ライトノベル総合ランキング
アニメ化タイトルを中心に、2017年は堅実なランキングとなりました。劇場版公開の『SAO』『魔法科高校』『ノゲノラ』、テレビアニメ放送『ダンまち』や『キノ』が上位でした。映画で爆発的な人気を得た『君の名は。』のアナザーストーリー小説が4位にランクイン。ノベライズの新たな可能性を示しました。昨年20位だった『イリヤの空、UFOの夏』は14位までランクアップ。青春SFものの傑作として燦然と輝いています。
※2017年1月1日から10月31日までの売上データをもとに作成
女性向けライトノベルランキング
大判サイズ・単行本ライトノベルランキング
ジャンル別BESTランキング2017
「VR」ラノベ
「ギャル」ラノベ
「旅・旅行」ラノベ
「中華風ファンタジー」ラノベ
2017年新作ラノベ
2016年11月以降発売の新作ランキング。最強のお母さんが活躍する『お母さん』が1位。『横浜駅SF』は斬新で狂った世界を描きます。電撃小説大賞『86』のシリアスな物語は読者の心をつかみました。
ラノベ担当ミヤザワの2017年ベスト5
不死身の勇者を撃退せよ!
ストーリー、キャラクターともに2017年一番印象に残ったラノベオブザイヤー(担当者選)がこちら。魔王に異世界へ召喚された真一は、戦いを挑んでくる不死身の勇者をなんとかしてほしいとお願いされる。真一が考えた「勇者を倒すゲスな方法」とは……? 考え抜かれた台詞に胸が熱くなります。
ラノベ絵師のお仕事ラノベ
とにかく登場キャラクターがかわいいので、気軽に読める1冊をお探しのあなたに力の限りおすすめします。ラノベ絵師の年収は? 仕事の受け方とは? ラノベ挿絵イラストレーターの日常をつまびらかに描いた快作。イラストを描いている溝口ケージさんが企画も担当しているのが特徴です。
胸を締め付けられる青春
意外に切なく、リアルな物語があなたの心を掴みます。好きな女の子の家まで勝手についていったり、脳内妄想を繰り広げるごく普通の高校生、高寺一郎は、ある日小学生の女の子、聖を救ったことから、彼女のヒーローごっこに付き合ってあげることに。ヒーローに憧れるあなたにおすすめします。
コメント文化を愛するあなたへ
ゲーム実況を見るすべての人に読んでもらいたい1冊! 大和宗彦は、クラスメイトでギャルの人気ゲーム実況者フローラこと駒形花に、ゲーム実況動画で人気になる方法を教えてもらうことに。さらに次々に美少女実況者があらわれ、宗彦の家でゲームをすることになり……。
前線で戦う少年と、後方で戦う少女
人間として扱われず、「有人」の無人機に乗り込み、戦場で消耗してすり潰され散っていく少年少女。堕落した軍上層部と共和国。終わりのない絶望的な状況で戦いつづける熾烈な戦争を描いた傑作。読み終えたあとに言い知れぬ満足感を味わえます。リアルな戦場を求めるあなたにおすすめします。
ラノベ担当ミヤザワが2017年に読んだラノベからベスト5を選出しました。
ほかにこちらもおすすめです。
趣味に全力を注ぐ熱いラノベ
『キラプリおじさんと幼女先輩』
にやりと笑えてさくさく読める
『大国チートなら異世界征服も楽勝ですよ?』
お母さん無双がたのしめる話題作
『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』
普通じゃない僕たちがどう生きるか
『友達いらない同盟』
大空と青い海。飛行機乗りの物語
『白翼のポラリス』
宇宙を目指す止まらない情熱
『月とライカと吸血姫』
2017年ラノベの10大ニュース
料理・食べものラノベが人気上昇中
食を通じて土地の文化や暮らしを描き出し、人と人との関わりをストーリーに落とし込んでいく小説が人気を集めています。圧倒的なクオリティで料理を描いたアニメ『異世界食堂』はファンの空きっ腹に直撃しました。2018年は宝島社刊『異世界居酒屋「のぶ」』に注目しましょう。
バブみ、お母さん、甘やかし
ラノベに新たなジャンルとして登場したのが「バブみ」と「お母さん」です。『バブみネーター』『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』『年下寮母に甘えていいですよ?』がヒットしました。包容力のあるキャラクターに注目が集まっています。これまでのダダ甘や常デレに加えて、年下ヒロインの登場に、空前の甘やかしブームが訪れようとしています。
新レーベルの隆盛と衰退
ヒーロー文庫の兄弟レーベル「プライムノベルス」、次にくる小説を発掘する「ツギクルブックス」、「ガガガブックス」「Kラノベブックス」など、2017年は大判サイズ・単行本レーベルが創刊しました。一方で「レッドライジングブックス」や「ホワイトブックス」は出版を停止しました。できたレーベルも多いですが、なくなったレーベルも同じくらい多いのが現状です。
ラノベ原作テレビアニメ20タイトル
昨年の18タイトルからやや増えて、2017年は話題性に富んだラノベ原作アニメが放映されました。待望の『このすば2』や『冴えカノ♭』、実写化と並行してアニメ化した『サクラダリセット』、話題になった『エロマンガ先生』『ゲーマーズ!』『異世界はスマートフォンとともに。』などが人気を集めました。『キノの旅』や『無責任ギャラクシー☆タイラー』も往年のファンを楽しませてくれました。
レーベル各社イベントを開催
毎年恒例「MF文庫J 夏の学園祭2017」では、肌色率0%から100%で衣装をわけた展示にファンの目は釘付けに。「電撃文庫 秋の祭典2017」「ファンタジア文庫大感謝祭2017」「ガガガ文庫創刊10周年記念イベント」など、人気声優を呼んだステージイベントを開催しました。
ライトノベル原作の漫画・コミカライズが増加
出版各社が新たなWeb漫画レーベルを立ち上げたり、自社のコミックスレーベルと提携したりして、ライトノベルの漫画化が進みました。アニメ化するなどメディアミックス戦略のひとつとしてだけでなく、小説を読まない層にもファンを増やす手段として、今後もコミカライズの流れは止まらないでしょう。
ドラマCD化の流れも活発
アニメ化前のドラマCD化、またはアニメ化後の特典を含めたドラマCD化は、2017年も顕著におこなわれました。とくにMF文庫JとGA文庫は自社の得意とするCD制作部署と連携して、ドラマCD化・音声化を上手に進めている印象です。ラノベ限定版/特装版のドラマCDは ライトノベル限定版、特装版特集 をご覧ください。
ライトノベルをVRで体験する時代が到来
ゲーム業界や映像業界でも技術革新が進んでいるVR(Virtual Reality:バーチャル・リアリティ)は、ついにライトノベル業界にも進出してきました。仮想空間で体感し没入できるライトノベルは、そのコンセプトを含めて話題になりました。新しい時代はすぐそこまで来ています。
『ゼロの使い魔』最終巻発売
『ゼロの使い魔22 ゼロの神話』にて完結しました。6月には文庫未収録だった短編とヤマグチノボルさんの遺したプロットを収録した『Memorial BOOK』が発売。最終巻を執筆した志瑞祐さんの思いもつづられています。第1巻刊行から13年を経て『ゼロの使い魔』は完結しました。
「俺嫁あやせAI」プロジェクト始動
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の天使こと新垣あやせのAI(人工知能)キャラ育成プロジェクトが始動しました。あやせに質問をしたり、その質問にあやせになりきったユーザーが答えたりして、あやせAIを育てていくプロジェクトです。「通報しますよ」の汎用性の高さに、にやにやが止まりません。
2018年はこれがくる?
熱く手に汗握るライトノベル
『86―エイティシックス―』の命をかけた戦い、『りゅうおうのおしごと!』の1つの勝負にかける思い、『ぼくたちのリメイク』の創作活動に注ぐ熱量、『本好きの下剋上』の本に対する情熱。熱い思いを胸に闘う登場人物たちにいつも心を動かされてきました。
そんな手に汗握る小説が2018年のキーワードになりそうです。
2018年以降にアニメ化するのは?
ライトノベル原作のアニメは、その本の第1巻が刊行されてから平均2年半から3年でアニメになることが多いです。『ありふれた職業で世界最強』(2015年6月刊行)、『賢者の孫』(2015年7月刊行)、『七星のスバル』(2015年8月刊行)、『りゅうおうのおしごと!』(2015年9月刊行)、などなど。
これをふまえると、次にアニメ化が発表されるのはあのライトノベルかも……?
ライト文芸・キャラ文芸の拡大
これまで小説を読んでこなかったユーザー層もターゲットにして発展をつづけてきたライト文芸・キャラ文芸は、2010年あたりから模索をつづけてきた結果、ジャンルとしての枠組みが固まりつつあります。弊社ブックオフオンラインでも2017年に「ライト文芸」をジャンル区分として新設しました。ライト文芸は一般文芸を読まない小説ファンをうまく取り込んで成長しています。
今後もライト文芸・キャラ文芸の市場は大きく拡大すると予想しています。
ラノベ担当:ミヤザワ
2017年のライトノベルを売上ランキングと10大ニュースで振り返りました。なにも考えずにさくっと読めるライトノベルも、重すぎてページをめくるのがつらいライトノベルも、どちらも好きです。分類が難しいほど多種多様なジャンルを内包しているライトノベルは、だからこそさまざまな感性を持っていて、ファンをたのしませてくれるのかもしれません。