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地図と拳(上) 集英社文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 集英社 |
| 発売年月日 | 2025/06/20 |
| JAN | 9784087447774 |

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商品レビュー
3.7
56件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
上下まとめて。 本当に小川哲氏は小説家として懐が深い、守備範囲が広い。 次々と繰り出される引き出しからはいつも違うものが飛び出してくる。 本書では、旧満州を舞台に太平洋戦争をまたぐ半世紀を等身大の視座で描ききり、いわば直球の真っ向勝負。 物語の骨格を形成するような基準や軸がいくつか現れるが、いずれも本筋を貫く大黒柱というものではなく、あるいは散漫であるという印象を受けながらも、容貌をゆるりと変えながら連綿と続く、ある意味でクロニクルらしいトーンに仕上がっているという見方もできる。 それらの中でも、"予測"が、最も強く印象に残るキーワードか。 戦時下という、剥き出しのアイデンティティが曝露される状況で示される各キャラクターの生き様に、否応なしにすべての読者は沈思し黙考を強いられることだろう。 「はたしてそれは勇敢ゆえの行動だろうか。それとも臆病さのせいだろうか。」 「都市という衣を引き剥がした、仙桃城の本当の姿が写しだされているように感じたからである。」 「『アカシアだけではない。この世界の「自然」は本当に素晴らしい建築だ』」 「人体の設計者が神であるというならば、神が大学で建築学を履修していないことは確実である。」 「『国家も建築だ。ゆえに、国家の図面を引くのも建築家の仕事なんだ』」
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満州にある「燃えない土」と「燃える土」が全ての始まりであった。資源に乏しい国家が、衰弱した他国の資源に活路を求めていくという行為は昔も今も変わらない。 日露戦争前夜から満州国の樹立までを描くこの巻では、「燃えない土」と称された男と彼が帯同する陸軍の軍人、満州の測量を行うロシア人宣...
満州にある「燃えない土」と「燃える土」が全ての始まりであった。資源に乏しい国家が、衰弱した他国の資源に活路を求めていくという行為は昔も今も変わらない。 日露戦争前夜から満州国の樹立までを描くこの巻では、「燃えない土」と称された男と彼が帯同する陸軍の軍人、満州の測量を行うロシア人宣教師、山東省から満州に移住し、秘密結社で鍛錬の上強大な力を持つ男など複数の視点から、不毛の土地であった李家鎮が満州国の要衝と大きく変化していく様を描くが、日本人も満州人もフラットな視点で描かれており、抗日ゲリラの炭鉱襲撃が招く悲劇の連鎖がやがて戦争へと向かう様に戦慄した。純粋に満州の未来を願い、希望を抱いてやってきた者の心も打ち砕く。下巻では熾烈な展開になるのはもうわかっている。でも読む手は止められない。
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最初は独特な世界観や登場人物の多さに戸惑い、難しい作品だと感じた。しかし、100ページを超えたあたりから徐々に世界観に慣れていき、気づけば物語に飲み込まれてページをめくる手が止まらなくなった。 名もない人間たちが生き、そして死んでいく。その一人ひとりの人生が積み重なり、一つの国...
最初は独特な世界観や登場人物の多さに戸惑い、難しい作品だと感じた。しかし、100ページを超えたあたりから徐々に世界観に慣れていき、気づけば物語に飲み込まれてページをめくる手が止まらなくなった。 名もない人間たちが生き、そして死んでいく。その一人ひとりの人生が積み重なり、一つの国家が形作られていく。その中には、それぞれの思惑や思想、理想や欲望が複雑に絡み合っている。 特に、大義を成すためには犠牲が必要なのかということを強く考えさせられた。大きな理想や国家のために犠牲になるのは、決して「ただの一人」ではなく、その人自身の人生なのだと思う。 上巻を読み終えて、これまで積み重ねられてきたものが、この先の満州でどうなっていくのかが非常に気になる。最初の難しさを乗り越えてからは、一気に引き込まれた作品だった。
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