それでも人生にイエスと言う の商品レビュー
「それでも人生にイエスと言う」タイトルは我々に生きる期待を持たせてくれる。しかし本文を読んでも抽象語が多い哲学的表現は、なかなか理解できない。巻末の山田邦雄氏の解説によってフランクルの思想がおぼろげながら見えてくるのだが、タイトルは実感できなかった。理解できれば素晴らしい本なのか...
「それでも人生にイエスと言う」タイトルは我々に生きる期待を持たせてくれる。しかし本文を読んでも抽象語が多い哲学的表現は、なかなか理解できない。巻末の山田邦雄氏の解説によってフランクルの思想がおぼろげながら見えてくるのだが、タイトルは実感できなかった。理解できれば素晴らしい本なのかもしれない。もっと優しく意訳して欲しかった。絶望や死を前にしたときに本書の意味を理解し人生を肯定したいものだが、残念ながら、読後に実感として理解できない以上、素晴らしい本だったと言い切ることはできない。
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壮絶な経験を背景にしたフランクルの言葉。 「人生は何を我々から期待しているか。自己から人生を問うのではなく、人生から自己を問う」という立場に立つ。 その他に心に残ったものをいくつか。 「自分の活動範囲において最善を尽くしているか、生活がどれだけ全うされているかだけなのです。より大きな活動範囲に本当にふさわしい働きが出来なかった人の人生にくらべると、もっと狭い範囲でも、それをほんとうに満たした人の人生に比べると、全うされずに終わるのです。」これは、そうだなぁって思う。足るを知るってことね。 「苦悩することによって人生を意味あるものに、運命によって、不幸によって精神的に成長できる。」 「自分の不幸を足元にするとき、私は一層高く立つ。」ヘルダーリン 苦悩を積極的に望みはしないけれども、苦悩は悪いものだとは考えず、それこそ成長の糧になると捉える方が良い。 「苦難と死こそが人生を意味のあるものにする。人生を満ち足りたものにする行為も、人生をまっとうしない行為もすべてやりなおしがきかないということにほかならないのです」 これは、仏教の教えと似てるなぁ。 「もし私がそれをしなければ、だれがするだろうか。しかし。もし私が自分のためだけにそれをするなら、私は何であろうか。そして、もし、私がいましなければ、いつするのだろうか。」ヒレル これはぶっ刺さった。2千年前に、こんな事考えられたのね。 「私はできる限り、麻酔なしで苦痛に耐えたいものです。」これは、無理(笑) 「愛することによって自分が愛する人がまさに唯一であり、世界でただ一人だということが気づかれるということが愛の本質 なのです」私も強くそう思います。エーリッヒ・フロムで勉強し直します。 「何度も 幻滅した心は病気になる」そうなった経験も、そうさせてしまった経験もある。反省。
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凄惨な経験をしているにも関わらず一切説教じみたり思想を押し付けたりせず自身の事も含めて客観的に淡々と事実がつづられている事が印象的だった。 フランクルは本書で良心を【呼び起こす】と書いており、収容所の中で、規則を破る優しい看守や、苦しい状況でも良識のある行動を取った囚人たちと出...
凄惨な経験をしているにも関わらず一切説教じみたり思想を押し付けたりせず自身の事も含めて客観的に淡々と事実がつづられている事が印象的だった。 フランクルは本書で良心を【呼び起こす】と書いており、収容所の中で、規則を破る優しい看守や、苦しい状況でも良識のある行動を取った囚人たちと出会い、他者の善意の行動から自身も良心を呼び起こされた経験がある。だからこそ善意とは行動から呼び起こされるものであって強要したり、押し付けたりして芽生えるものではない事を悟っているんだろうなと感じた。 収容所の中で良心のままに死んでいった【立派な方達】の墓地の前で、立派でなかった自分には余りある生還という恩寵に見合う人間にならなくてはならない、と誓った。 と語る部分にフランクルの思想の美しさを感じた。
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■評価 ★★★✬☆ ■感想 ◯講演会の話なので、「夜と霧」に比べて自身の体験談だけではなく、他の引用例が様々ある。 ◯それでも語っている内容の本質は同じで、生きる意味あるか、と問うのはそもそも間違っていて、人生から生きる意味を問われているという姿勢を持つこととされている。
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人は楽しみのためにすぎない。幸せは目標ではなく結果に過ぎない。「私は人に何を期待できるか」ではなく「私は人生に何を期待できるか」だ。不幸に耐えて苦悩することで意味のある人生を送ることができると。 感想 フランクルの「夜と霧」という本で衝撃を受けた。それをきっかけにロゴセラピーを...
人は楽しみのためにすぎない。幸せは目標ではなく結果に過ぎない。「私は人に何を期待できるか」ではなく「私は人生に何を期待できるか」だ。不幸に耐えて苦悩することで意味のある人生を送ることができると。 感想 フランクルの「夜と霧」という本で衝撃を受けた。それをきっかけにロゴセラピーを知りたいと思い読むことにした。 「人は楽しみのためにすぎない。幸せは目標ではなく結果に過ぎない」これは楽しんではいけないということではなく、楽しさばかりを追求してはいけないということなのだろうか。人は楽しさもあり、苦しさもあるから、楽しさがより感じられる。苦しさから人は学び、人として成長できる。楽しさから稀に学ぶこともあるが。そういうことなのだろうか。 わかっていても失敗はしたくない。でも人は不完全であるからこそ失敗する。それをどう受け入れるか。その向き合い方が大事だということなのだろうか。その時の感情や性格、環境などの要因もあるだろうが。 確かに失敗で学ぶことは多かった。しかし、それはなんだろうかと思うことがある。それを具体化していくことも時には必要なのではないだろうか。だからと言って考えすぎも問題だろうか。 苦しみに喘いでいる人にはもしかしたら気持ちが楽になる本なのかもしれない。(私は読んでいて涙が出た)しかし、苦しみは決して消えない。その捉え方がほんの少し和らぐだけだから。 気になったフレーズ ・愛されている人間は役に立たなくてもかけがえがない。愛は自分の功績で手に入れることができない。 ・人間は「自分なりに」不完全で代替不可能。代わりのいない存在なのです。
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自分が今何ができるか、そして行動する 当たり前と言えば当たり前 それを誠実に日々過ごす、それこそが人生からの問いかけに答えること
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自分が「人生の意味、生きる意味とはなんだろうか?」と考えていたのは、ちょうど「一般的に将棋において一番良い手はなんだろうか」と考えることがトンチンカンであるのと同じように、初めから的外れな疑問だったようだ。 自分が人生に対してその意味を問うのではなく、人生が私に対して「今•ここ...
自分が「人生の意味、生きる意味とはなんだろうか?」と考えていたのは、ちょうど「一般的に将棋において一番良い手はなんだろうか」と考えることがトンチンカンであるのと同じように、初めから的外れな疑問だったようだ。 自分が人生に対してその意味を問うのではなく、人生が私に対して「今•ここ」に関する一回きりの具体的な問いを発しており、私はそれに応答(response)する義務を負った、責任存在(responsibility)であるのだと知った。 人生における様々な出来事や状況、例えば親しい人との離別であったり、病気であったりが、その都度、私に対する私の人生からの問いかけである。結局、それに対してどう答えるのみが重要だった。 将棋の一局面に真剣に向き合って一つの手を指すように。 小説「個人的な体験」で、鳥が障害を持つ息子から逃げ回りはしたものの、最終的にはその運命を自らの責任として引き受けたように。 古本市でたまたま出会えてよかったー。 1章がとても良い。
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時代の違いもあり、なかなか素直に理解できなかった。 カント あらゆる事物は価値を持っているが、人間は尊厳を有している。人間は、決して、目的のための手段にされてはならない。
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難しい内容で全体の60%くらいしか理解できなかった。夜と霧での話がメインである第3章と解説のみを読む形でも十分だと思える。 印象に残ったフレーズ 1. 自殺の4つの原因は①身体状態の結果②周囲への効果を計算した結果③生きることに疲れた結果④生きる意味を感じられなくなった結果 ...
難しい内容で全体の60%くらいしか理解できなかった。夜と霧での話がメインである第3章と解説のみを読む形でも十分だと思える。 印象に残ったフレーズ 1. 自殺の4つの原因は①身体状態の結果②周囲への効果を計算した結果③生きることに疲れた結果④生きる意味を感じられなくなった結果 2. 生きるということは義務であり重大な責務である 3. 私たちは人生の問いに答えなければならない、答えを出さなければならない存在なのである 4. 社会の役に立つということが人間存在を図ることができる唯一の物差しでは絶対にない 5. 存在価値、体験価値、態度価値によって人生に意思を持つことが必要である
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若い頃ではなく、ある程度社会で経験してきた今、この本に出会えてよかった。ここまでの感動は、今だからこそ。コペルニクス的転換は、まさに考え方の転換。こう考えれば人生で何が起きても嘆く必要はないと思う。 世の中は東京2020パラリンピックを経て、社会的包摂が進んでいる。ただ、自分に対...
若い頃ではなく、ある程度社会で経験してきた今、この本に出会えてよかった。ここまでの感動は、今だからこそ。コペルニクス的転換は、まさに考え方の転換。こう考えれば人生で何が起きても嘆く必要はないと思う。 世の中は東京2020パラリンピックを経て、社会的包摂が進んでいる。ただ、自分に対しての優性思想的考えは無くしていかないといけない。このことが自分を苦しめる元凶。 この本は全体的に平易な言葉で書かれていることで多くの人に読まれ、そして多くの人を救ってきたと思う。またこれからも何度も読み返していきたい。
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