商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房/早川書房 |
発売年月日 | 2006/11/30 |
JAN | 9784151200397 |
- 書籍
- 文庫
浮世の画家
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浮世の画家
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商品レビュー
3.7
79件のお客様レビュー
年寄りの例に漏れず、最近の出来事は覚えていられないのに昔のことは克明に思いだします。しかし、その記憶は事実なのだろうか、自分の都合に合わせて改竄されていないのだろうか。人の記憶の不確かさに思いを馳せることになるイシグロ再読2冊目でした。
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『日の名残り』と似たテーマ。 戦時下、良かれと思って自分の仕事に邁進し、一定の評価を得たあと、戦後になって、戦争協力者として批判される立場に立つ者が、自責の念と自己弁護の狭間で、超然とした外見のまま苦しむ。 作曲家古関裕而と似た人も出てきて、その人は作中、責任をとって自死する...
『日の名残り』と似たテーマ。 戦時下、良かれと思って自分の仕事に邁進し、一定の評価を得たあと、戦後になって、戦争協力者として批判される立場に立つ者が、自責の念と自己弁護の狭間で、超然とした外見のまま苦しむ。 作曲家古関裕而と似た人も出てきて、その人は作中、責任をとって自死する。 主人公小野を戦後批判する弟子達は、軍人嫌いと同じメンタリティだろうか。苦しい時に権勢のあった人は、体制がひっくり返った時には逆恨みの対象となるが、本当に戦うべき相手はその人ではないだろう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公が本当に権威ある画家(だった)なのか、最後の方でわからなくなってしまった。ある一部の分野ではそうだったのかもしれないが、主人公が自分で思っているほどは世間に名を知られている訳ではなかったのかもしれない。 自分が正しいと信じてきたものが、後に間違った思想だとされたとき、私だったらいったい何をやっていたんだろうかって途方に暮れてしまうと思う。もし自分が戦争中に国民を扇動する側だったら、本に出てきた社長のように罪の意識で自殺していたかもしれない。その点、主人公は自殺せずに自分の過ちを認めて堂々としていてすごいなと思った。少し図々しいのではとすら思ってしまったけど、だからって死ぬべき人間だ!とは考えられないし……と、現代に生きる私ですら思うんだから、当時戦争から帰ってきた若者とかは折り合いをつけるのが難しかっただろうなと思った。 ただ、主人公が思ってるほど、娘たちは主人公が戦争に加担したとは考えていないということが終盤で書かれていて、じゃあ主人公が思っていた権威や功績ってなんだったんだ…とか、2番目の娘が結婚する時に節子が言ってきた気をつけることってなんだったんだとか、その時、要所要所での話の見え方が変わった。かといって、全部主人公の妄想か?と言えば違うし、その自己評価と他者評価のズレの塩梅が絶妙にリアルだった。。面白かった。
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