中国行きのスロウ・ボート の商品レビュー
普段短編集というものはあまり読まないのだけれど、たまにはいいかなあと思って。初期短編集だけあって、時系列順で最初の方のものは本当に荒削りだった。風の歌を聴けと同じイメージ。ぶつぶつしてて、書きたいことめいっぱい全部詰め込みました、という印象。若さゆえの勢いとか、とげとげしい感じと...
普段短編集というものはあまり読まないのだけれど、たまにはいいかなあと思って。初期短編集だけあって、時系列順で最初の方のものは本当に荒削りだった。風の歌を聴けと同じイメージ。ぶつぶつしてて、書きたいことめいっぱい全部詰め込みました、という印象。若さゆえの勢いとか、とげとげしい感じとか、脈絡のなさも完成されて小説としての脈絡のなさではなく、本質的に脈絡がない。それが、時系列を追っていくうちに、安定感とユーモアのある短編に変化していくのがとても面白い。中国行きのスロウボートには改版があるらしいので、そちらと比較して読んだらまた凄く興味深いだろうな、と思った。
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村上春樹の短編集をはじめに追うことにした よくわからない話が多かったけれど、やっぱり、なんとなく好きなんだ 安西水丸さんの装丁がいい
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7編からなる村上氏最初の短編集。発売が1983年5月なので来年でちょうど30年となる。この作品の感想を端的に示してくれる言葉が本文にあるので引用する。“「誰も読まないでしょう。三十年か四十年経っても読む価値のある本なんて百冊に一冊です」”冒頭に敢えて作者より1~4編目と5~7編目...
7編からなる村上氏最初の短編集。発売が1983年5月なので来年でちょうど30年となる。この作品の感想を端的に示してくれる言葉が本文にあるので引用する。“「誰も読まないでしょう。三十年か四十年経っても読む価値のある本なんて百冊に一冊です」”冒頭に敢えて作者より1~4編目と5~7編目のあいだには一年近くのブランクがあるいう言葉があり、なんとなくであるが作品としてのバランスと言うか完成度としては差があると感じた。最初の4編はなんとなく作者自身が試行錯誤的というか内容が実験的であるような気がするのである。 しかしながらところどころにいつまでも読者の脳裏に焼き付けられるエピソードがあることも忘れてはいけない。 表題作での女の子を山手線を逆に乗せてしまったことや「貧乏な叔母さんの話」での帽子を取られた女の子のエピソードなど。 喪失感や絶望感を巧みに表現できた「午後の最後の芝生」「土の中の彼女の小さな犬」、そしてラストのもっとも寓話的で楽しい「シドニーのグリーン・ストリート」の3作品からなる後半3編は本当に圧巻で作者ではなく主人公の試行錯誤ぶりが読者に伝わってくる感じが強い。 個人的なベストは「土の中の彼女の小さな犬」。預金通帳を埋めた話のエピソードと主人公が女性に手の匂いをかがせてもらうシーンはドキッとさせられました。 少し余談となりますが短編集『象の消滅』に収められている表題作はリライトされたものらしいです。 ノーベル文学賞受賞出来るかどうかわかりませんが、発表の日にこの作品の感想を書けて幸せに思う。
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村上春樹にとって、初めての短編集。 やっぱりこの人の文章は好きだ。心に残るワンフレーズを発見したり、妙に懐かしい空気にとり憑かれたりする。 「中国行のスロウボート」は、興味深く読めておもしろかった。 「午後の最後の芝生」と「土の中の彼女の小さな犬」は、どちらもしっとりと温かみのあ...
村上春樹にとって、初めての短編集。 やっぱりこの人の文章は好きだ。心に残るワンフレーズを発見したり、妙に懐かしい空気にとり憑かれたりする。 「中国行のスロウボート」は、興味深く読めておもしろかった。 「午後の最後の芝生」と「土の中の彼女の小さな犬」は、どちらもしっとりと温かみのある素敵なお話。 最後の「シドニーのグリーン・ストリート」は、絵本を読んでいるようで楽しかった。
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中国人に関する三つのエピソード、背後に潜む“貧乏な叔母さん”、立てつづけに起こった死という出来事。男の告白が吹きこまれたカンガルー通信というテープ。最後の芝刈りのアルバイト。そして、土の中の彼女の小さな犬、そのしみついた匂い。羊男と羊博士がいる、シドニーのグリーンストリート。19...
中国人に関する三つのエピソード、背後に潜む“貧乏な叔母さん”、立てつづけに起こった死という出来事。男の告白が吹きこまれたカンガルー通信というテープ。最後の芝刈りのアルバイト。そして、土の中の彼女の小さな犬、そのしみついた匂い。羊男と羊博士がいる、シドニーのグリーンストリート。1973年のピンボールのあと、羊をめぐる冒険のあとに書かれた、春樹最初の短編集。 これ読み終わったら大体の春樹(エッセイのぞく)読み終わるー!そんなわけで読み終わりました。羊をめぐる~だから初期の頃ですね。春樹の中ではあんまり目立たない作品なんじゃないかなーと思ったり。評価も低いのかな。初期の頃の彼を感じたかったらお薦めかも。個人的に「土の中の彼女の小さな犬」は自分も似たような経験…といっても掘り返したわけじゃなくて亡くなった猫を土に埋めたことがあるので勝手にシンクロしてました。「カンガルー通信」みたいなのもすごく好きだし「午後の最後の芝生」もいいですね。特に面白いなーと思ったのは「貧乏な叔母さんの話」で途中テレビに出されるくだりなんか笑いましたよw 表題作「中国行きのスロウ・ボート」は二番目のエピソードが印象的。なんていうんでしょうこういう皮肉は。人生にたびたびおこる致命的な皮肉ですね。もう笑うしかないね。 「シドニーのグリーンストリート」は羊男が出て嬉しかった!子供向けの雑誌に書かれたものでさくっと読みやすいのもあるし、ノリがギャグに近い。真面目にギャグだからなおおかしい。
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珍しく古本屋で購入。古本からバニラのような甘いにおいがした。 表題作にはなんだかぎょっとした。 村上春樹は短編のほうがいいと思うんだけど、たぶんそれは文学をわかってる人の大方の見方とはずれてるのだろうと思う(それはぼくは文学をよくわかってないし、ストレートで単純な話が好きだから...
珍しく古本屋で購入。古本からバニラのような甘いにおいがした。 表題作にはなんだかぎょっとした。 村上春樹は短編のほうがいいと思うんだけど、たぶんそれは文学をわかってる人の大方の見方とはずれてるのだろうと思う(それはぼくは文学をよくわかってないし、ストレートで単純な話が好きだからだと思う
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20120831 村上さん短編集。 初期のものらしい。ふわふわ加減が少しぎこちない気もする。 カンガルー通信とシドニーのグリーンストリートが好きだった。 羊男こんな時から出現していたとは!佐々木マキさんの羊男に慣れ切っており、この本の挿絵の気持ち悪いことこの上ない。
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村上春樹の小説は、状況や時間の流れに実体感というか、質感がある。「さわれる」と言った方が良いか。なので、その手触りに対して「好き」と「嫌い」に分かれる。僕は、まだ、触れられること自体を楽しんでいる、と言ったところ。
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初めて村上春樹さんの短編集を読みました。『シドニーのグリーンストリート』が一番好きでした。 こんな童話っぽいお話も書かれてるんですね。 芝刈りの話も好み。 犬のお墓の話を読んだのは祖母の通夜の寝ずの番で。 思い出の本になりそうです★
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返却しちゃったけどグリーンなんとかの話 羊人間が、羊博士に耳を奪われて えらく あっけなく返してもらえてしまう波乱の全くない展開が好き!笑
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