ほんのささやかなこと
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ほんのささやかなこと

クレア・キーガン(著者), 鴻巣友季子(訳者)

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ほんのささやかなこと

定価 ¥2,420

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2024/10/23
JAN 9784152103666

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商品レビュー

4.2

55件のお客様レビュー

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2026/06/16

久々に、翻訳文学試食会のスイッチをオフにして、まずは読んでみた一冊。 アイルランドの田舎町の、クリスマス前の出来事を巡る物語。自分の人生を下敷きにした、主人公の反応も、自分の子供の幸せを前提に置いた主人公の妻の行動も、どちらがどちらという訳ではなく、それぞれに正義があり、そのそ...

久々に、翻訳文学試食会のスイッチをオフにして、まずは読んでみた一冊。 アイルランドの田舎町の、クリスマス前の出来事を巡る物語。自分の人生を下敷きにした、主人公の反応も、自分の子供の幸せを前提に置いた主人公の妻の行動も、どちらがどちらという訳ではなく、それぞれに正義があり、そのそれぞれの正義が、ささやかにすれ違う。 目が覚めたらアイルランドの田舎町が目前に広がるような、クレアキーガンの冴えわたる描写と、それを包み込むように訳出する鴻巣由季子氏の日本語とが相俟って、時に主人公に、時にその妻に、そして時にバーの店主になって、駆け抜けるように読み終わってしまった。

Posted by ブクログ

2026/06/04

この物語は、アイルランドの恥部ともいえる歴史を下地にして綴られている。 舞台の地は、アイルランドの西南に位置する小さな町ニューロス。 主人公のビル・ファーロングの母は、資産家の未亡人ウィルソン婦人の屋敷で女中として働いていた。 その母親は16歳の時に、父親不明でファーロングを身ご...

この物語は、アイルランドの恥部ともいえる歴史を下地にして綴られている。 舞台の地は、アイルランドの西南に位置する小さな町ニューロス。 主人公のビル・ファーロングの母は、資産家の未亡人ウィルソン婦人の屋敷で女中として働いていた。 その母親は16歳の時に、父親不明でファーロングを身ごもった。 子がなかったウィルソン婦人は産後も引き続き母親を雇い続け、赤子のファーロングを可愛がった。 そんなある日、母親が事故で亡くなるのだが、ウィルソン婦人は12歳に成長していたファーロングに教育を与え、結婚する時にはそこそこの大金を祝い金として渡してくれた。 ファーロングは石炭や薪を商う燃料屋を起業し、アイリーンと結婚することになる。 その後に5人の娘にも恵まれて、幸せな家庭を築いていた。 ある日、ファーロングは修道女会に注文の石炭を運びに訪れる。 石炭を収納小屋に納めようと扉を開けると、そこにセァラという名の少女を発見する。 セァラは全身が真っ黒に汚れ、一晩小屋に閉じ込められていたと訴える。 しかも彼女は女の子を産んだのだが、修道女達に取り上げられ会うことも叶えられないという。 セァラを不憫に思いながらもファーロングは修道女会に彼女を引き渡すのだが、その時の修道院長の言葉と態度が冷徹で威圧的に感じた。 その日の夜、セァラと出会った一部始終を妻のアイリーンに話し、何か自分にできることがあるのではと考えていると伝える。 するとアイリーンは、「うまくやっていきたいなら、目をつむるべきこともあるはずよ」と世の正論を述べた。 しかしファーロングは、セァラの現状に向き合わなかったことを後悔し、一人の人間として「ささやかなこと」であっても行動しようと決意する物語だ。

Posted by ブクログ

2026/05/02

アイルランドの昔の話だろうと読み始めたら、舞台は1985年代でわずかまだ41年前の事だった。読後、本書では”グッド・シェパード教会”となっている"マグダレン洗濯場”を調べてみた。”マグダレン洗濯場”とはどこかで見聞きした記憶がある。映画だっただろうか?  "マ...

アイルランドの昔の話だろうと読み始めたら、舞台は1985年代でわずかまだ41年前の事だった。読後、本書では”グッド・シェパード教会”となっている"マグダレン洗濯場”を調べてみた。”マグダレン洗濯場”とはどこかで見聞きした記憶がある。映画だっただろうか?  "マグダレン洗濯場”は政府とカトリック教会が後援していて、恵まれない少女や女性が事実上監禁され、働かされ、虐待を受けた施設だったとある。200年以上も存在し、閉鎖されたのは1996年!アイルランドの闇を思わずにいられなかった。 ここまで書いたレビューを止めて、もう一度本作を最初から読みなおした。訳が堅く感じられて(久々の外国物だったからかもしれない)何ヶ所かで引っ掛かり躓き、最後まで引きずってしまい確実に理解できていないと考えたから。 やはり再読して正解だった! 今では素晴らしい作品に出会えたと心から思える。原題は『Small Things Like These』で邦題は「ほんのささやかなこと」。タイトルのほんのささやかなこととは正反対の意味合いがあるのではないかと推測する。主人公のファーロングは「非嫡出子」だったが、母親が働いていたウィルソン夫人の元で母親と共に育った。ファーロングが最後に選択し取った行動は自分の信条と良心に従ったまでと云うものの、ささやかどころじゃない。街を牛耳っている大きな権力に背を向けたのだから。彼がセァラを連れて我が家のドアを開けた途端に嵐が吹き荒れるだろう。でも、ファーロングが必ずやり遂げるのは確かなこと。 ファ-ロングの心境が語られている部分を抜粋した。 『互いに助け合わずに生きてどうする? そこにある現実に勇気を奮って立ち向かうことをせずに長いこと、何十年も、下手したら一生過ごしたうえで鏡の中の自分と向き合う事なんておれにできるのか?』 『最悪のことが起きるのはこれからだ、わかってる。すぐ隣で待ち受けている厄介な世界の気配をすでに感じるが、最悪の未来はもう後ろに置いてきた。起きかねなかったが、起きずに済んだことーもしそれを見過ごしていたら、死ぬまで悔いを抱えて生きることになったはずだ。これから出会う苦しみがなんであれ、それはいま横を歩いているこの娘がすでに味わってきた苦しみ、これから乗り越えるだろう苦しみからは、おそらくほど遠い・・・・』 一方、周囲の市井の人々が彼に耳打ちする言葉を足蹴にはできない。敵は近くに置け、悪い犬と共にあれ、良い犬は噛まない(味方より敵を近くに置いて見張る)。うまくやっていきたいなら、目をつむるべきこともあるはずよ。見過ぎ世過ぎ・・・など。 大方の人々はこのように従いつつがない暮らしを手に入れている。出自が重なるファーロングは見過ごせなかったのだろうが・・・。 ♪~♪~♪~♪~ アイルランドの小さな町。主人公のファーロングは妻のアイリーンと結婚し石炭の販売業を営んだ娘5人を育てていた。クリスマスが迫り、寒さが厳しくなるなか、石炭と木材の商人であるビル・ファーロングは最も忙しい時期を迎えていた。ある日、石炭の配達のために女子修道院を訪れたファーロングは、「ここから出してほしい」と願う娘たちに出くわす。修道院には、未婚で妊娠した娘たちが送り込まれているという噂が立っていたが―隠された町の秘密に触れ、決断を迫られたファーロングは、己の過去と向き合い始める。

Posted by ブクログ

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