商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 実業之日本社 |
発売年月日 | 2020/10/08 |
JAN | 9784408556161 |
- 書籍
- 文庫
彼方の友へ
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彼方の友へ
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商品レビュー
4.6
40件のお客様レビュー
話しに没頭したけど、少し長くて疲れた感じ。 欲を言えば、最後に主筆が帰って来るとか、もう少しベタな感動がほしかったかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
同じコンセプトの小説を間を置かずに2冊読了した。『百年の子』と『彼方の友へ』。どちらも戦前戦後の少年少女雑誌の物語。しかもどちらも女性編集者が活躍する。同じ題材を扱いながらも作者によってテイストが違うから小説は面白い。今回は小説の中で主人公の佐倉ハツと遥かな時を超えて辛くも楽しくもあった時間を共有した。だから自信を持って言える。たとえ何百万分の一の存在であろうと、私も「最上のもの」を贈られた「彼方の友」のひとりだ。
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先に読んだ「犬がいた季節」の解説に『その年の本屋大賞ノミネート作に「彼方の友へ」が入っていなかったことに途轍もない衝撃を受けた…』と書いてあるのを見て、この本も読んでみたいと思っていた。 こちらもとても面白かった。 昭和初期、父が消息を絶ち母も病気になっては進学も諦め慎ましい生...
先に読んだ「犬がいた季節」の解説に『その年の本屋大賞ノミネート作に「彼方の友へ」が入っていなかったことに途轍もない衝撃を受けた…』と書いてあるのを見て、この本も読んでみたいと思っていた。 こちらもとても面白かった。 昭和初期、父が消息を絶ち母も病気になっては進学も諦め慎ましい生活を余儀なくされていたハツのお話。 知り合いの口利きで憧れの少女雑誌「乙女の友」編集部に職を得たハツが場違いな場所で戸惑いの日々を過ごす序盤を過ぎて、なかなか原稿を仕上げてもらえない作家先生を自転車でさらってきたあたりから面白くなってきた。 そこからは、主筆の有賀に鍛えられながら、周囲の作家や画家からも様々なことを吸収して、ハツが物書きとして頭角を現していく姿が瑞々しく描かれて、とても惹き込まれる。 ハツの親しみやすい人柄はもとより、冷静な主筆の有賀、優しいながら謎めいた画家の純司、いつも一緒にいて支えてくれる編集補佐の史絵里、陰ながら指導してくれる科学小説家の空井、ハツが憧れる女性作家の美蘭など、それぞれに陰影がある人物像が面白みを増す。 “友へ、最上のものを”という思いのもとに描かれる雑誌づくりの話には、ともすれば不要不急と切り捨てられる美や芸術、音楽や文芸の存在の重さを改めて教えられるし、この時代を描けば避けて通れない大戦前夜から敗戦までの禍々しい出来事には反戦の思いを、銃後で協力し合って逞しく生きる女性たちの姿には社会における女性活躍に対する思いを汲み取ることができる。 色々なテーマが折り重なっている物語だが、それらが声高にではなく、お話の中からしっかりと沁みてくるような描き方が好ましい。 後半、有賀が入営するあたりからなんだかメロドラマっぽくなってきたが、そこからあのようなエピローグになろうとは…。戦後の復興の中でそれぞれが歩んだ数奇な運命が、五線譜の暗号とつながるラストがとても良かった。 番外編も、本編であのように逝った空井を偲んで秀逸。
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