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キツネを飼いならす の商品レビュー

4.1

10件のお客様レビュー

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2025/06/15

大変面白かった。「ソビエト連邦」と聞くとなんとなく西洋的価値観から遅れている国家イメージであまりいいものではなかったが、当然、その国の中には色んな意志があり、科学者もまた国家の意思と本人の意志を調整しつつ苦しんでいたのだと改めて打たれる思いになるのだった。動物に関する実験はまだ現...

大変面白かった。「ソビエト連邦」と聞くとなんとなく西洋的価値観から遅れている国家イメージであまりいいものではなかったが、当然、その国の中には色んな意志があり、科学者もまた国家の意思と本人の意志を調整しつつ苦しんでいたのだと改めて打たれる思いになるのだった。動物に関する実験はまだ現代でも途上にあり、あるいは倫理観から撤退せざるを得ないことも増えているような気がしているが、ベリャーエフとリュドミラとそのチームの功績は素晴らしいものだ……

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2025/05/20

メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1921529692500131897?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

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2025/05/07

野生のギンギツネを家畜化しようというベリャーエフの試み。それは成功して、人懐っこいイヌのようなキツネができあがった。本書は、ロシアで行なわれたこの研究の一部始終を綴ったもの。 ベリャーエフ(1917-1985)が実験を始めたのは1952年。時まだスターリンの時代、生物研究の世界に...

野生のギンギツネを家畜化しようというベリャーエフの試み。それは成功して、人懐っこいイヌのようなキツネができあがった。本書は、ロシアで行なわれたこの研究の一部始終を綴ったもの。 ベリャーエフ(1917-1985)が実験を始めたのは1952年。時まだスターリンの時代、生物研究の世界にはルイセンコが君臨していた。遺伝学研究はご法度、見つかればただでは済まなかった(命がけだった)。ベリャーエフは、毛皮用のキツネの繁殖研究を隠れ蓑にして、人為的な交配実験を進めた。スリル満点、本書の最初のハイライトだ。 トルート(1933-)がこの研究に携わるようになるのは1958年、25歳の時。結婚して子どももいた。彼女は、シベリアの飼育場で実験を順調に進めてゆく。これがメインのハイライト。 最後のほうでは、ブライアン・ヘアが自己家畜化仮説を検証するためにシベリアに来る場面もある。キツネでのその認知実験がおもしろい。 亡くなる直前、ベリャーエフの心残りは、本書のような本を残せなかったこと。トルートは、英語圏の強力な助っ人ダガトキンの手を借りて、それを叶える。 (「日経サイエンス」2017年8月号掲載の「キツネがイヌに化けるまで」は、本書のダイジェスト版。写真多し。)

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2025/01/28

詳細は、あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノートをご覧ください。 → https://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-2038.html   本の口絵ページに、飼いならされた狐の写真。 かわいい子キツネ! 一体どんな実験をしたの???

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2024/10/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ソ連で行われた60年にわたるキツネの家畜化を追った本。 はじめの数ページの飼いならされたキツネの写真に驚いた。どのキツネも自分がイメージするキツネの姿とかけ離れていた。 専門的な遺伝子の話などは流し読みしつつ、研究中に起きた様々な困難が印象に残った。 そのまま映画化できるのでは?と思えるほどの波乱万丈な60年の研究は、リュドミラさんをはじめとする研究者の熱意とキツネたちへの愛情に支えられていた。 キツネたちが世界中の人々にペットとして引き取られ、人間と共に生きているというラストも美しい。

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2024/08/14

「旧ソ連で従順なキツネを選択して交配させたら予想より早く数世代で人に懐くキツネが生まれた」進化系の本を読んでたら死ぬほど出てくる実験を掘り下げた本。あっさり書くと2行で収まる内容を本一冊ダラダラ読むのはしんどそうと危惧していたが良い意味で裏切られた。 序盤はルイセンコというキャラ...

「旧ソ連で従順なキツネを選択して交配させたら予想より早く数世代で人に懐くキツネが生まれた」進化系の本を読んでたら死ぬほど出てくる実験を掘り下げた本。あっさり書くと2行で収まる内容を本一冊ダラダラ読むのはしんどそうと危惧していたが良い意味で裏切られた。 序盤はルイセンコというキャラが立ってる上に因縁もある悪役が登場。そして実験の成功、一転して旧ソ連解体による実験継続の危機などストーリーのある読み物として面白かった。 後半の家畜化や従順さについての話も結論でてないけど続きが気になる ・種に限らず耳が垂れる、尾が丸まるなどの家畜化の特徴(ネオテニー)には共通の遺伝子が関与しているのか ・共通の遺伝子を特定できたらヒトやボノボなど自己家畜化している説のある種について調べることができるのでは

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2024/05/08

比較的おとなしいキツネを選びだし繁殖させ、その中から更におとなしいキツネをまた繁殖させる、ということを続けると犬のように家畜化されるような変化が見られるか、またホルモンや骨格、遺伝的に何か変化が起こるか、長年にわたって行われている研究をまとめたもの。私はこの研究は何かの折にTVで...

比較的おとなしいキツネを選びだし繁殖させ、その中から更におとなしいキツネをまた繁殖させる、ということを続けると犬のように家畜化されるような変化が見られるか、またホルモンや骨格、遺伝的に何か変化が起こるか、長年にわたって行われている研究をまとめたもの。私はこの研究は何かの折にTVで見て知り興味深く覚えていた。長い研究の間には、東西冷戦、ソ連崩壊、ウクライナ戦争・・・など様々な出来事があり、研究者もキツネも危険にさらされ多くの苦難を乗り越えてきたんだと知った。困難な中でも、純粋に研究に打ち込むということが、わずかな隙間を空け道が開いていくんだなと思った。

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2024/03/15

きつねの生態について興味があったので手に取った本。 ソ連時代のシベリアでキツネを家畜化する実験についての50年以上にわたる記録を綴ったノンフィクションです。実験は1950年代にはじまり、生物学者であるリュドミラを中心にキツネがどのように人と交流し、野生から従順な生き物へと変化を遂...

きつねの生態について興味があったので手に取った本。 ソ連時代のシベリアでキツネを家畜化する実験についての50年以上にわたる記録を綴ったノンフィクションです。実験は1950年代にはじまり、生物学者であるリュドミラを中心にキツネがどのように人と交流し、野生から従順な生き物へと変化を遂げていくのか、というところに焦点をあて、生物の進化における「家畜化」の過程を綿密に調べていく。 曰く、「キツネをイヌのような動物に変えることができれば、家畜化はどのように起きたのかという古い謎を解くことができるかもしれない。さらには人類の進化について重要な洞察を得られるかもしれない。何しろわれわれは、家畜化されたサルなのだから(P.8)」とあり、書き手のやや突き放した視点が垣間見えた。 通常、キツネは人に懐くことはない。しかし、交配実験を繰り返すことで、人と接触しても警戒することのない、どころか好奇心を持って人と接触してくるキツネが誕生したとのこと。 実験の初期段階では、比較的おとなしい雌ギツネが生んだ三十匹の子ギツネたちがどのように生活しているか、その反応を観察することで、それぞれの体長、大きさ、被毛の色、解剖学的形質、健康一般についてを記録。そうすることで施設内における「人に懐かないキツネ」「人に懐くキツネ」「人にすごくよく懐くキツネ」と大まかに3グループに分けていく。 1963年、最初の兆候は尻尾だった。人への反応として尻尾を振るのはイヌの形質のひとつでその日までそれが観察されたのはイヌだけだったわけだが、条件付けによってではなく、"自発的"に尻尾を振りながら人と接触するキツネが登場する。 その後、さらに実験は進み、家の中で飼育するという段階に入る。1960年代の時点ですでに家の中で飼うという段階まで進んでいたことに驚いたが、それ以上に、交配実験による選別でわずか15年くらいで「従順なキツネ」が誕生すること自体にびっくり。 でもすべてのキツネがすぐに従順になるわけではなく、じゃあ何が従順なキツネとそうでないキツネを分けるのか、というところがポイントとなる。顕著な違いとして確認されたのはセロトニンとメラトニンの分泌量だ。 1970年代、セロトニンという化学物質は、気分の向上に役立つことが発見され、従順なキツネの中でセロトニンが分泌される量を調べたところ、そのレベルは懐かないキツネに比べてかなり高かった。 また、通常キツネが交尾を行うのは1年間のうち2月に一回のみなのだが、メラトニンの量を増やすことでイヌと同じように、時期や回数を限定せず交尾することは可能かどうかの実験も行われる。これによって時期を限定せずに交配が可能となり、イヌに近い性質の動物になるとのこと。 また、家畜化が進行するにしたがって現れる身体的特徴として、「額に白斑が現れる」というものがあり、1970年代をとおして世代を経るたびにこの兆候は増えていったらしい。 これらの実験を通してはっきりわかっているのは、キツネたちは、私たちの生活に迎え入れて愛情をそそぎながら共に暮らしていくことができる動物に"なりえる"ということ。本文の言葉を借りるなら「優美で、ふわふわで、魅力的ないたずら者」であるキツネは、イヌのように人に懐き、ネコのように好奇心旺盛で、人と交流することが可能だという。実験は現在も続き、すでにキツネと一般人が自宅で暮らすというところまできているそうだ。生態学や進化論およびキツネについて興味がある人なら興味深い情報をたくさん得られるだろう。 ちなみに、交配実験や家畜化実験そのものの是非についてこの本ではほぼ触れられることはない。それは科学系ノンフィクションの在り方として正しいだろう。と同時に、「生態を変えることについての是非」という倫理的な観点ももう少しあってほしかったなとも思う。この本の中心人物となるリュドミラは、従順なキツネにしっかり愛情をそそいでいき、その上で生物学者としてその生態を調べることも怠ってはいない。だけど私はこの本で出てくる人の中でもっと好きだった人がいて、それは飼育係を任されたナターシャという人物だ。彼女は他の人がやりたがらない「凶暴なキツネ」の世話を積極的に行う。ほんのちょっとしか登場しない人物ではあるのだけど、彼女が言った「家畜化されたキツネも好きですが、攻撃的なキツネも愛しています」という言葉は(本の主題とは離れることを承知しつつ)もっとも心に残った。 なお、時代が時代なので、ソ連に興味がある人にとってもいろいろ発見のある本になってるんじゃないかと思います。

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2024/01/16

うーん、面白い いかん、最近ノンフィクション系の面白さに目覚めつつある 良くないわ〜 その分小説読む時間が減ってるわけだからな 少し自制しよう はい、生物学です!遺伝学か? 本書は「キツネは犬になれるか?」というキツネの家畜化の壮大な実験の記録でありまーす この実験によっ...

うーん、面白い いかん、最近ノンフィクション系の面白さに目覚めつつある 良くないわ〜 その分小説読む時間が減ってるわけだからな 少し自制しよう はい、生物学です!遺伝学か? 本書は「キツネは犬になれるか?」というキツネの家畜化の壮大な実験の記録でありまーす この実験によってオオカミから犬への進化の謎を解き明かし、またヒトの自己家畜化についての謎に迫っておるんです 旧ソ連の科学者たちの情熱を応援する気持ちになったり、人に慣れていくキツネたちの交流に微笑ましい思いを抱いたりと読みものとしても一級品 ところで家畜化による変化のひとつとして「穏やかな性格」になるってのがあって、ヒトが集団生活を営むようになり、その生活を円滑に進めるために「穏やかな性格」が必要となりヒトの自己家畜化が進んだって話しなんだけど…ま、例外はいつでもあるわな 例えばうちの奥( ゚∀゚)・∵. グハッ!!

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2024/01/09

家畜化には向かないと考えられていた(と言うか、せいぜい毛皮を取るための飼育程度でしか考えてこなかったのかも)キツネの家畜化を実験した内容を述べたもの。 キツネの実験の中核は、家畜化に関わる遺伝子がどのように働くのかということの解明だ。 純粋に生物学、遺伝学的な内容と捉えれば、面...

家畜化には向かないと考えられていた(と言うか、せいぜい毛皮を取るための飼育程度でしか考えてこなかったのかも)キツネの家畜化を実験した内容を述べたもの。 キツネの実験の中核は、家畜化に関わる遺伝子がどのように働くのかということの解明だ。 純粋に生物学、遺伝学的な内容と捉えれば、面白い内容だが、自然の摂理や倫理を考えると、ある意味怖さも感じる。 地球上にいる数百万種の動物のなかから、家畜化されたのはわずか数十種、ほとんどが哺乳類。 そして家畜化された哺乳類のほとんどには、被毛や皮に異なる色柄--点、ぶち、白ぶち、その他の印--が現れ、また多くが、野生の種なら成長にともなって失われる幼体のころの身体的形質--例えば垂れた耳、丸まった尻尾、幼い顔立ちといった、幼い動物をかわいらしく見せている形質--を成体になっても保ち、種が家畜化された以降も続く。家畜に現れるぶちや柄は身を隠すためではない。それならなぜ自然選択で有利になるのだろうか? 家畜化された動物のもうひとつの共通点は、その交尾能力で、すべての野生動物は一年のある期間内に緊殖するのに対し、多くの家畜化された種では、一年中いつでも交尾がおこなわれ、多くの場合一年に複数回交尾する。 研究者は、家畜化についての説明のつかない問いへの答えは、あらゆる家畜のもっとも重要な決定的形質である従順さに関係するはずだと考えた。 キツネでも、ごく一部人が近づいてもおとなしい個体がいるが、進化の過程で、我々の祖先が動物をその従順さを対象とする飼育・選択をしたことで、動物はどんどんおとなしくなっていったのではないかと。 とは言え、過去の実験では上手く行かなかったシマウマの例等がある。 大人しいキツネを選別し、それらのあいだで交配させていく。どの子ギツネの耳も生後2週間までは垂れ耳で、それからまっすぐに立つものだが、その選択された第10世代の子ギツネたちの耳は、垂れ耳のままで、ほとんど子犬そっくりに見えたらしい。 彼らは従順で、遺伝的な観点で説明できるが、行動の一部は学習されたものだとも示される。 野生のキツネは、長くほっそりした脚と長く尖った鼻づらを持つが、これは獲物を追いかけたり捕食者から逃げたりするときにスピードが出せるし、食物を探す時にひっこんだ場所や茂った草むらに顔を突っこみやすいことが、自然選択につながった結果だろう。 しかしキツネたちを新たな環境に置くことで、キツネのゲノムが揺るがされ、成体になっても可愛らしい特徴を維持することになったと考えられる。 イヌはオオカミが祖先とされるが、ヒトのよき相棒となるまでには、恐らく何千何万年もかかっていたはずだ。 それが、たかが何十年で愛玩動物に成れるものなのだろうか。

Posted byブクログ