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エレンディラ の商品レビュー

4.1

131件のお客様レビュー

  1. 5つ

    38

  2. 4つ

    54

  3. 3つ

    21

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2014/03/02

 ガルシア=マルケス著。「大きな翼のある,ひどく年取った男」「失われた時の海」「この世でいちばん美しい水死人」「愛の彼方の変わることなき死」「幽霊船の最後の航海」「奇跡の行商人,善人のブラカマン」の六篇の短編、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話」の中篇を含む。 ...

 ガルシア=マルケス著。「大きな翼のある,ひどく年取った男」「失われた時の海」「この世でいちばん美しい水死人」「愛の彼方の変わることなき死」「幽霊船の最後の航海」「奇跡の行商人,善人のブラカマン」の六篇の短編、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話」の中篇を含む。  いかにもマルケスらしい作品群だった。どれも「百年の孤独」の延長線上にあるような話だが、海がモチーフの中心になっていることが多い点が少し異なる。  どの話も非常に面白いのだが、ストーリーの密度としては「奇跡の行商人,善人のブラカマン」と「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話」が抜きん出ているだろう。しかし個人的には「幽霊船の最後の航海」が好きだ。少しマルケスらしくない、同じラテンアメリカの小説家コルタサルのような作品なのだが、幻想が現実と結びついてめちゃくちゃになるシーンが爽快でたまらない。

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2015/02/02

「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」の最後の場面が好きすぎてもう。 捨てられたウリセスは力なく泣き崩れ、枷が外れたエレンディラは止まっていた時間が動き出す。金のチョッキを持って、砂漠をどこまでも走り続ける少女。素晴らしい躍動感です。こんなに美しい逃亡が他にある...

「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」の最後の場面が好きすぎてもう。 捨てられたウリセスは力なく泣き崩れ、枷が外れたエレンディラは止まっていた時間が動き出す。金のチョッキを持って、砂漠をどこまでも走り続ける少女。素晴らしい躍動感です。こんなに美しい逃亡が他にあるだろうか、と思った。 映画もそのうち観たいです。

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2013/11/15

「美しい水死人」の朴訥な村人たちに麗々しく弔われる溺死体の男の話に不思議と心温まったかと思えば、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨な物語」の積もる様々な想いに押された。どの話も奇妙な味わいだけど、この奇妙さがマジックリアリズムなんだと信じて乾いた空気に居心地の良さを...

「美しい水死人」の朴訥な村人たちに麗々しく弔われる溺死体の男の話に不思議と心温まったかと思えば、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨な物語」の積もる様々な想いに押された。どの話も奇妙な味わいだけど、この奇妙さがマジックリアリズムなんだと信じて乾いた空気に居心地の良さを感じてみる。土と風のにおいが濃厚でくらくらする。 表題作がいちばん好きかな。

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2013/11/08

図書館 「エレンディラの映画が見たい」と言ってる人がいて、原作を読んでみようかとおもいまして。 マジックリアリズムというジャンル?作風?幻想と現実の境目かわからないというかそんなものあったかね…というか… 収録作品の中だと「失われた時の海」が好きかな。

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2013/10/28

ほんとに「百年の孤独」の小説家の作品? ーーまあ細部細部にはその片鱗あるかもね。場面や場所とか。しかし物語をドライブさせる強力なあらすじが感じられない。言ってみれば雰囲気のみ。短編ひとつひとつが短すぎるからかな? とらえどころがない、ではなく、詩的(少し土臭い)と言えばいいのか...

ほんとに「百年の孤独」の小説家の作品? ーーまあ細部細部にはその片鱗あるかもね。場面や場所とか。しかし物語をドライブさせる強力なあらすじが感じられない。言ってみれば雰囲気のみ。短編ひとつひとつが短すぎるからかな? とらえどころがない、ではなく、詩的(少し土臭い)と言えばいいのか・・・。 これらの作品の細部を積み重ね、繰り返し、まとめあげたのが「百年の孤独」なんだろうね。 素晴らしすぎる長編「百年の孤独」の圧倒的読後感に心酔しきった僕には、期待はずれだった。 (ちなみに「百年の孤独」は僕の中で史上2位の傑作。一位はプルーストのアレ) 文章は密度が濃く、充実した食べ応え。

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2013/10/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『百年の孤独』と『族長の秋』の間に書かれた作品集で、表題作を含めて7つの短篇を収録する。いずれも温帯湿潤の日本の風土からは限りなく遠い、太陽に照りつけられ乾燥した風に吹きさらされた風土の物語だ。そこは人間の感情の在り処からもまた"異国"だ。篇中でもっとも印象的なのは、冒頭の「大きな翼のある、ひどく年取った男」だろう。いわゆる魔術的リアリズムの横溢した作品だ。また、小説としての充実度からすれば、やはり表題作「エレンディラ」か。

Posted byブクログ

2013/08/25

生活感漂うファンタジー短篇集。マジックリアリズムと呼ばれているそうですが、虚実の境目が曖昧で天使すら違和感を感じさせません。 解説を読んでなるほど、ラテンアメリカの現実が既に幻想的なのですね。行ってみたい! 表題作の終盤はドリフみたいな展開で笑えました。

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2013/06/28

コロンビアの作家、ガルシアマルケスの短編集。大抵が異国の寒村が舞台で、天使や神のような存在、死体が流れ着いてきて、村人たちとのドラマが起こる、という内容だった。一番好きだったのは、「愛の彼方の変わることなき死」か。余命を宣告された上院議員が、地方の村に遊説して、そこで出会った女の...

コロンビアの作家、ガルシアマルケスの短編集。大抵が異国の寒村が舞台で、天使や神のような存在、死体が流れ着いてきて、村人たちとのドラマが起こる、という内容だった。一番好きだったのは、「愛の彼方の変わることなき死」か。余命を宣告された上院議員が、地方の村に遊説して、そこで出会った女の子と付きあう話。時間の経過がすごく独特な小説だった。

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2013/06/20

全体的に幻想の入り混じった苦味のあるお伽話だった。序盤のカニバッシング率がすごい。ベッドにカニって入ってくるものなのか…!

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2013/05/02

ナチュラルに現れる天使や海中都市、死者たちとの触れ合い、死神。匂い立つ腐った蟹の死体、野菜畑。便宜上マジックリアリズムという言葉はあれど、一読すれば一体これはなんなんだと、目の前の現実がズレてゆく感覚に襲われること必至です。もう面白くて面白くて「尻の穴から断末魔の音が漏れ」そうで...

ナチュラルに現れる天使や海中都市、死者たちとの触れ合い、死神。匂い立つ腐った蟹の死体、野菜畑。便宜上マジックリアリズムという言葉はあれど、一読すれば一体これはなんなんだと、目の前の現実がズレてゆく感覚に襲われること必至です。もう面白くて面白くて「尻の穴から断末魔の音が漏れ」そうですね。

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