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キツネを飼いならす 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語
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キツネを飼いならす 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語

リー・アラン・ダガトキン(著者), リュドミラ・トルート(著者), 高里ひろ(訳者)

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キツネを飼いならす 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 青土社
発売年月日 2023/12/27
JAN 9784791775927

キツネを飼いならす

¥2,640

商品レビュー

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2024/08/14

「旧ソ連で従順なキツネを選択して交配させたら予想より早く数世代で人に懐くキツネが生まれた」進化系の本を読んでたら死ぬほど出てくる実験を掘り下げた本。あっさり書くと2行で収まる内容を本一冊ダラダラ読むのはしんどそうと危惧していたが良い意味で裏切られた。 序盤はルイセンコというキャラ...

「旧ソ連で従順なキツネを選択して交配させたら予想より早く数世代で人に懐くキツネが生まれた」進化系の本を読んでたら死ぬほど出てくる実験を掘り下げた本。あっさり書くと2行で収まる内容を本一冊ダラダラ読むのはしんどそうと危惧していたが良い意味で裏切られた。 序盤はルイセンコというキャラが立ってる上に因縁もある悪役が登場。そして実験の成功、一転して旧ソ連解体による実験継続の危機などストーリーのある読み物として面白かった。 後半の家畜化や従順さについての話も結論でてないけど続きが気になる ・種に限らず耳が垂れる、尾が丸まるなどの家畜化の特徴(ネオテニー)には共通の遺伝子が関与しているのか ・共通の遺伝子を特定できたらヒトやボノボなど自己家畜化している説のある種について調べることができるのでは

Posted by ブクログ

2024/05/08

比較的おとなしいキツネを選びだし繁殖させ、その中から更におとなしいキツネをまた繁殖させる、ということを続けると犬のように家畜化されるような変化が見られるか、またホルモンや骨格、遺伝的に何か変化が起こるか、長年にわたって行われている研究をまとめたもの。私はこの研究は何かの折にTVで...

比較的おとなしいキツネを選びだし繁殖させ、その中から更におとなしいキツネをまた繁殖させる、ということを続けると犬のように家畜化されるような変化が見られるか、またホルモンや骨格、遺伝的に何か変化が起こるか、長年にわたって行われている研究をまとめたもの。私はこの研究は何かの折にTVで見て知り興味深く覚えていた。長い研究の間には、東西冷戦、ソ連崩壊、ウクライナ戦争・・・など様々な出来事があり、研究者もキツネも危険にさらされ多くの苦難を乗り越えてきたんだと知った。困難な中でも、純粋に研究に打ち込むということが、わずかな隙間を空け道が開いていくんだなと思った。

Posted by ブクログ

2024/03/15

きつねの生態について興味があったので手に取った本。 ソ連時代のシベリアでキツネを家畜化する実験についての50年以上にわたる記録を綴ったノンフィクションです。実験は1950年代にはじまり、生物学者であるリュドミラを中心にキツネがどのように人と交流し、野生から従順な生き物へと変化を遂...

きつねの生態について興味があったので手に取った本。 ソ連時代のシベリアでキツネを家畜化する実験についての50年以上にわたる記録を綴ったノンフィクションです。実験は1950年代にはじまり、生物学者であるリュドミラを中心にキツネがどのように人と交流し、野生から従順な生き物へと変化を遂げていくのか、というところに焦点をあて、生物の進化における「家畜化」の過程を綿密に調べていく。 曰く、「キツネをイヌのような動物に変えることができれば、家畜化はどのように起きたのかという古い謎を解くことができるかもしれない。さらには人類の進化について重要な洞察を得られるかもしれない。何しろわれわれは、家畜化されたサルなのだから(P.8)」とあり、書き手のやや突き放した視点が垣間見えた。 通常、キツネは人に懐くことはない。しかし、交配実験を繰り返すことで、人と接触しても警戒することのない、どころか好奇心を持って人と接触してくるキツネが誕生したとのこと。 実験の初期段階では、比較的おとなしい雌ギツネが生んだ三十匹の子ギツネたちがどのように生活しているか、その反応を観察することで、それぞれの体長、大きさ、被毛の色、解剖学的形質、健康一般についてを記録。そうすることで施設内における「人に懐かないキツネ」「人に懐くキツネ」「人にすごくよく懐くキツネ」と大まかに3グループに分けていく。 1963年、最初の兆候は尻尾だった。人への反応として尻尾を振るのはイヌの形質のひとつでその日までそれが観察されたのはイヌだけだったわけだが、条件付けによってではなく、"自発的"に尻尾を振りながら人と接触するキツネが登場する。 その後、さらに実験は進み、家の中で飼育するという段階に入る。1960年代の時点ですでに家の中で飼うという段階まで進んでいたことに驚いたが、それ以上に、交配実験による選別でわずか15年くらいで「従順なキツネ」が誕生すること自体にびっくり。 でもすべてのキツネがすぐに従順になるわけではなく、じゃあ何が従順なキツネとそうでないキツネを分けるのか、というところがポイントとなる。顕著な違いとして確認されたのはセロトニンとメラトニンの分泌量だ。 1970年代、セロトニンという化学物質は、気分の向上に役立つことが発見され、従順なキツネの中でセロトニンが分泌される量を調べたところ、そのレベルは懐かないキツネに比べてかなり高かった。 また、通常キツネが交尾を行うのは1年間のうち2月に一回のみなのだが、メラトニンの量を増やすことでイヌと同じように、時期や回数を限定せず交尾することは可能かどうかの実験も行われる。これによって時期を限定せずに交配が可能となり、イヌに近い性質の動物になるとのこと。 また、家畜化が進行するにしたがって現れる身体的特徴として、「額に白斑が現れる」というものがあり、1970年代をとおして世代を経るたびにこの兆候は増えていったらしい。 これらの実験を通してはっきりわかっているのは、キツネたちは、私たちの生活に迎え入れて愛情をそそぎながら共に暮らしていくことができる動物に"なりえる"ということ。本文の言葉を借りるなら「優美で、ふわふわで、魅力的ないたずら者」であるキツネは、イヌのように人に懐き、ネコのように好奇心旺盛で、人と交流することが可能だという。実験は現在も続き、すでにキツネと一般人が自宅で暮らすというところまできているそうだ。生態学や進化論およびキツネについて興味がある人なら興味深い情報をたくさん得られるだろう。 ちなみに、交配実験や家畜化実験そのものの是非についてこの本ではほぼ触れられることはない。それは科学系ノンフィクションの在り方として正しいだろう。と同時に、「生態を変えることについての是非」という倫理的な観点ももう少しあってほしかったなとも思う。この本の中心人物となるリュドミラは、従順なキツネにしっかり愛情をそそいでいき、その上で生物学者としてその生態を調べることも怠ってはいない。だけど私はこの本で出てくる人の中でもっと好きだった人がいて、それは飼育係を任されたナターシャという人物だ。彼女は他の人がやりたがらない「凶暴なキツネ」の世話を積極的に行う。ほんのちょっとしか登場しない人物ではあるのだけど、彼女が言った「家畜化されたキツネも好きですが、攻撃的なキツネも愛しています」という言葉は(本の主題とは離れることを承知しつつ)もっとも心に残った。 なお、時代が時代なので、ソ連に興味がある人にとってもいろいろ発見のある本になってるんじゃないかと思います。

Posted by ブクログ

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