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不実な美女か貞淑な醜女か の商品レビュー

4.2

132件のお客様レビュー

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2021/03/19

著者の絶筆に著者の魅力が詰まっている。 異文化摩擦の最前線である通訳として従事した著者の経験から、通訳翻訳の魅力が記された本。我々が日常的に享受している通訳業者の恩恵だが、その裏側には喜劇悲劇が隠されている。 本書は一度でも母国語以外の外国語を勉強した者にとって大変共感出来る場...

著者の絶筆に著者の魅力が詰まっている。 異文化摩擦の最前線である通訳として従事した著者の経験から、通訳翻訳の魅力が記された本。我々が日常的に享受している通訳業者の恩恵だが、その裏側には喜劇悲劇が隠されている。 本書は一度でも母国語以外の外国語を勉強した者にとって大変共感出来る場面が多く存在する。 また、あとがきの後に編集部注として本書出版後、編集部宛に届いた引用誤りの手紙に対する著者の返信が記されている。これが著者の絶筆だそうだが、ここに著者の魅力が詰まっていると感じた。

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2021/03/19

何度目かの再読。前日に読んだ本に引用されていたので。内容については語るまでもない、通訳から見える素晴らしい異文化間コミュニケーション論。この本は、2007年以降?の版の巻末に、編集部注として、読者から指摘された間違いに対して、筆者がそれを認め感謝する内容の返信にして絶筆が掲載され...

何度目かの再読。前日に読んだ本に引用されていたので。内容については語るまでもない、通訳から見える素晴らしい異文化間コミュニケーション論。この本は、2007年以降?の版の巻末に、編集部注として、読者から指摘された間違いに対して、筆者がそれを認め感謝する内容の返信にして絶筆が掲載されているのだが、必読。

Posted byブクログ

2021/01/21

1年くらい前に1回読んだが、再読した。この本は通訳に関する本だが、通訳に興味がない人こそ一読する価値があると思う。文章の書き方も決して飽きさせることのない、ある意味笑いを誘う表現で、スイスイ読むことができる。通訳者の楽しさや苦労など、通訳を経験したことがある人にしかわからない感...

1年くらい前に1回読んだが、再読した。この本は通訳に関する本だが、通訳に興味がない人こそ一読する価値があると思う。文章の書き方も決して飽きさせることのない、ある意味笑いを誘う表現で、スイスイ読むことができる。通訳者の楽しさや苦労など、通訳を経験したことがある人にしかわからない感情や考えは非常に興味深かった。また通訳以外でも著者は言語(学)についても言及しているが、これも非常に納得させられるものが多く、勉強させてもらった。著者米原万里自身ロシア語通訳者だったため、ロシア語を多少知っていると余計楽しめると思う

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2020/07/04

 初めてこの書名を目にした時は、何の事であらうかと思ひましたが、著者がロシヤ語の同時通訳者と知り、「ああ、なるほど」と得心したのであります。元元通訳翻訳を女性に例へる格言(?)のやうなものは昔からあり、実践者は皆「貞淑な美女」といふ二律背反を目指しながら、現実には「不実な美女」と...

 初めてこの書名を目にした時は、何の事であらうかと思ひましたが、著者がロシヤ語の同時通訳者と知り、「ああ、なるほど」と得心したのであります。元元通訳翻訳を女性に例へる格言(?)のやうなものは昔からあり、実践者は皆「貞淑な美女」といふ二律背反を目指しながら、現実には「不実な美女」と「貞淑な醜女」の狭間で呻吟してゐるのでせう。  ところで、書名の中の「醜女」は「ブス」と読ませるやうですが、現在では(特に男は)中中口に出来ない単語となつてをります。  わたくしなどは日本語で話す事さへ苦手なのに、同時通訳者といふのは本当に同じ種類の人間なのだらうかと訝る気分があります。本書ではそんな通訳者の苦労話がユウモラスに語られます。やはり失敗談が面白い。  翻訳者は原書を前に、腕を組んで考へたり調べたり、人に訊いたりする余裕がありますが(無論翻訳なりの難しさはあるでせうが)、通訳者は孤独であります。沈黙は許されません。  専門用語がポンポン飛び出す会議や商談などに呼ばれる場面が多いさうで、仮に日本語の訳語が分かつても、その概念を理解してゐなければ相手に伝へられません。故にその都度、事前に猛勉強せねばならぬといふことです。  原発言を通訳者を通じて対話者に伝へるプロセスを記号化・視覚化すると、どうしても機械翻訳では対応できぬブラックボックスがあるとか。ここに人間の通訳が失業しない理由があるのですね。しかし最近はAIによる翻訳がその部分にもかなり切り込んでゐるさうです。  苦労話や愉快な失敗談が多く披露されて親しみも湧きますが、やはりそれ以上に「ああ、自分のやうな凡人とは次元の違ふ世界だな」と驚嘆する舞台裏だなと感じた次第であります。単に読物としても痛快なる一冊と申せませう。

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2020/06/26

カテゴリ:図書館企画展示 2020年度第1回図書館企画展示 「大学生に読んでほしい本」 第1弾!  本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。  金澤洋子教授(英文学科)からのおすすめ図書を展示しています。  展示中の図書は借...

カテゴリ:図書館企画展示 2020年度第1回図書館企画展示 「大学生に読んでほしい本」 第1弾!  本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。  金澤洋子教授(英文学科)からのおすすめ図書を展示しています。  展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。  著者の故米原万理氏はロシア語の同時通訳者として激動の時代ゴルバチョフやエリツインの傍らで活躍し、その後通訳や文化に関するエッセイ、自身の生い立ちに関する珠玉の文学作品を2006年に他界するまでに数々発表しています。このエッセイは、真面目に通訳翻訳理論が語られる一方、たくさんの失敗談を通して通訳の難しさ、奥深さについて抱腹絶倒の作品に仕上がっています。この続編の「魔女の一ダース」も合わせてお読みになると米原氏のことばの魅力に取り憑かれるに違いありません。

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2020/06/23

米原万里『不実な美女か貞淑な醜女か』新潮文庫(新潮社) を掲載していますが 上白石萌音ちゃんの本棚に実際にあるのは 米原万里『人と物6 米原万里』MUJI BOOKS(無印良品) です。 名作エッセイ「空気のような母なる言葉」が いずれにも収録されています。 米原万里は、ロシア語...

米原万里『不実な美女か貞淑な醜女か』新潮文庫(新潮社) を掲載していますが 上白石萌音ちゃんの本棚に実際にあるのは 米原万里『人と物6 米原万里』MUJI BOOKS(無印良品) です。 名作エッセイ「空気のような母なる言葉」が いずれにも収録されています。 米原万里は、ロシア語通訳者。 不実な美女か貞淑な醜女か、は米原万里の名言。 通訳において、「貞淑な美女」を目指したいものの、実際には、 原文に忠実ではないけれど、訳文としては整っている「不実な美女」か、 原文に忠実だけど、いかにも翻訳調でぎこちない「貞淑な醜女」かになってしまう。 なお、 MUJI BOOKSの文庫本「人と物」シリーズは 無印良品のネットストアで購入することができます。 https://www.muji.com/jp/mujibooks/archive_hitotomono.html

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2019/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

英語ができないしもちろん他言語もできないわたしは、外国語を話せる、そして通訳ってだけで尊敬に値する。同時通訳さんなんて惚れ惚れする。そして通訳さんて、言語のコミュニケーションのプロ中のプロだけど、いかに相手に伝えることができるかなんだなと思った。そして雇われるっていう苦労もあり。あとやはり日本語のボキャブラリーが豊富で、そして美しい日本語を知っているからこそ、通訳ができるんだなと感動した。もっと勉強しよう。

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2019/01/12

2009/9/7 予約 9/12 受取 URLは http://homepage1.nifty.com/maedata/issatu.htm 『お勧めの一冊 : 前田真彦 エンジョイ@韓国語』 :  で見つけた! おもしろくないので、途中でやめて 返却 タイトルで、目を惹こうと...

2009/9/7 予約 9/12 受取 URLは http://homepage1.nifty.com/maedata/issatu.htm 『お勧めの一冊 : 前田真彦 エンジョイ@韓国語』 :  で見つけた! おもしろくないので、途中でやめて 返却 タイトルで、目を惹こうとしたようだが、内容はつまらない。 内容 : 外国人が発する呪文のような言葉をたちどころに日本語に訳してしまう同時通訳。 教養と実力が要求されるこの業界に身を置く著者が、現場の爆笑譚から苦労話までを軽妙な口調で語る。 著者 : 1950年東京都生まれ。東京大学大学院露語露文学修士課程修了。 文化学院教員を経て現在は日露同時通訳者、翻訳者、ロシア語通訳協会事務局長。 92年日本女性放送者懇談会賞受賞。

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2018/12/24

何ともショッキングなタイトルですが、これは通訳における「いい訳」がいかに成り立ちにくいかを表したもの。原発言を正確に伝えているかという座標軸を、貞淑度をはかるものとし、訳文がどれほど整っているか、響きがいいかを女性の容貌に喩え、その2つが両立しがたいことを指している。通訳と聞くと...

何ともショッキングなタイトルですが、これは通訳における「いい訳」がいかに成り立ちにくいかを表したもの。原発言を正確に伝えているかという座標軸を、貞淑度をはかるものとし、訳文がどれほど整っているか、響きがいいかを女性の容貌に喩え、その2つが両立しがたいことを指している。通訳と聞くと、原文を即座に流暢な外国語に訳出すると大雑把にとらえがちだけれど、通訳に携わる人たちが、いかに正確で、自然な訳を作るために心を砕いているかが、ユーモアたっぷりに描かれています。 翻訳と比較した中でも通訳の宿命といえば、圧倒的な時間の制約。「時の女神は通訳を容赦しない」「手持ちの駒しか使えない」と著者も語っているとおり、瞬時に訳出しなければならない苦労が開陳されています。 そして米原女史にかかれば、下ネタだってあけすけ。「空想」のつもりが「クソ」となり、「顧問」のはずが「肛門」、「少女」が「処女」に…。 楽しさ満載の本書ですが、はっとさせられることもしばしば。外国語に通暁する著者が、いかに母国語の習得が重要かを力説している点は注目です。どれだけ外国語を勉強しても、母国語以上には上達しませんからね。 知られざる通訳の内幕。難しそうな依頼があれば、米原女史でも怖じ気づいてしまうことがあったよう。そこで師匠の徳永晴美氏は「どんな通訳者も発展途上である」といって激励したという。「完璧な通訳者なんて、処女の売春婦みたいな二律背反の骨頂みたいなもんよ」。案ずるより産むが易し。とにかく飛び込め。通訳以外の場でも励みになる言葉ですね。

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2018/11/24

「通訳者とは何か」を著者自身の経験を通して、面白おかしく分析し紹介してくれている一冊。 正直本書を読むまで、”通訳”を真剣に考えたことなどありませんでしたが、読了して、色々なるほどと思いました。 (話し手の言葉の「意味」を”訳す”は簡単ながら、”正しく伝える”は本当に大変なこと(...

「通訳者とは何か」を著者自身の経験を通して、面白おかしく分析し紹介してくれている一冊。 正直本書を読むまで、”通訳”を真剣に考えたことなどありませんでしたが、読了して、色々なるほどと思いました。 (話し手の言葉の「意味」を”訳す”は簡単ながら、”正しく伝える”は本当に大変なこと(なんせ話し手の話力にもよってくる)で、通訳者の切磋琢磨と苦労がひしひしと感じれました。) あと他国語(英語とか)を覚えなければいけない的なことが一切なく、母国語はとても誇るべきでものあると書いてあったところが印象的で何だかいいなって感じました。

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