エレンディラ の商品レビュー
それいけマジックリアリズム。 人の業が海とか風とか砂漠に溶け込む奇妙な風景。嗤笑と言ったらいいのか、自分の中に黒い笑いが湧いたところで物語は終わる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「大きな翼のある、ひどく年取った男」★★★★★ 「失われた時の海」★★★ 「この世でいちばん美しい水死人」★★★ 「愛の彼方の変わることなき死」★★★ 「幽霊船の最後の後悔」★★★ 「奇跡の行商人、善人のブラカマン」★★★ 「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」★★★
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ガルシア=マルケスが亡くなった年に再読。初めて読んだときは、よく分からない話、といったイメージしかなかったが、再読してその世界に引き込まれた。訳者あとがきによると、ラテンアメリカには、私たちの認識では魔術的と思われることでも、ごく一般的に見られる現象というのが多々あるという。百年...
ガルシア=マルケスが亡くなった年に再読。初めて読んだときは、よく分からない話、といったイメージしかなかったが、再読してその世界に引き込まれた。訳者あとがきによると、ラテンアメリカには、私たちの認識では魔術的と思われることでも、ごく一般的に見られる現象というのが多々あるという。百年の孤独も読んでみたい。 (2014.12)
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強烈な祖母に散々使い回され、エレンディラは神様にお祈りする。再び無垢な自分に戻して欲しい、愛を享けて欲しい。エレンディラが平然とウリウスに訊く。殺す勇気ある?ウリウスが砒素で殺しそびれるとののしる。満足に人も殺せないのね。いやはや強烈な。ばぁちゃんも刃物でようやく切り殺されるとき...
強烈な祖母に散々使い回され、エレンディラは神様にお祈りする。再び無垢な自分に戻して欲しい、愛を享けて欲しい。エレンディラが平然とウリウスに訊く。殺す勇気ある?ウリウスが砒素で殺しそびれるとののしる。満足に人も殺せないのね。いやはや強烈な。ばぁちゃんも刃物でようやく切り殺されるとき緑の血を流すなんて。エレンディラの体がオレンジ色とか、写真屋が頭をライフルで木っ端微塵になるとか、普段なら読まないグロテスクな表現。死が身近なものとして緊張感を生むのは南米ならではか。同掲された短編とともにお得で中身の濃い一冊。
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◆ガルシア=マルケスの7つのおとぎ話。◆カリブの海は満ちて引いて、薔薇の香りや蟹、幽霊船を町に運び、死の気配が寄せては返す。退屈な町を掻き回すジプシー、アメリカ人、上院議員、密輸商人。無垢な子どもらの将来は、大人が握りつぶして離そうとしない。仕方なく子どもらは、愛を捨て、自由へと...
◆ガルシア=マルケスの7つのおとぎ話。◆カリブの海は満ちて引いて、薔薇の香りや蟹、幽霊船を町に運び、死の気配が寄せては返す。退屈な町を掻き回すジプシー、アメリカ人、上院議員、密輸商人。無垢な子どもらの将来は、大人が握りつぶして離そうとしない。仕方なく子どもらは、愛を捨て、自由へと逃亡する。引き換えに十字架と孤独を背負い込んで。◆描かれる死の世界は、味気ない砂を噛みしめるような現実よりも、ずっと穏やかで不思議と懐かしい。「大きな翼のある、ひどく年取った男」と「失われた時の海」が特別に好き。 【2014.06.23】
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おもしろい。1話めの翼のある年とった男の話。飛ぶ練習をして帰っていく。情景が目に浮かぶ。ムットーニさんの作品のようだ。
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急がないように、急がないように、大事に、大事に読みました。 長編しか読んでいなかったけれど、短編もいい! 百年の孤独や族長の秋とは全く違う世界が存在している!
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なんなのだ、この奇妙な印象は・・・冒頭、「大きな翼のある,ひどく年取った男」になんとも言い難い衝撃を受けた。 世界にはまだまだ知らない文学がたくさんあることを知って、本を読む楽しみがまた増えた感じだ。
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ガルシア=マルケス著。「大きな翼のある,ひどく年取った男」「失われた時の海」「この世でいちばん美しい水死人」「愛の彼方の変わることなき死」「幽霊船の最後の航海」「奇跡の行商人,善人のブラカマン」の六篇の短編、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話」の中篇を含む。 ...
ガルシア=マルケス著。「大きな翼のある,ひどく年取った男」「失われた時の海」「この世でいちばん美しい水死人」「愛の彼方の変わることなき死」「幽霊船の最後の航海」「奇跡の行商人,善人のブラカマン」の六篇の短編、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話」の中篇を含む。 いかにもマルケスらしい作品群だった。どれも「百年の孤独」の延長線上にあるような話だが、海がモチーフの中心になっていることが多い点が少し異なる。 どの話も非常に面白いのだが、ストーリーの密度としては「奇跡の行商人,善人のブラカマン」と「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話」が抜きん出ているだろう。しかし個人的には「幽霊船の最後の航海」が好きだ。少しマルケスらしくない、同じラテンアメリカの小説家コルタサルのような作品なのだが、幻想が現実と結びついてめちゃくちゃになるシーンが爽快でたまらない。
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「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」の最後の場面が好きすぎてもう。 捨てられたウリセスは力なく泣き崩れ、枷が外れたエレンディラは止まっていた時間が動き出す。金のチョッキを持って、砂漠をどこまでも走り続ける少女。素晴らしい躍動感です。こんなに美しい逃亡が他にある...
「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」の最後の場面が好きすぎてもう。 捨てられたウリセスは力なく泣き崩れ、枷が外れたエレンディラは止まっていた時間が動き出す。金のチョッキを持って、砂漠をどこまでも走り続ける少女。素晴らしい躍動感です。こんなに美しい逃亡が他にあるだろうか、と思った。 映画もそのうち観たいです。
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