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不実な美女か貞淑な醜女か の商品レビュー

4.2

131件のお客様レビュー

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テレビ番組のコメンテ…

テレビ番組のコメンテーターとしても活躍されている著者の、本業であるロシア語通訳のお仕事を語ったエッセイです。失敗談から面白エピソードまで、笑いを交えてあるので面白く読むことが出来ます。通訳というお仕事に興味のある人から、そうでない人まで、誰が読んでも楽しめる本だと思います。

文庫OFF

ロシア語通訳者として…

ロシア語通訳者として活躍する方の通訳奮闘記。通訳というお仕事を通しての言葉、文化、国民性、さまざまな観点における彼女の鋭い切り口がたまりません。一度彼女の通訳を聞いてみたいなあ。

文庫OFF

ロシア語同時通訳者に…

ロシア語同時通訳者によるエッセイ。ですが、通訳者としての経験談だけでなく、ことば、外国語、異文化コミュニケーションから文学についてまで、著者の幅広い知識と感性で豊かに書かれています。でも、決して堅苦しくなく、爆笑しながらも、ふむふむ…と世界や人間、ことばについて考えさせられてしま...

ロシア語同時通訳者によるエッセイ。ですが、通訳者としての経験談だけでなく、ことば、外国語、異文化コミュニケーションから文学についてまで、著者の幅広い知識と感性で豊かに書かれています。でも、決して堅苦しくなく、爆笑しながらも、ふむふむ…と世界や人間、ことばについて考えさせられてしまいます。

文庫OFF

外国語を学ぶ人、言語…

外国語を学ぶ人、言語学を学ぶ人にとっては、非常に面白い一冊だと思います。刺激的なタイトルながら、その意味は中で明かに。通訳の現場や経験を面白おかしく綴りながら、通訳とは、言語とは、意味論まで考えさせられます(言語学のベースの知識があればいろいろ楽しく思考できます)。また、同時にロ...

外国語を学ぶ人、言語学を学ぶ人にとっては、非常に面白い一冊だと思います。刺激的なタイトルながら、その意味は中で明かに。通訳の現場や経験を面白おかしく綴りながら、通訳とは、言語とは、意味論まで考えさせられます(言語学のベースの知識があればいろいろ楽しく思考できます)。また、同時にロシアのいろいろな知識が得られて、楽しく読めます。爆笑できる箇所もあります。

文庫OFF

ロシア語と日本語の間…

ロシア語と日本語の間には深くて遠い溝があるんですね・・・言葉の持つ面白さを気づかせてくれます。筆者って本当に頭のいい女性だったんですね。

文庫OFF

ロシア語通訳として名…

ロシア語通訳として名高い著者の体験談などを交えて、通訳の世界を余すことなく放出している作品。特に、国民性を反映する言葉を吸収している通訳は、その国民性を色濃く染み着かせているというのは大変興味深い。異文化の中で育った著者ならではの記述にも大変勉強になりました。

文庫OFF

ロシア語同時通訳者の…

ロシア語同時通訳者の失敗談を交えつつ同時通訳の内幕を紹介。かなり面白い。

文庫OFF

2024/06/25

面白かった。言葉というものがいかに人を形作るものかという話は本当に面白い。 昨今の言葉の軽さを悲しいと思う身にとっては思わず膝を打ってしまうようなエッセイだった。 もっと言葉を大事に扱おう。

Posted byブクログ

2024/03/09

ロシア語通訳の泰斗である著者が同時通訳の世界を面白エピソードで教えてくれる良書。 タイトル名は、「貞淑=原文に忠実」、「美女=訳文として整っているか」という比喩、つまりある言語から別の言語への完璧な通訳は可能なのかというテーマが本書の肝となっている。 通訳にとって必要な資質とは、...

ロシア語通訳の泰斗である著者が同時通訳の世界を面白エピソードで教えてくれる良書。 タイトル名は、「貞淑=原文に忠実」、「美女=訳文として整っているか」という比喩、つまりある言語から別の言語への完璧な通訳は可能なのかというテーマが本書の肝となっている。 通訳にとって必要な資質とは、「2つの言語にまたがる幅広い正確な知識や両語の柔軟な駆使能力もさることながら、話し手の最も言いたいことをつかみ、それをどんな手段を講じても聞き手に通じさせようとする情熱ではないだろうか」(P304)。 面白話も満載。例えば、 英語のできない商社の社長が、日本語で挨拶したのを逐次通訳者が英語に訳していくが、サービスのつもりで現地で一言くらい英語をしゃべろうと発した言葉が「One please」。スピーチの後で、通訳者が社長に「最後のアレは何でしょうか」と聞くと「うん、ひとつよろしくだよ」というエピソードも秀逸(P156)。 本書の話ではありませんが、以下の有名な話もうまく出来すぎの様な…。 2000年7月―。森喜朗首相はビル・クリントン大統領(ともに当時)と首脳会談を行った。会談に先立ち日本関係者が首相に入れ知恵をした。  「会ったらまず ”How are you?” と言って握手をしてください。クリントン大統領は ”I’m fine, and you ?” と答えますから、”Me too.” と続けて下さい。あとはすべて通訳が対応いたします」。  ところが森首相、こともあろうに ”Who are you?”(あなた、誰?) とやってしまった。ジョークとでも判断したか、そこは大統領、”Oh, I’m Hillary’s husband.”(ヒラリーの夫です) と切り返したが、首相は筋書き通り、”Me too.”(わたしも)―。 本書に出てくる様々な裏話や失敗談も抱腹絶倒ですが、実は文庫最後の編集部注の、読者からの間違い指摘に対する著者が返信した手紙の内容の誠実さにこそ著者の真骨頂があります。そして、その手紙の日付は彼女が癌で亡くなる15日前でした。合掌。

Posted byブクログ

2024/02/20

「いいかね、通訳者というものは、売春婦みたいなものなんだ。要る時は、どうしても要る。下手でも、顔がまずくても、とにかく欲しい、必要なんだ。どんなに金を積んでも惜しくないと思えるほど、必要とされる。ところが、用がすんだら、顔も見たくない、消えてほしい、金なんか払えるか、てな気持ちに...

「いいかね、通訳者というものは、売春婦みたいなものなんだ。要る時は、どうしても要る。下手でも、顔がまずくても、とにかく欲しい、必要なんだ。どんなに金を積んでも惜しくないと思えるほど、必要とされる。ところが、用がすんだら、顔も見たくない、消えてほしい、金なんか払えるか、てな気持ちになるものなんだよ」(14p) これが米原万里の師匠から授けられた「通訳者=売春婦」理論である。以降、米原万里は通訳料金の前払いを胸に刻み込んだという。 ずっとレビュアーの間から高い評価を勝ち得てきた米原万里さんのエッセイを初めて読んだ。通訳のあれこれだけで、1冊を書き通した。訳するということを全方位から解体しながら、面白いエピソードだけで繋いでゆくという荒技を、難なく成し遂げる真の知識人の魅力を満喫した。 本書の執筆は、1994年であるが、74pに、既にPC翻訳の進歩について言及している。 London has knocked some of corners off me. という訳は、「機械翻訳で次のようにまでは処理できる」と、米原さんいう。 ロンドンは私から角の幾つかを叩き落とした。 しかし、それでは意味をなさない。どうしても次のように訳する必要があるという。 ロンドンに来たお陰で角が少し取れた。 これが「機械翻訳の限界」だと米原万里さんは胸を張る。それから30年、いくらなんでも機械翻訳は人間に近づいているんではないかと、iPhone所蔵のアプリで翻訳してみた。以下である。 ロンドンは私からいくつかのコーナーをノックしました。 良かった!全然進歩してない。米原万里さん、未だ大丈夫ですよ。 著者あとがきの後に、文庫本編集者の後書きが載っている。そこに彼女の「絶筆」が載っていた。エッセイでもなく、小説でもなく、本書の間違いを指摘した読者へのお礼の手紙だった。亡くなるたった15日前の誠実な文章だった。米原万里。かけがえの無い人だったのだと思う。

Posted byブクログ