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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 集英社 |
| 発売年月日 | 2023/12/05 |
| JAN | 9784087718560 |

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商品レビュー
3.6
51件のお客様レビュー
柴崎さんらしい、カメラで撮影するような視線で阪神淡路大震災、東日本大震災、コロナ禍という3つの出来事を経験してきた3人の人生を描く小説。性別も仕事も出身地も異なる3人だし、自分の家庭や子どもを持つくらいの年齢なっている(実際に持っているからどうかはさておき)ので、描かれているそれ...
柴崎さんらしい、カメラで撮影するような視線で阪神淡路大震災、東日本大震災、コロナ禍という3つの出来事を経験してきた3人の人生を描く小説。性別も仕事も出身地も異なる3人だし、自分の家庭や子どもを持つくらいの年齢なっている(実際に持っているからどうかはさておき)ので、描かれているそれぞれが抱える思いや悩み苦しみも多様。その分、今の日本社会を切り取る精緻な俯瞰図になっている。 この手法は柴崎さんに合っているし、自分としては気に入っている。でも、この系統の小説は、対象が若い人たちだった初期の頃は正直あまりしっくりこなかった。柴崎さん自身もその当時の作品とその受け取られ方について、考えることを持っていらっしゃるように私には感じられた一節があったので、メモしておきます。 p252 わたしはあのときなにもわかっていなかった、と今は思う。撮りたいと思ったなにかは自分の中には明確にあって、それはそのときの世の中でよいとされていたものや価値があるとされていたものに対する疑義や抗議の表明も含んでいたのだが、「女の子たちの日常」「今を幸福に生きる若者たち」として都合よく枠にはめられてしまった、と気づいたのはそのあと何年か経ってからだった。 今なら、もっと別の提示の仕方ができるに違いない。あのときもっと自分が理解していれば、自分が表現したいものについて語る方法を知っていれば、「お金がなくても楽しんでいる若者」みたいに都合よく解釈されたり、もしくは「なにげない日常こそがかけがえのないもの」と判で押したように紹介されたりすることに、抗うことができたかもしれない。
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「続きと始まり」(柴崎友香)を読んだ。 やっ!柴崎友香、ただ者ではないな。 『帰れない探偵』を読んだ時の衝撃が忘れられずに他の作品も読みたくなったのだが、これはまた素晴らしい。 しみじみと読んでしまう。 西と東の大震災の、新型ウィルスの、ゲリラ豪雨の、過ぎ去った後であったり、...
「続きと始まり」(柴崎友香)を読んだ。 やっ!柴崎友香、ただ者ではないな。 『帰れない探偵』を読んだ時の衝撃が忘れられずに他の作品も読みたくなったのだが、これはまた素晴らしい。 しみじみと読んでしまう。 西と東の大震災の、新型ウィルスの、ゲリラ豪雨の、過ぎ去った後であったり、最中であったり、その時その時の普通のひとたちの普通の生活を大仰にではなくさらりと描く。だけどその視線は細やかで核心を射抜く。 ああ、確かに、《の前の続き》は始まっているんだよな。何かが少し(でも確実に)違っているんだけれどさ。 以下、引用する。 「どうすればよかったのかわかるのは、いつもそれが過ぎたあとだよね」(本文より) 「なんもなかったみたいに、なんも変わってないみたいに見えた」(本文より) 何というわけではないのに沁み込んでくるのが柴崎友香さんの持つ文章力なんだな。
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2020年3月の石原優子から始まり、5月小坂圭太郎、7月柳本れい、そして3人のその後の生活の起伏が淡々と続き、2022年2月に3人が初めて会う、コロナ下の日常が描かれている。コロナの時期の自分自身がどんな過ごし方をし、何を感じたのか、世の中で何が起こっていたのかを懐かしく思い出す...
2020年3月の石原優子から始まり、5月小坂圭太郎、7月柳本れい、そして3人のその後の生活の起伏が淡々と続き、2022年2月に3人が初めて会う、コロナ下の日常が描かれている。コロナの時期の自分自身がどんな過ごし方をし、何を感じたのか、世の中で何が起こっていたのかを懐かしく思い出すことになった。夫々デザイナー、料理家、写真家を名乗る3人はそれぞれ、1995年の阪神大震災、2011年の東日本大震災などを経験し、複雑な家庭事情、過去の傷もあり全く幸せとは言いづらいような雰囲気を感じる。私には圭太郎の中学時代の一言が同級生の女生徒を傷つけていたという気づき、その妻の貴美子もまた同級生を傷つけていたことを告白する場面が最も印象に残った。きっとこのような過去はいろんな人が持っているように思う。 2022年2月に3人が会い、ウクライナ戦争が始まったことが書かれ、1年後の2月に戦争が続いていると記されている。これから始まる3人の人生と世界はどのようなものなのだろう。
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