1,800円以上の注文で送料無料

消滅世界
  • 新品
  • 書籍
  • 書籍
  • 1221-04-07

消滅世界

村田沙耶香(著者)

追加する に追加する

消滅世界

1,760

獲得ポイント16P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2015/12/01
JAN 9784309024325

消滅世界

¥1,760

商品レビュー

3.4

188件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/02/04

「人類のゲシュタルト崩壊」こそが村田沙耶香の凄さである。 性を取り除いたとき、男女はその両極の個性を失い、自らの大部分を記号化してしまう。かつてSF小説のモチーフとされたディストピアの世界は、人類がその個性を自ら消去して管理していくのだった。性を目的としないディストピアを仮定す...

「人類のゲシュタルト崩壊」こそが村田沙耶香の凄さである。 性を取り除いたとき、男女はその両極の個性を失い、自らの大部分を記号化してしまう。かつてSF小説のモチーフとされたディストピアの世界は、人類がその個性を自ら消去して管理していくのだった。性を目的としないディストピアを仮定するとき、人はそこに新たな「世界性」を感じるのかも知れない。オルダスハクスリーはそれを『すばらしい新世界』で表現し、貴志祐介は『新世界より』で描いた。そして本書は『消滅世界』だ。 しかしそれは、我々が、性を目的とした世界に生きている事実の証左に他ならない。漢字で表現される通り「生々しさ」こそ、生きることでもある。その「生々しさ」を取り除く。ここでの「性」は、単に行為としてだけではなく、内受容感覚としての性も意味する。そうした思考実験世界において、完全な環境設定に成功せず、論理にほころびを見せつつ、性愛は、あったりなかったり、選択されたりされなかったりして、やがて消えゆくという予感を描く。まるで、刹那に高ぶっては果てる、性欲そのもののように。 それはまるで悪い冗談のようでもあった。 オッサンがいう夫婦での行為なんて近親相姦、外で済ますのだと。若者が、避妊をしての行為は自慰に等しいと。買った、買われた。キャベツ畑から拾う赤ちゃん。村田は、性の文化性を思い出したように挑発しながらカリカチュアとして物語に取り入れる。人間たちは欲望の奴隷であり、秩序の奴隷であり、社会性の奴隷だ。その内部、外部からの強制世界の中で、私たちはお互いを消費し、消費されながら生きている。 その交換行為こそが、結果としての世代交代であり、循環である。この本質的な原理は、社会活動や経済にも取り入れられる。いや、経済に世代交代の本能が取り入れられるから、私たちは、買われる。循環の構図は、そこかしこに繋がり、欲動によって駆動していく。 その連環を一部切断してみよう。性に対する駆動を取り除いてみてはどうか。ジーっと見ている当たり前の世界、その連関や秩序が崩壊していく感覚。それこそ村田沙耶香の真骨頂だ。

Posted by ブクログ

2025/01/23

人工授精が当たり前となった世界。 今後こうなってしまう可能性もあるかもしれないと思うと本当にホラー。そして、結末もホラー。 家族ってなんだろうって思います。

Posted by ブクログ

2025/01/23

自分が思っている「正常」なこと全てがただの洗脳なのではと。 正常があるから異常があって、でも異常側の人たちからすれば正常側が異常で。そもそも正常も異常もただの価値観や洗脳に過ぎない。 でも人々のそれが常に世界を作り進化し続けている。そんなことを皆んなが理解できれば誰もが生きやすい...

自分が思っている「正常」なこと全てがただの洗脳なのではと。 正常があるから異常があって、でも異常側の人たちからすれば正常側が異常で。そもそも正常も異常もただの価値観や洗脳に過ぎない。 でも人々のそれが常に世界を作り進化し続けている。そんなことを皆んなが理解できれば誰もが生きやすい世界になっていくんだろうなって。 まあでもなかなか難しいのがこの世界よね。

Posted by ブクログ