エレンディラ の商品レビュー
素晴らしすぎる短編集。少し童話的な。童話って言っても子供向けのじゃなく、本来的な。 「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」がストーリーも背景も全部私好みできゅんきゅんした。 あと「愛の彼方の変わることなき死」「この世で一番美しい水死人」。ガルシア・マルケスはほ...
素晴らしすぎる短編集。少し童話的な。童話って言っても子供向けのじゃなく、本来的な。 「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」がストーリーも背景も全部私好みできゅんきゅんした。 あと「愛の彼方の変わることなき死」「この世で一番美しい水死人」。ガルシア・マルケスはほとんど読んでいるけど、一番好きな作品集になったかもしれない。 手元にないけどこれ読んだら「族長の秋」が無性に読み返したくなった。
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マルケスの読み方は(個人的には)言葉のイメージの奔流に身を任せて泳ぐつもりで。意味性や風刺・批評を求めるより楽しめる気がします。 文庫化されているものは一通り読んでいるのですが、これもそんな一作でした。
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『百年の孤独』しかり『予告された殺人の記録』しかり、マルケスの小説はどれもタイトルが雄弁だ。シュールリアリズムとノンフィクションの間を行く様な、選び取られた語彙の絶妙なバランス。各短編のタイトルを並べると『大きな翼のある,ひどく年取った男』『失われた時の海』『この世でいちばん美し...
『百年の孤独』しかり『予告された殺人の記録』しかり、マルケスの小説はどれもタイトルが雄弁だ。シュールリアリズムとノンフィクションの間を行く様な、選び取られた語彙の絶妙なバランス。各短編のタイトルを並べると『大きな翼のある,ひどく年取った男』『失われた時の海』『この世でいちばん美しい水死人』『愛の彼方の変わることなき死』『幽霊船の最後の航海』『奇跡の行商人,善人のブラカマン』『無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話』。むせ返るような性と死の景色も、ここでは色鮮やかな幻想の中に溶けてしまっている。
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ガルシアマルケスの短編集を初めて読んだ。確かに魔術的。まことしやかに語られる世界の出来事は不条理としてではなく、自然なこととしてその世界の住人と読み手に受け止めさせる。特に、「エレンディラ」と「奇跡の行商人、善人のブラカマン」が好き。乾いた空気と海の匂い。
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ガルシアマルケスの短編集です。 ストーリーとしては読んでいてあまり面白味のない話もありますが、 ラテンアメリカの日常と、独自の想像力が溶け合ったような世界は、 描写を読んでいるだけで満足できます。 もっと力強い物語にぐいぐい引っ張られたいという方は、 『百年の孤独』をどうぞ。
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コロンビアのノーベル賞作家、ガルシア=マルケスの短編集。 天使のような大きな翼をもった男や海の底に存在する死者の町、悪い知らせを告げるフクロウなど、ラテンアメリカの伝説的な挿話が散りばめられている。 タイトルの「エレンディラ」を始め、どれも悲哀に満ちたストーリーだが余韻は悪くない...
コロンビアのノーベル賞作家、ガルシア=マルケスの短編集。 天使のような大きな翼をもった男や海の底に存在する死者の町、悪い知らせを告げるフクロウなど、ラテンアメリカの伝説的な挿話が散りばめられている。 タイトルの「エレンディラ」を始め、どれも悲哀に満ちたストーリーだが余韻は悪くない。
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ああ、不思議なお話。 解説で書かれている、神話性を獲得すると、風化してしまう伝承が永劫語り継がれる不滅性を獲得する、という通り。 明らかに有り得ないという意味での嘘を、真顔で語っている、そういう魅力がある。
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2012.01.04 2012年に入っておそらく最初に読了した本だと思われる。 アストゥリアスのグアテマラ伝説集を岩波で読んで、マジックリアリズムなど主要ラテンアメリカ文学は翻訳ではその良さが十分に伝わらないと実感した。一方で、こういう短編なら幾らか日本語でもそのアジアいが感じら...
2012.01.04 2012年に入っておそらく最初に読了した本だと思われる。 アストゥリアスのグアテマラ伝説集を岩波で読んで、マジックリアリズムなど主要ラテンアメリカ文学は翻訳ではその良さが十分に伝わらないと実感した。一方で、こういう短編なら幾らか日本語でもそのアジアいが感じられるのではないかと思って本書を読んだ。その推測は外れていなかったと思う。
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面白い,の一言に尽きる短編集.「百年の孤独」と「族長の秋」との間に書かれたらしいが,ガルシア・マルケスの入門に最適.すべて奇妙なお話し(且つ,どれも何とも言えず美しく,映画的)だけど,南米で普通に起こっていることに多少の尾ひれをつけただけらしい.南米って,どんなところだ,一体? ...
面白い,の一言に尽きる短編集.「百年の孤独」と「族長の秋」との間に書かれたらしいが,ガルシア・マルケスの入門に最適.すべて奇妙なお話し(且つ,どれも何とも言えず美しく,映画的)だけど,南米で普通に起こっていることに多少の尾ひれをつけただけらしい.南米って,どんなところだ,一体? こういった珍妙なエピソードをひたすら繋げたのが「百年の孤独」と思えば良い.僕のお気に入りは最初の「大きな翼のある,ひどく年取った男」と最後の話で本のタイトルにもなっている「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」かな.そういえば,どのお話しも良いタイトルがつけられてるなあ.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『エレンディラ』は一見それぞれが独立しきった短編集のように見えますが、独立しながらも、必ずどこかで他の話と繋がっているということを見つけてからは、「物語」と同時に「繋がりを見つけること」も楽しめる要素になりました。 個人的に『この世でいちばん美しい水死人』がお気に入りです。
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