の必要から‐真理であると信じ込むことなしに生きてはいけない弱者の存在様式をモデルにした人間理解であり、弱さと卑小性を最も抽象化された本質を世界へ投影した世界解釈なのである。 永遠回帰は仏教にある輪廻と相似かなと思ったら、全然違った。たった一つの固有である人生を良いも悪いも一切合切違わぬ形で永遠に繰り返すという思想だった。諦観・無常なんて概念はなく、途轍もなく人生への熱量が大きい気力たっぷりの概念かなと理解。 「超人」は実社会には全く適応できない感は否めない。偶然の連鎖における必然性。話が逡巡するしていて掴みどころがないが、胸のわくわく感は止まらない。そんな感じ。 P208:人生の無意味さは、耐えるべきものなのではなく、愛すべきものであり、悦ぶべきものであり、楽しむべきものなのである。 ニーチェの第一歩を踏み出しましたが、ここにハマると沼だな。過激でカリスマ性を感じずにはいられない。気持ちを落ち着かせるためにも、次はもう少しフラットなニーチェ解説をしている本で中和しようと思う。

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2022/05/16

読むのにとても疲れた。 しかし、こうした哲学的なプロセスはとても面白かった。 わからない用語や一般的なニーチェ空間の扱いについては、山川の倫理用語集を参考にした。 一歩一歩、対話形式で読むといいかもしれない。

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2022/02/08

 これぞタイトル買い。  ニーチェの本は読んだことがない。今まで読んだ本にたくさん引用があったけれど。100分de名著のようなものを読むのをやめて原典にあたろうと思っていたものの、これは積dle。  この本は著者の永井氏のニーチェ論であり、学術的な「正しい」ものを解説している...

 これぞタイトル買い。  ニーチェの本は読んだことがない。今まで読んだ本にたくさん引用があったけれど。100分de名著のようなものを読むのをやめて原典にあたろうと思っていたものの、これは積dle。  この本は著者の永井氏のニーチェ論であり、学術的な「正しい」ものを解説しているというよりは、ひとりの人間として感じたことが書かれている。  宗教的比較で仏教にも触れられているのだが、いわゆる正しい認識でないなと自分は感じたものの、永井氏の書かれるニーチェ像がかなり真宗チックで意図せずそうなっているならすごいなと思った。ニヒリズムからの絶対の肯定。うーむ。  「第一空間」、「第二空間」、「第三空間」というニーチェの思想の変遷、それぞれの段階で展開されたこと。ニーチェ自身の人生も合わさって、なんだか著者によってニーチェっていう変な人がいたんだぜっていうお話を聞いている感覚もある。  「永遠回帰」の解説。 ”人生の価値は、何か有意義なことを行ったとか、人の役に立ったとか、そういうことにあるのではない。むしろ、起こったとおりのことが起こったことにある。他にたくさんの可能性があったはずなのに、まさにこれが私の人生だったのだ。そこには、何の意味も必然性もない。何の理由も根拠もない。その事実そのものが、そのまま意義であり、価値なのである。偶然であると同時に必然でもあるこの剥き出しの事実性のうちにこそ、神性が顕現している。そこにこそ〈神〉が存在する。その奇跡に感嘆し、その〈神〉を讃えて、ニーチェがなした祝福の祈りこそ「永遠回帰」の祈りなのである。”  意味のない人生こそがわれわれの悦びの根源…。絶望の壁を眺めていたらそれがそれでいいなと思えるみたいな感じかな。こういうのって詩的な人がきっと共感するものでないかな。芸術性の高い人とか。と勝手に思う。なんとなく二種深信。  この本ではおおよそのニーチェの思想がつかめるし、勢いのある著者のニーチェ論も楽しく読める。ただし専門的なものを求めている人には向かないのではないかと思う。  著者おすすめは『この人を見よ』(自伝)、『悦ばしき知識』、『反キリスト』。自分用メモ。

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2022/01/06

ニーチェ的な視点からニーチェを批判していくという試み。著者の熱量と詩的表現が素晴らしい。ただ気になるのは、この本を含め、どのニーチェ入門書にも「ニーチェ哲学を社会の役に立たせようとすることは不可能」といった注意書きがあるのに、少なくとも現時点での私のニーチェ解釈では、むしろこんな...

ニーチェ的な視点からニーチェを批判していくという試み。著者の熱量と詩的表現が素晴らしい。ただ気になるのは、この本を含め、どのニーチェ入門書にも「ニーチェ哲学を社会の役に立たせようとすることは不可能」といった注意書きがあるのに、少なくとも現時点での私のニーチェ解釈では、むしろこんなにも「社会の役に立つ」思想もなかなか無いのではないかと感じてしまうところだ。「歪めて」理解することのないように、今後もニーチェ自身のテキストはもちろん他の有名なニーチェ論を渉猟したい。

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2021/12/12

難しい. どうまとめたら良いか,上手く表現できない. ただ多くの気づきがあ流と同時に味わいきれない歯痒さもある. ============================ 筆者の問い ・ニーチェや彼の哲学について書かれたにある何か有益なものを抜きだそうという姿勢への批判 ・...

難しい. どうまとめたら良いか,上手く表現できない. ただ多くの気づきがあ流と同時に味わいきれない歯痒さもある. ============================ 筆者の問い ・ニーチェや彼の哲学について書かれたにある何か有益なものを抜きだそうという姿勢への批判 ・多くの書物がニーチェから問いではなく答えを受け取っている。   "哲学は主張ではない。それは、徹頭徹尾、問いであり、問いの空間の設定であり、その空間をめぐる研究である。" "子供は無垢であり、忘却である。新しい始まりであり、遊びである。自ら回る車輪であり、自動運動であり、聖なる肯定である。" 「どうして人を殺してはいけないのか」 ある種の人はこの手の素朴な質問を素直に受け取れない。問い自体に不穏なものを感じ取る。 →ダメなものはダメなんだという大人より、そこに真正な問いがあると見抜いた質問者こそが誠実さと真理への意思を持つもの。 実際の回答でありがちなのは相互性の原理。→自分にやられたくないことをしてはいけない。→もし自分が「いつ死んでも良い」と思っている人には通じない。  → いつ死んでもいいと思う人(無敵の人、ジョーカー)に倫理は無力。 倫理の自分の生を基本的に肯定していることが基盤となる。 →子供にまず教えるべきなのは道徳ではなく、自己と生が根源的に肯定されるべきものだということを体に思い込ませること。 生の肯定あっての倫理。逆は成り立たない ニーチェ→究極に空気を読まない人?ラディカルの極み? 道徳を否定する道徳 ・道徳的判断が真理に基づいていることの否定 ・道徳がある行動を駆り立てたことの否定 "すべての宗教は、人類初期の未熟な知性にその起源をおうと言う特徴を持つ。それらはどれも真理を語るという義務を驚くほど軽視する" "真理が有益であるかどうか、真理が自分に災害をもたらすんじゃないか、そんな疑問を持ってはならない。" ”キリスト教道徳によって育まれた誠実な真理への意思は,これまでの人生に意味を与えていたものが嘘であることを宣言することによってーさらにはそのような新入り意思そのものの卑しい出自を自己暴露することによってー人々を徹底的なニヒリズムに陥れる” ”本当は無であるものを誠実に無と認めたこと,真実をごまかさずに直視し,真理を認識したということを,それは意味する.” 狐「あれは酸っぱい葡萄だ」→相手の価値空間の内部で価値を引き下げているに過ぎない. 「葡萄を食べない人生こそが良い人生だ」と自分の内部で実感する価値の転倒=ルサンチマンが発揮する創造性,新しい世界解釈 罪を犯すものおよびそれを罰する者(報いる者)= 債務者と債権者 ”キリスト教の本質は個々の人間が唯一の神に対して負債を追っている.という解釈の創造” →人は生まれながらにして罪(負債)を背負っているという設定の強制 ”この解釈こそが人間を救うのである.はけ口を失った不安な生は「罪人」という烙印を押されることによって,初めて意味を持つからである” →「罪人」という烙印に救われる人間がいる. ”人間の生全体を「罪」という観点から意味付ける,新たな強力な道徳空間” →「まだ気づいてないかもしれないがお前は生まれながらにして莫大な借金を抱えているんだ.でもその借金は俺たちの親分が支払ってくれたんだ.」という欺瞞・でっちあげ. ・キリストの磔刑は債権者が愛を持って債務者に手を差し伸べるというさらにより返せない債務を押し付ける行為 ”僧侶は,この世で苦悩の原因を取り除いてはくれないが,それに意味を与えることで,生に希望を与えてくれるのだ.” “真理は醜い,真理によって滅びないために我々は芸術を持つ” キリスト教:罪にどう抗うか 仏教:苦しみにどう抗うか 意味を問わず,あるもの・起きたことををあるがままに受容し,それ自体を肯定する. 永劫回帰.

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