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エレンディラ の商品レビュー

4.1

131件のお客様レビュー

  1. 5つ

    38

  2. 4つ

    54

  3. 3つ

    21

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2023/02/18

羊皮紙の時代、記録されるのは重要な意味をもつ法・文学・芸術だけでした。日常の出来事は記録されることなく人々の頭の中に刻み込まれます。記憶に留めるために、それらの事柄は神話に落としこまれ、神話と融合し語り継がれます。マジックリアリズムに溢れた7篇の物語です。

Posted byブクログ

2023/01/27

どの短編も深くて面白い。白昼夢を見ているような気にさせられるところもマルケス読んでるなーて気持ちに。 でも私はやっぱりマルケスは長編に醍醐味があると思う。 マルケス入門編としてこれ、オススメされてることが多いですね。分かります。

Posted byブクログ

2022/09/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初の数ページを読んで読み方がわからず、数ヶ月放置してたのを、ガルシア・マルケスがマジック・リアリズムの代表的な作家であることや、私の好きな映画監督が多数生まれているメキシコ出身であることを理解したのちに再度手に取ったら、スラスラ読めるようになった! なお、巻末の解説に、ガルシア=マルケスが、祖母から昔話、民話を聞かされていたという話があり、それを最初に知っていればもっと腑に落ちて読めただろうなと思った。 どんな世界でも、民話では、動物も喋れば、妖怪や、妖精や、人間と動物の中間のような存在も当たり前に現れ、普通の生活に入り混じってくる。 翼の生えた汚い天使も、蟹が部屋に入り込むことも、海から吹く薔薇の匂いの風も、流れ着く美しい死体も、そして、あくどくて強力な魔女のような祖母に囚われ途方もない人数を相手に売春するエレンディラもまた、日常の中でふと祖母が話して聞かせる、強烈な残滓を染み付けて消えていく話の一つと考えれば、なんとも自然に受け入れられる。 実際、こんなにも魔法に近くはなくても、平成生まれの私にとって、祖母から聞く、戦時に掃除に駆り出されて、空襲後に散らばった屍肉を拾い集めた話や、本土復帰以前の島から密航して本州に渡った話などは、ほとんどおとぎ話に近いものだった。 とはいえ、全編通して感じる吹き荒れる熱風や、エレンディラの話に満ち満ちている女性の奔出する力には、南米という土地から湧き立つ異国情緒も存分に感じた。 私は、レイプや、売春の描写が極端に苦手なのだが、それでも読後嫌な気持ちにならなかったのは、民話に近いからこその普遍性があることと、エレンディラの自然を超えるほどの力強い出奔の様子があまりにも爽快だからだろう。

Posted byブクログ

2021/04/19

短編集なのでひとつの物語があっという間に終わってしまう儚さがある。しかしどれも幻想的という言葉では片付けたくない、美しいけれど血生臭い描写が胸を揺さぶる。私は『大きな翼のある、ひどく年取った男』と表題作『無垢なエレンディラ~』が好き。

Posted byブクログ

2021/01/30

美しい描写が多いのに、まるでその美しい描写がさほど特別なことでもないかのように、淡々と物語が進む印象を受けた。 水没した村で木馬に乗った人々がぐるぐる回っていること、テラスに花が咲き乱れていること、それを見て日曜の朝11時に水没したと推測すること。 べっとりした潮風や磯臭さが伝...

美しい描写が多いのに、まるでその美しい描写がさほど特別なことでもないかのように、淡々と物語が進む印象を受けた。 水没した村で木馬に乗った人々がぐるぐる回っていること、テラスに花が咲き乱れていること、それを見て日曜の朝11時に水没したと推測すること。 べっとりした潮風や磯臭さが伝わるような海辺の貧しい街の描写。 海のある淀んだ雰囲気の街の描写ははじめて読むものだった、ラテンアメリカ出身の作家の本を読むのは初めてだからかもしれない。ルシア・ベルリンも南米で過ごす物語が多かったけれど、彼女はアメリカの短編作家らしい。いろんな国の作家の本を読むと、いろんな描写があると感じる。過ごしてきた文化の違いによるところもあるだろう。

Posted byブクログ

2020/11/15

★3.5ですか。 初読ですが、代表作と言われる他の作品を読んでみたいと思わせる、何か独特の匂いを放っている感あり。 何となく感じている南米の空気がそのままこの作家から解き放たれているようで、並の作家ではないことは明らか。 ただいつものことですが、訳文が良くない気がする。あくまで個...

★3.5ですか。 初読ですが、代表作と言われる他の作品を読んでみたいと思わせる、何か独特の匂いを放っている感あり。 何となく感じている南米の空気がそのままこの作家から解き放たれているようで、並の作家ではないことは明らか。 ただいつものことですが、訳文が良くない気がする。あくまで個人的偏見に過ぎないのでしょうが、もっとスペースのある文体を持った作家のように思うのですが、どうも固まってしまってる。。。 長編となると読むのは一苦労かも、です。

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2020/09/25

エレンディラ (和書)2009年06月04日 18:01 1988 筑摩書房 鼓 直, 木村 栄一, G. ガルシア・マルケス もっと難解な作品なのかなって想像していたけど、読み易い作品でした。 祖母が緑の血を流し絶命していくところは予告された殺人の記録で内蔵を吹き出してく...

エレンディラ (和書)2009年06月04日 18:01 1988 筑摩書房 鼓 直, 木村 栄一, G. ガルシア・マルケス もっと難解な作品なのかなって想像していたけど、読み易い作品でした。 祖母が緑の血を流し絶命していくところは予告された殺人の記録で内蔵を吹き出してくるシーンと色遣いが重なりました。

Posted byブクログ

2020/09/01

真夏の夜にぴったりの、奇想天外でどこか哀しい物語集。貧しく小さい人たちの下には、時折とてつもない祝祭が訪れては魔法の痕跡を残して過ぎ去っていく。 あるとき村の水溜りに落ちてきた「大きな翼のある、ひどく年取った男」は、天使と呼ぶにはみすぼらしすぎて、鶏小屋に閉じ込められ見せ物にされ...

真夏の夜にぴったりの、奇想天外でどこか哀しい物語集。貧しく小さい人たちの下には、時折とてつもない祝祭が訪れては魔法の痕跡を残して過ぎ去っていく。 あるとき村の水溜りに落ちてきた「大きな翼のある、ひどく年取った男」は、天使と呼ぶにはみすぼらしすぎて、鶏小屋に閉じ込められ見せ物にされた挙句によたよたと飛び去って行くし、ある時流れ着いた「この世で一番美しい水死人」は、彼を一目見た村人たちをことごとくありえないほど巨大な愛の虜にしてしまう。 もっとも忘れがたい印象を残す「失われた時の海」で、死者が眠る墓地もなく、死者とともに海に流す花を植える庭もないほど小さく貧しい村に、ある晩海からやってくるようになったバラの香りは、気まぐれなアメリカ人の大金持ちが巻き起こす大騒動の前触れだった。大金がばらまかれたはずなのに、前と少しも変わらないままの貧しい村で、最後に明かされる海の底の世界。けれどその魔法を知ることもなくバラの香りをふたたび嗅ぐこともないままに、村はまた、憂鬱な眠りの中に戻っていく。 祝祭に翻弄されながらも、ふたたび元の世界に帰っていく人たちは、それでもこの世のあり方を根本的に買えてしまうような現実の厄災からは自由なのだ。そう感じるから、ガルシア=マルケスの小説世界そのものがまるで蜃気楼のように感じられるのかもしれない。

Posted byブクログ

2020/07/26

短編集だが、エレンディラが一番話が長くて面白い。エレンディラの考えていることがよく分からず何度か困惑した。

Posted byブクログ

2019/10/13

荒廃した海沿いの灰色の町 みすぼらしい老いた天使 バラの香り 美しい水死体 幽霊船 搾取される少女 人間の悪意や悲しさに満ちていて、幻想的で、独特すぎる世界観 こんなにも意味がわからないのに映画のワンシーンのように情景が浮かぶ不思議

Posted byブクログ