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YABUNONAKA ヤブノナカ
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YABUNONAKA ヤブノナカ

金原ひとみ(著者)

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YABUNONAKA ヤブノナカ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2025/04/10
JAN 9784163919683

YABUNONAKA ヤブノナカ

¥2,420

商品レビュー

4.1

400件のお客様レビュー

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2026/08/10

章によって語り手が変わる群像劇。「藪の中」というタイトルのとおり、現実でも我々が経験するように、語り手によってとある物事の捉え方が悉く異なることがよくわかる。この作品は、「ハラスメントの告発」にその物事をおいているから、さらに捉え方のギャップがよく目立つ。性描写はここまで描く必要...

章によって語り手が変わる群像劇。「藪の中」というタイトルのとおり、現実でも我々が経験するように、語り手によってとある物事の捉え方が悉く異なることがよくわかる。この作品は、「ハラスメントの告発」にその物事をおいているから、さらに捉え方のギャップがよく目立つ。性描写はここまで描く必要があるのかという気はして読んでいて気が滅入ったのは確か。ただ、それぞれの語り手が捉えている現実はよく考えられており「いやいや考えすぎでしょもっと気楽に生きたらいいじゃん」と思うものの、そのような姿勢の読者にさえ牙が向かれるという。広く言えばこの世界との向き合い方を考えさせられる作品で、もう少し狭く言えば、物事の捉え方が日々接する相手と違うことを実感させられる作品で楽しい。

Posted by ブクログ

2026/08/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なるほど、まさに「藪の中」ですね。同じ出来事でも、語り手が変わればまったく異なる姿を示します。しかし、芥川の『藪の中』と異なるのは、「何が起こったか(真実)」ではなく、「それをどう評するか」が問われている点です。本作で扱われる出来事も、語り手ごとに評価が大きく異なっています。 特筆すべきは、過去の出来事が現在の価値観・基準で裁かれている点です。橋山美津に告発された木戸悠介の性加害は約10年前の出来事であり、橋山自身も当時は「被害者である」という意識を持っていなかったと述べています。自分が搾取されたという概念は、その後の10年間で形成されたものだといえます。 法の世界では「法の不遡及」により事後法で裁かれることは原則ありませんが、SNSの世界ではこの原則は通用しません。木戸悠介はSNS上で断罪され、すべてを失ってしまいます。非常に容赦がない世界です。 しかし、作中で長岡友梨奈が指摘するように、価値観や基準は常にアップデートされており、そのサイクルもどんどん短くなっています。現在の視点だけで誰が悪か、誰が加害者かと決めつける行為は、どこか空虚なのかもしれません。 とは言え、年齢層が近いからか、僕は木戸祐介には同情的。息子の越山恵斗は苦手です。そして、よく考えるとリコもとっても恐い気が、、、以下は、気になった登場人物についての考察です。 長岡友梨奈 間違ったものを徹底的に排除しようとする正義感は苛烈で、目についた者を次々と刺していく狂人のようにも見えます。当初は「言葉」を武器にしていましたが、後半では「暴力」そのものを武器とするようになります。敵と見なした相手には徹底的に不寛容である一方、木戸悠介への追及だけはどこか生ぬるい印象があります。それは長岡と横山一哉の関係が影響しているのかもしれません。男女が入れ替われば、長岡と一哉の関係も木戸と橋山の関係と同様、完全に黒だといえるでしょう。長岡友梨奈の正義は、個人の思惑が混入したダブルスタンダードな正義なのではないかと感じました。 木戸は長岡を「この女は世界平和を望みながら世界が滅亡する小説を嬉々として執筆する女だ」と、ある意味高く評価していますが、実際の長岡の言動を見る限り、それは木戸の買い被りであったように思えます。木戸は長岡に「俗世を俯瞰する冷徹な表現者」であってほしいと願っていましたが、現実の彼女はもっと泥臭く、狭量で、感情的な俗物でした。「言葉」で世界を変えるはずの作家が「暴力」を行使し始めた時点で、その歪みは限界に達していたように思います。 木戸悠介 現在の価値観で見ても、彼はそこまで悪人とは思えません。アップデートが追いついていないものの、そのことに自覚的である分、五松武夫よりも善良だといえるかもしれません。自らが裁かれる中で、長岡だけは「本物の表現者」であってほしいと願う文学的ロマンを捨てきれない姿は、哀れみすら誘います。 加害者と断じられる一方で、木戸は離婚した妻や妹夫婦に金銭的に搾取され続ける被害者でもあります。しかし寄生者たちは、木戸が性加害者と告発された途端、容赦なく非難し切り捨てます。「過去の恩恵」を簡単に忘れる妹夫婦、「薄っぺらな正義感」の息子。木戸は家族に恵まれず、やはり哀れだと感じます。 五松武夫 徹底した小市民であり、性欲と利己主義だけで動いています。スケールの小ささゆえに悪人というより「ただの愚者」。哀れというより滑稽な存在です。 越山恵斗 自分の感性を根拠なく信じられるのは若者の特権ですが、底の浅い正義感と処罰意識で行動しており、父親である木戸への言動は非常に冷酷です。現在はいかにも正義側の越山恵斗も、10年後には断罪される側に立たされている可能性があります。 長岡や木戸には人間的な弱みや痛みが見えます。長岡の「狂った思想」、木戸の「古いロマン」、妹夫婦の「世俗的な欲」も、良くも悪くも人間的です。しかし越山恵斗だけは、中身がスカスカのモンスターのように見えます。SNS世代のクリーチャーといえる存在です。 リコ エピローグともいえる短い最終章の語り手であるリコは、つかみどころのない人物です。ラストの「自分を責めないで塞がないで口を閉じないでもっと自分を信じて立ち上がらなくてもいいでも崩れ落ちないで」という言葉は、現代を生きる人への応援歌のようにも聞こえます。しかし、その直前でリコが長岡と同じ「無敵メンタル」を自認していることを踏まえると、どこかモヤモヤします。「無敵メンタル」から発されるエールは、一種の「正義の押し付け」にも見えます。長岡友梨奈という怪物が死んだあと、リコという「次の怪物」が誕生したのかもしれません。

Posted by ブクログ

2026/08/09

はじめて金原ひとみ作品を読んだ 言葉の力が強すぎる、すごい 5日ほどでKindleで読んだ 電子書籍苦手だったけど読めた

Posted by ブクログ

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