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熊はどこにいるの
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熊はどこにいるの

木村紅美(著者)

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熊はどこにいるの

定価 ¥1,980

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2025/02/06
JAN 9784309039466

熊はどこにいるの

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商品レビュー

3.4

17件のお客様レビュー

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2025/11/27

色んな女という者がいるんだなぁ。やるせない展開が続く。絶対これだけだと言い切れる原因がある訳ではなく感じるけど、なんかうまくいかないなぁ、少し掛け違えるだけで、別の良い方向に流れていきそうな気もするのに。もう少し、みんな、内面をさらけ出したら良いのにと思ってしまう。世の中こんなに...

色んな女という者がいるんだなぁ。やるせない展開が続く。絶対これだけだと言い切れる原因がある訳ではなく感じるけど、なんかうまくいかないなぁ、少し掛け違えるだけで、別の良い方向に流れていきそうな気もするのに。もう少し、みんな、内面をさらけ出したら良いのにと思ってしまう。世の中こんなに隠し事だらけなのか?

Posted by ブクログ

2025/11/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

過去に性被害にあったリツ、リツと暮らすアイ、アイが拾ってきたユキがメインで描かれている。 男性嫌いのリツに気を使いながらも、たまたま一晩泊めた男性に対し「男女」を意識するアイ。 過去の経験から潔癖なまでに男を嫌いながらも、幼いユキを「男」として意識し、その身体的接触の中で自分にも女性としての本能を感じてしまったリツ。 アイにもリツにも官能的な描写があるが、それぞれ何かに後ろめたさを感じているようで、なんだか歪んでいる感じがした。 特にリツは、自分が過去に受けた性被害を、今度は自分が加害者としてユキにやってしまっているという側面もあるからなぁ。 山での暮らしが慎ましやかでありながら豊かで、一方それと対比してアイやリツの「性」への渇望やユキへの歪んだ愛情が生々しく感じられ、すごく重いパンチを一撃くらわされるような小説だった。

Posted by ブクログ

2025/11/10

第61回谷崎潤一郎賞受賞作。 クマの出没が世間を騒がせている今日この頃。 本書では実際の生物学的な「熊」が現れるわけではない。が、心にざわめきを残す小説である。 アイ、リツ、ヒロ、サキ。4人の女たちと「ユキ」と名付けられた1人の子供を巡る物語。 大震災後七年を経た東北の「M市...

第61回谷崎潤一郎賞受賞作。 クマの出没が世間を騒がせている今日この頃。 本書では実際の生物学的な「熊」が現れるわけではない。が、心にざわめきを残す小説である。 アイ、リツ、ヒロ、サキ。4人の女たちと「ユキ」と名付けられた1人の子供を巡る物語。 大震災後七年を経た東北の「M市」。丘の上には、暴力から逃れてきた女たちを匿う家がある。丘の家は「先生」と呼ばれる老女が切り盛りする。 アイとリツは丘の隠れ家に住む。アイは非正規雇用に疲れ果て転がり込んだ。リツは幼少時に性加害を受け、男性が苦手である。ヒロは震災の後、M市に移り住んできた。サキは震災をきっかけに体を売る仕事を経験し、その後、故郷を離れている。 アイはあるとき、道の駅のトイレで赤ん坊を見つける。男の子。彼女はその子を拾ってしまう。しかし、同居するリツは大の男嫌いで、アイと「先生」は女の子と偽って丘の家でしばらく育てることにする。「ユキ」と名付けられた子は、女の子っぽい服を着せられ、3人の女たちに世話されて育っていく。丘の家を出てはいけない。外には熊がいる、と言い聞かされて。 ヒロとサキはカフェで知り合い、おしゃべりする間柄だった。あるとき、サキは夜中に電話をしてきて、詳しい事情も告げず、ある場所に送ってほしいという。何やらバスタオルにくるんだものを抱えて車に乗り込み、戻ってきたときは手ぶらだった。それきり、サキとの連絡はつかなくなった。 何年か後。「先生」はすでに亡くなっている。 ふもとの町で、男の子が1人保護される。身元は分からず、名前も不明。終日後、名前を聞かれて「クマ」と名乗った子は「クマオ」と呼ばれるようになる。 果たして、この子は誰なのか。 物語は4人の女、それぞれの視点から語られる短い断章がつなぎ合わされ、過去と現在とを行き来する。4人の女の軌跡が時に交わる。 女たちはそれぞれ、過去を抱え、傷を内包している。それぞれにそれぞれの「生きにくさ」がある。しかしだからといって、100%被害者で100%同情に値するわけではない。弱いものに対して、歯を剥き、爪で切り裂くこともできるのだ。 熊は外の怖い世界にいるのか。丘の上、家の中なら安全なのか。 本当のところ、「熊はどこにいるの」だろう。 物語は明快な白黒をつけない。もやもやざらざらを引きずらせることが、むしろ主眼なのか。 個人的には小児性愛的な描写には若干辟易するし、登場人物の誰にも共感も持てないのだが。ざわりとした質感はなかなか得難いものかもしれない。

Posted by ブクログ