商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | スイッチ・パブリッシング |
| 発売年月日 | 2017/10/25 |
| JAN | 9784884184568 |
- 書籍
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犬物語
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犬物語
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商品レビュー
4.1
17件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ジャック・ロンドンの厖大な作品の中から、「犬の話」に特化して選出された短篇集。 ○ブラウン・ウルフ 野生の魂を持つ一匹の犬が、「温かい愛情に満ちた文明の生活」と「過酷だが自由がある北国の生活」の間で葛藤する物語。 隙あらば常にカリフォルニアから「北」へ逃げ出そうとし、むちゃくちゃ長距離を移動するウルフのスタミナと執念が凄すぎた。 「カリフォルニアの夫婦」と「クロンダイクの乳母」を選択させられるラストが悲しすぎる。 ウルフが「北」を選択することから、生き物の中に眠る「抗えない本能(野生の呼び声)」の強さが描かれており、ジャック・ロンドンの自然主義的思考が色濃く反映されている作品。 ○バタール 残酷な男ブラック・ルクレールと彼が飼う混血犬バタールの、互いを殺したいほど憎み合いながらも離れずに執着し合う異常な関係性が描かれる作品。 通常であれば犬と飼い主を結ぶものは愛情であるが、本作では「憎しみ」が男と犬両者にとっての生存のエネルギーとなっている。 ルクレールは執拗にバタールを虐待するし、バタールは隙を突いてルクレールの愛犬を殺したり、両者の激しいライバル関係が冷徹な文章ながらも滑稽に描写される。 最終的には、バタールがルクレールの足場を蹴り飛ばして自らの手で主人を絞首刑に処することに成功するものの、直後に自身も射殺される。 こんな男がいたら最悪だし、こんな犬も最悪。本短篇集の中でもかなり暗い作品。 ○あのスポット 主人公と相棒のスティーヴンが、クロンダイクへ向かう途中で買った一匹の犬「スポット」を巡る物語。 スポットは見た目が美しく力も強い完璧な犬に見えるが、とんでもないクズでとにかく何もしない。そのうえ二人の食料を盗んだりする。 我慢の限界を迎えた二人は何度もスポットを売ったり、遠くに置き去りにしたりして縁を切ろうとするものの、スポットはそのたびになぜか彼らのもとへ戻ってくる。このドタバタ劇がコミカルな描写で最初は笑えるものの、次第に逃れられない悪夢のような不気味さを帯びてくる。 最終的に、スポットという厄介者を押し付け合ううちに、生死を共にしてきた主人公とスティーヴンの絆はズタズタになり、二人は互いを憎み合うようになってしまう。 何をされても平然と主人公の元に帰ってくる「いかなる科学的説明も成り立たない」あのスポットは、もはや途中からホラー。「世にも奇妙な物語」のような作品だった。 ○野性の呼び声 ジャック・ロンドンの代表作。 カリフォルニアで飼い犬として暮らしていた大型犬バックが、ゴールドラッシュに沸く極寒の地へ連れ去られ、過酷な環境の中で眠っていた野生の本能に目覚めていく物語。 棍棒と牙が支配する暴力的な世界で、橇犬としての訓練を受けながら文明社会の道徳を捨て、生き残るための「原始的な本能」を急速に学んでいくバック。そんなバックがライバル犬との死闘を経て群れのリーダーへと成長する姿を通じて、弱肉強食の適者生存が描かれる。 ジョン・ソーントンとの「主人と犬」という関係を超えた、深い愛による信頼関係が感動的。 ソーントンが先住民の襲撃を受けて命を落とし、バックが復讐をするところがアツすぎた。 伝説的なオオカミの群れのリーダーとなり野生の世界へと完全に戻っていく結末も圧巻。 文明と自然を往来するバックはまさに、貧しい出自から大富豪に登り詰めたジャック・ロンドン自身の投影だと読み取れる。 犬(バック)の視点をとても丁寧に描いており、バックが過酷な環境を生き抜いていく成長物語として、こどもでも楽しく読むことができる作品。 ○火を熾す(1902年版) 1908年版との違いは、主人公にトム・ヴィンセントという名前がついているのと、犬が登場しないのと、結末で生き延びることができる点。 1908年版よりいくぶん読みやすいものの、そのぶん単調なストーリーで物語の深みが欠けている印象を受けた。 個人的には、圧倒的に1908年版が好き。
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知床旅行で泊まったホテルの本棚で見つけた一冊。雪国の自然豊かな場所で読むには短編集でした。 犬にまつわる短編が何個か掲載されてるんですが「野生の呼び声」は、人生で読めて良かった一編になるくらい心に残った。 文明的な家(人間が快適に暮らす家)で暮らしてたバックという犬が、ゴールド...
知床旅行で泊まったホテルの本棚で見つけた一冊。雪国の自然豊かな場所で読むには短編集でした。 犬にまつわる短編が何個か掲載されてるんですが「野生の呼び声」は、人生で読めて良かった一編になるくらい心に残った。 文明的な家(人間が快適に暮らす家)で暮らしてたバックという犬が、ゴールドラッシュで橇犬の需要が増えた中で使用人に売られてしまい、何人もの主人を変えながら野生を取り戻していく話。 読んでて辛くなるくらい、仕事や金稼ぎの道具としての動物を扱う人間の冷酷さが描かれていて、それに当然戸惑い、怒り、憎み、飼い犬だった頃の誇りも簡単に傷つけられる。極寒と飢えと疲れと緊張の中で次第に感覚が研ぎ澄まされ、記憶にない記憶が遺伝子レベルで蘇り、自分の祖先がかつて狼だった頃の生や、群れの頂点への渇望を思い出していく。 犬という、自分たち人以上に当事者意識を持つことが難しい異種の感情の機微や行動の原理をここまで緻密にかつ文学的に表現する描写力に圧倒された。バック含む橇犬たちがバカな人間のせいで不当に酷使されて、疲れと飢えで死にかけていくシーンでは久しぶりに読書で泣いてしまった。 私が泊まったホテルから少し先は世界自然遺産に登録されている手つかずの自然が残っている地域。ヒグマ、シカ、キツネ、リス、フクロウのような陸の動物がいる場所やシャチやクジラが生息する海域がある。サケも毎年海と川を往復する。そんな地域でたくさんの肉と魚を食べた。たくさん降る雪の中でウミネコが鳴き声上げながら飛んでた。上手く言語化できないけど、自然の力に感動もするし当然なのに圧倒的な無力感も感じる。いつか原生林とか野生動物を自分の目で見てみたいって気持ちと、彼らの邪魔になりたくないっていう人間である罪悪感を同時に感じる。 初めての感覚になる場所で本当にいい読書ができた。 ↓引用 ※バックは犬の名前 生の頂点、生がそれ以上のぼりえない地点には、ある種の恍惚がある。生きることの逆説ゆえに、この恍惚は、生き物が最高に生きているときに訪れ、自分が生きていることを完全に忘れるという形をとる。この恍惚、この生の忘却は、創造の炎に襲われ自我の外に出た芸術家に訪れる。戦いに荒れはてた戦場で、戦いの狂気に憑かれて慈悲を拒む兵士に訪れる。そしてそれは、群れを導き、古代の狼の声を上げ、月光のなかで敏捷に逃げていく生きた食物を追うバックにも訪れた。 ⸻ そして、静まり返った寒い夜に、どこかの星に鼻を向けて、長く狼のように吠えるとき、それは死んで塵芥と化した先祖たちが、幾世紀もの時を超え、彼の体を介して、星に鼻を向けて吠えているのだった。彼のリズムは先祖たちのリズムであり、先祖たちの悲しみを、彼らにとっての静寂、寒さ、闇の意味を伝えるリズムだった。 こうして、生というものが操り人形にすぎぬことの証として、古の歌が彼の体を駆け抜け、バックは本来の自分に回帰った。
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『野生の呼び声』『白い牙』以外は初読だったが、前回読んだのがかなり前だったため『野生の呼び声』も新鮮に読めた。 冷厳な自然と、人間と犬の時に残酷なまでの濃密な関係の対比がすごい。 よかった。
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