- 新品
- 書籍
- 文庫
- 1225-05-03
テロルの決算 新装版 文春文庫
781円
獲得ポイント7P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
| 発売年月日 | 2008/11/06 |
| JAN | 9784167209148 |
- 書籍
- 文庫
テロルの決算 新装版
商品が入荷した店舗:店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
テロルの決算 新装版
¥781
在庫なし
商品レビュー
4.1
80件のお客様レビュー
鮮烈なルポルタージュ 『テロルの決算』 1.概要 沢木耕太郎氏の『テロルの決算』は、1960年の「浅沼稲次郎暗殺事件」という戦後史の暗部を抉り出した、魂を揺さぶるノンフィクションの金字塔です。 単なる事件の記録ではなく、その裏に隠された一人の17歳の少年の孤独な思想と、彼を取...
鮮烈なルポルタージュ 『テロルの決算』 1.概要 沢木耕太郎氏の『テロルの決算』は、1960年の「浅沼稲次郎暗殺事件」という戦後史の暗部を抉り出した、魂を揺さぶるノンフィクションの金字塔です。 単なる事件の記録ではなく、その裏に隠された一人の17歳の少年の孤独な思想と、彼を取り巻く時代の空気が、読者に重くのしかかります。 2.事件の真相 事件の発端は、社会党・浅沼委員長が中国訪問で語った「アメリカ帝国主義は、日中共同の敵」という強烈なスピーチでした。 この言葉は当時の右翼勢力に激しい怒りの火をつけ、事件の引き金となります。 これに触発された少年、山口二矢の思考が、本書の核心です。彼は、右翼の政治スピーチに感化されながらも、右翼組織の行動や思想に徐々に幻滅を感じていきます。 書物を通じて天皇崇拝の念を強めた彼は、組織に頼らず、自らの手で「成敗はみずから」と決断を下しました。 この17歳の若さで、世界と対峙し、自らの命を賭して「決算」をつけようとした孤独なテロルの論理が、生々しく描かれます。 3.まさに映像なり。 犯行当日、日比谷公会堂の警備体制は万全とは言えませんでした。 沢木氏の筆致は、事件が起きる直前の静寂から、警備の隙を突いて山口少年が壇上に駆け上がり、浅沼氏を脇差のような刃物で刺突する発生の瞬間までを、まさに映像のように切り取ります。 あの衝撃の瞬間を捉えた写真がピュリツァー賞を受賞したことからも、その凄まじさが伝わってきます。 この緊迫感あふれる描写は、ノンフィクションの醍醐味です。 4.敬意/20代の情熱と胆力への驚嘆 何よりも衝撃的なのは、本書が沢木氏が20代で、足掛け7年間もの歳月をかけて大成させたという事実です。 「声を持たぬ者の声を聴こうとする。それがノンフィクションの書き手のひとつの役割だとするなら、虐げられた者たち、少数派たらざるをえなかった者たち、歴史に置き去りにされた者たちを描こうとすることは、ある意味で当然のことといえる。」 という後書きは、彼の取材と執筆に対する徹底した姿勢を物語っています。 生い立ちから思想、そして独房での自決に至るまで、山口二矢という一人の人間の内面を深く掘り下げたその取材力と構成力、そして書き手の胆力には、ただただ驚嘆するしかありません。 5.読みおえて 事件の社会的背景だけでなく、テロリストの人間性を描くことで、私たち自身の「政治と暴力」への意識を改めて問い直す傑作といえると考えます。 ぜひ手に取って、この重厚なルポルタージュを体験してください。
Posted by 
自分が生まれる前、まだ思想の熱量が高かった時代の日本。 彼は、本懐を遂げ満足だったのかもしれない。 けど、正しくはないよなあ。
Posted by 
2025年3月読了。 沢木耕太郎が描く浅沼稲次郎の話だからとうの昔に読んでいておかしくない組み合わせなんだがエアポケットに入ったかのように見過ごしていた。 沢木さんの文春文庫に入っている本はいずれもタイトルを一見しただけでは中身を想像するのが難しいように感じる(一読後にタイトルが...
2025年3月読了。 沢木耕太郎が描く浅沼稲次郎の話だからとうの昔に読んでいておかしくない組み合わせなんだがエアポケットに入ったかのように見過ごしていた。 沢木さんの文春文庫に入っている本はいずれもタイトルを一見しただけでは中身を想像するのが難しいように感じる(一読後にタイトルが腑に落ちるかんじ)。 本書は浅沼稲次郎とその浅沼を屠った山口二矢の両方を描き思想に偏りを見せずに2人の生涯を追うもの。浅沼は刊行物が少なく事件だけがクローズアップされる人物であり、文庫で割と手に入れやすく大変に有り難い一冊だと思う。 (左っぽい人の事績を追うのに手軽に読める新書や文庫が手に入りにくいなあと思うのは、当方の読書傾向が偏っているからかしらん。) 以下備忘。 75ページ 山口二矢は愛国党員だったので愛国党の挿話が結構本書には登場する。このページは愛国党員のよくある1日の紹介をしている。「聖堂」に掲げられた「信条」がなかなか鬼気迫る感じあり。 95ページ 山口二矢が「リヤカーにハーケン・クロイツをなびかせ、荷台には軍服長靴」で疾駆していたところを不審尋問を受けたという話。うーむ、パンクすぎる。 122ページ 浅沼が属していた建設者同盟の共同生活の拠点が池袋にありそこはまさに「無産運動の闘士の梁山泊」なのだが、面白いのは隣家の住人が西条八十で西条家には絶えず美人の訪問があったとのこと。「闘士」たちはその西条家に向かって「放尿」し、「歌を忘れたカナリアは 野球のバットでぶっ◯せ」などと放歌高吟していたとのこと。対比が激しくてゲラゲラ笑った。 157ページ 浅沼と近藤日出造の座談での浅沼の独白。 「…人間としてですね、悩みを持ちつつ生きるということは尊いものだと私は思っています。悩みがない人間というのは、ウソなんじゃないでしょうか。生き方にウソがあるんじゃないでしょうか」 →こういう人間観を持っておきたい。 162ページ 1943年の東京の市制から都制への移行にあたって行われた都議会議員選挙後に行われた都長官主催の祝宴の一幕(浅沼は都議会議員であり都長官は民選ではなく官選)。芸者が呼ばれていることに1人の議員がいきり立ったが「まあまあ」となだめる浅沼。一口に「左翼の闘士」と言っても芸者を許容するような面もあったわけだ。 312ページ 浅沼暗殺後の衆議院本会議における弔辞贈呈、贈呈者は池田勇人(当時自民党総裁で首相)、衆院議長は清瀬一郎(弁護士、東京裁判で東條英機の弁護)というビッグネームが揃って壮観なものがある。
Posted by 
