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理由 の商品レビュー

3.7

110件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    29

  3. 3つ

    41

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    3

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2011/12/03

都心に聳え立つ超高層の高級マンション、所謂億ションを舞台にした事件。サブタイトルをつけるとしたら「それぞれの言い分」とか「各々の家庭の裏事情」とか「身勝手な解釈」。精神的にかなりダークに迫ってくる。事件背景に不動産取引や差し押さえによる裁判所の競売システムなどが盛り込んであり、読...

都心に聳え立つ超高層の高級マンション、所謂億ションを舞台にした事件。サブタイトルをつけるとしたら「それぞれの言い分」とか「各々の家庭の裏事情」とか「身勝手な解釈」。精神的にかなりダークに迫ってくる。事件背景に不動産取引や差し押さえによる裁判所の競売システムなどが盛り込んであり、読み応えがあった。

Posted byブクログ

2011/09/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今さらですが読みました。大変面白かった。完成度が高い。細かいディティールが素晴らしい。一つの事件への様々な角度(人物)からの描写が、それぞれの「理由」を浮き立たせる。それは反転して、希薄な現代日本社会では失われた、他者への「思いやり」に繋がる。殺人事件が題材ですが心温まりました。

Posted byブクログ

2011/09/23

新聞記事を読んでいるような味気なさ。エピソードの積み重ねは相変わらずだが、真相に向かって収斂していくという感じがなく、散漫(しかもその真相がショボい)。ドヤの描写と民事執行妨害の説明は興味深かったが。

Posted byブクログ

2011/09/14

 ナレーターが語りかけてくるような感じで物語は進んでいく。いきなりの惨殺から謎がだんだんほぐれていく。そしてその過程で宮部作品らしく登場人物一人一人の命がそこに描かれている。  ミステリーといえる作品ではないと思うが、その形態を借りた上質の小説だと思う(直木賞らしい)。2

Posted byブクログ

2011/08/30

今まで読んだ宮部みゆきの中では、一番、読みづらかった。 テンポがいつもと違って少しゆっくりめだったからか、妙に先に先にと期待をかけるような書き方をされていたからかもしれない。 作中、重要な役所をつとめる宝井綾子にまったく共感できなかったからかもしれない。 キャラクター自体は、作り...

今まで読んだ宮部みゆきの中では、一番、読みづらかった。 テンポがいつもと違って少しゆっくりめだったからか、妙に先に先にと期待をかけるような書き方をされていたからかもしれない。 作中、重要な役所をつとめる宝井綾子にまったく共感できなかったからかもしれない。 キャラクター自体は、作り込まれていて、石田家の内情や、他の人物たちの内情なんかもきちんと書かれていたのに。 個人個人は悪くない。各々が、各々の事情を抱えて、各々の思いをもってして行動した結果が、どうにも上手く相手に伝わらない。普通なら、ただそれだけで終わることが終わらない。自分でもコントロールできないところで、何かが少しずつ変わっていって、何かが崩れていって、という話の流れは切なくて良かったんだけれど……。 何かがとっても不完全燃焼な作品でした。

Posted byブクログ

2011/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

宮部みゆきさんの直木賞を受賞した、代表作の1つです。 573ページの長編社会派ミステリィ小説です。 宮部さんの作品はずっと読みたいと思いながら読んでいませんでした。この本を宮部さんの作品で最初に出会えたことは、宅建を勉強している僕にとってはちょうどタイムリーな話題が出ているもので、その部分は、フィクションではあるけども実際の競売とかの仕組みなんかがわかるいい資料だったように思えます。 作品のあらすじはバブル崩壊によって、「失われた20年」の初期の出来事。世の中が不景気、不安定な世の中になり始めた時の東京は荒川区にできた高層マンションで殺人事件が起きた。事件発覚当初は、「一家四人or三人の殺人事件」として扱われたが、事件の真相が明るみに出るに従い、そんなものではありませんでした。 事件の構造は複雑です。民事執行妨害を軸として、現代(90年代)の社会構造の歪みがそこに渦巻き、また戦前、前後の日本の家族構成の変化、真実、人間関係などが複雑に絡み合ったもので、社会派としては十分な作品になっていると思いました。また、文章の構成もあるジャーナリストが事件解決後に、事件に関わった人たちにインタヴューをしていくという形式で書かれている部分が多く、事件が複雑だったゆえに、最終的な事件の解釈、判断などは読み手に任せて書かれているような感じになっていると思いました。 題名の「理由」は宮部さんが、読み終わった人の中に他の誰のものとも取り替えがたい「理由」が残りますよう、と祈りをこめているとおり、事件の解釈はあくまで読み手に任せるようになっている。 1つ気になったことは、作中に登場してくる「マスコミ」という言葉に対して、インタヴュアー(おそらく宮部さん自身)の考え方を文体が表しているのかなと思いました。本を読み終わりこれを書きながら思うことは、マスコミは情報であふれる、ありもしないような情報が流され、真実が作られているように報道されている。そんな中で、1つの事件の真実を、関係者の視点を多角的にインタヴューすることにより、読み手1人1人にその判断を委ねているように僕は感じました。 他のレヴューを見ると、この文体が嫌だと書いている人もいたが、それはこの本の1つのメッセージを、受け取れてないようにかんじました。 最後に、この本の装丁についてです。 この本の装丁の絵が非常に怖いですが、これが意味するものは本の最後でわかります。最初はなんだかわからなかったですが、これが何処で、うっすら現れている人の顔は何なのか、最後まで読むとわかります。

Posted byブクログ

2011/08/03

 荒川の高層マンションで起きた一家4人殺し。しかし、そこに住んでいるはずの家族は他の場所で暮らしていた。では、この殺された家族4人は誰なのか? 殺人者は誰なのか? そして、事件はなぜ起こったのか? 家が、家族が、そして人が徐々に壊れていく。  さまざまな社会問題を取り込みつつ、現...

 荒川の高層マンションで起きた一家4人殺し。しかし、そこに住んでいるはずの家族は他の場所で暮らしていた。では、この殺された家族4人は誰なのか? 殺人者は誰なのか? そして、事件はなぜ起こったのか? 家が、家族が、そして人が徐々に壊れていく。  さまざまな社会問題を取り込みつつ、現代の闇を描いた長編ミステリ。  事件に関わった人達のインタビューによって、ストーリーが構成されている。しかも、今回の事件には関係ないんじゃないか? と思われる事まで、事細かに記述されている。だから1人に感情が偏ることなくひとつの事件が起こるまで、そして起こってからの出来事が淡々と綴られているのだ。  コンセプトは面白かったが、今一つ、物足りないところがあった……なんて思ってしまうのは贅沢なのかな。期待しすぎ?

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2011/07/31

「楽園」があまりに良かったので、手を出してみたが、このインタビュー式が、なんか読みにくかった。内容は濃くて、有意義。さすが宮部!!

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2011/03/31

荒川の一家四人惨殺事件を追うルポルタージュという形式で綴られる本書は、通常の探偵小説・推理小説とは一線を画している。謎はある。冒頭では事件の概要は明かされるものの、読者は多くを与えられない。事件の関係者各々の視点で綴られる各々の目から見た事実。それらを積み重ねていくことで、ようや...

荒川の一家四人惨殺事件を追うルポルタージュという形式で綴られる本書は、通常の探偵小説・推理小説とは一線を画している。謎はある。冒頭では事件の概要は明かされるものの、読者は多くを与えられない。事件の関係者各々の視点で綴られる各々の目から見た事実。それらを積み重ねていくことで、ようやく読者も自分の中で事件を整理していくことができるのだ。 主人公はいない。探偵もいない。ここで描かれているのは、荒川の一家四人惨殺事件という大きな事件に図らずも巻き込まれてしまった人々の、日々の生活であり思いである。 これを描ききった作者の力量に心から感服する。 (2003-07-11)

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2011/03/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

超高層マンション、ヴァンダール千住北ニューシティ。 この一室で起こった一家4人の惨殺事件の被害者たちは、本当の家族ではなく赤の他人同士の集まりであったことが判明する。 事件解決後、関わった人物の証言と考察を綴るルポルタージュ形式で物語は進んでいく。 通報した少女、部屋の隣人、被害者の家族、マンションの管理人、不動産会社・・・、登場人物は100人近い。 遠く離れ、一見関係無いと思われた人物でさえ、殺人事件が起きた理由に間接的に関わる理由を持っている大群像劇。 本の厚みと登場人物の多さにギブアップ確実かと思われるも、以外とサクサク読める。事件発生から一応の解決までの時系列それぞれのシーンに順じて関係者の“証言”が並べられているのと、ルポ形式ということで、その証言を繋ぎ合わせていくルポライターの“考察”が随所に散りばめられているため、ニュースでチラッと見た事件の詳細を、結末を知る作者の手記によって知っていくという流れに巧く乗せられる。 「犯人は誰か」というミステリーでもハードボイルド探偵小説でもなく、あくまでドキュメンタリーという手法で描かれていくため、人物や時代背景の描写がとにかく事細かく、誰もが主役になり得るリアリティを持って存在している。ひとりひとりの生い立ちや、置かれている立場が判明する度に共感したり同情したり憤慨したりと忙しい。 人と人は、どこまで行っても数珠繋ぎで連なっている。 それが友人、知人の類でなくとも間接的に影響し合って生きている。 では身近な恋人や家族はどうか。 その者たちと一緒にいる理由は何か。一緒にいない理由は何か。 人が人を愛する理由。人が人を憎む理由。 この物語に登場するすべての人物が“事件”に関わっているように、テレビで見た事件が、自分の知らぬ間に与えた影響で引き起こされたという可能性はゼロではない。 その事件を起こした赤の他人の犯行理由が、今その記事を読んでいる自分のためである可能性はゼロではない。 理由とは、同じく目には見えない絆と似ているのかもしれない。 宮部みゆき、その他の著書 ・火車 ・模倣犯 ・ブレイブ・ストーリー などなど。

Posted byブクログ