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続きと始まり の商品レビュー

3.3

23件のお客様レビュー

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2024/06/12

「老化っていうのは体が衰えることでもシワが増えることでもない、チャレンジ精神がなくなること」とあり、そうかもと思う。何事もやってみないとね。

Posted byブクログ

2024/06/12

 男女三人の登場人物が、2020年3月からの2年間、要はコロナ禍の間、それぞれの場所で、それぞれの暮らし、人生を、いかに送ったかが、微細ながら、淡々と紡がれる。  未曽有の国家的危機の最中、その9年まえの2011年の東日本での大震災や、さらにその前の阪神淡路の震災にも思いを馳せつ...

 男女三人の登場人物が、2020年3月からの2年間、要はコロナ禍の間、それぞれの場所で、それぞれの暮らし、人生を、いかに送ったかが、微細ながら、淡々と紡がれる。  未曽有の国家的危機の最中、その9年まえの2011年の東日本での大震災や、さらにその前の阪神淡路の震災にも思いを馳せつつ、今を生きる姿勢の人びとの暮らしが、そこにある。  つまり、いろんな出来事があった「続き」の今であり、そんな中で、新たな暮らしぶりの「始まり」を描く物語。  ただ、いつまでたっても、その三人が絡んでこない。年代も、職種も、生活環境も、住む場所も異なる三人ゆえに、一向に人生が交差していかない。同じコロナ禍を過ごすことが、唯一の共通点で、なんとももどかしい。  が、終盤、やっと、一つの書物を通じて結びつく。あぁ、そういうことかと、やっと得心。  その本は、ポーランドの詩人、ノーベル文学賞受賞者である、ヴィスワヴァ・シンボルスカヤの『終わりと始まり』だ。  私自身も、この詩集をコロナ禍中(2022年10月)に書店で見つけ読んでみて、いたく心を打たれたもの。その時はもう、ウクライナ戦争も始まっていたので、これまでの何かが「終わり」、新たな何かの「始まり」を予感させるようなタイトルにドキっとしたもの。  本書の中の三者は、それ(ウクライナ戦争勃発)前に本書に触れていたという設定ではるが、著者は、もしかしたら、私と同じころに本書に出会い、この物語を紡いだのかしれない。物語は、2022年2月まで綴られることから、そこはかとなく予想されるのだが、どうだろうか。  ただ、本書のタイトルを「続きと始まり」と、シンボルスカヤの詩集と少しニュアンスを変えている点が、お見事だと思った。   未曽有のパンデミックや、世界を巻き込むかのような、遠く忘れされそうになっていた戦争が起こる、今の世相を、これまでの時代の地続きと表現したのだろう。これまでの様々な要因の不用意な積み重ね、看過してきたことや、軽視してきた所業の続きとして、これからの未来が始まるとした。  今は、過去の子であり、未来は今の子。登場人物のなにげない日常も、連綿と未来へとつながっていくのだ。そう、我々の暮らしも、人生も、なにもかもが。

Posted byブクログ

2024/05/21

読書備忘録828号。 ★。 「革命の話をしよう。」 という大満足の読書から一転・・・。 全く面白くなかった(#^^#)。 覚えていないくらい久しぶりに読了がしんどかった(#^^#) この作者と作品を否定する訳ではありません。全く。 個人的に合わなかった、というだけです。 ウ...

読書備忘録828号。 ★。 「革命の話をしよう。」 という大満足の読書から一転・・・。 全く面白くなかった(#^^#)。 覚えていないくらい久しぶりに読了がしんどかった(#^^#) この作者と作品を否定する訳ではありません。全く。 個人的に合わなかった、というだけです。 ウニいくら丼はめっちゃ美味いですが、中には苦手な人もいるでしょう。そういうことです。食の好みは違っても友達です! そして個人のレビューですからね。忖度して当たり障りのない感想を書いてもしゃあないですもんね。 この作者のファンの皆様!サ~セン! 物語の時間軸はコロナ禍の2020年3月から2023年2月。 主人公は3人。 石原優子。滋賀?でなんか企業に勤めている。男性社員が嫌な野郎ばかりの設定。 小坂圭太郎。東京近郊?で妻と娘と暮らしている。飲食店勤務。妻は不動産関係? 柳本れい。東京近郊?でフリー?のカメラマン。友人の写真館も手伝っている。 コロナ禍で激変した職場、生活、社会。 更に遡って10年前に起きた東日本大震災。さらにその前の阪神淡路大震災。 直近ではロシアによるウクライナ侵攻。 これら社会環境の変化に対し、主人公3人の日常を描いた日記・・・だな、これ。という物語。 ストーリー性は感じられませんでした。私の感性が鈍いんでしょう。作者がなにかメッセージを伝えようとしているのか? 過去にあった出来事。その続きとして今があり、始まりがあるということを3人それぞれのケースで永遠に書き続けているという印象でした。 あと主人公達が、文句ばっかり言っているのがどうしても受け入れられない。読んでてイライラして堪らない!もっと前向きに発想の転換をしろよ!と逆に文句言いたくなる。笑 ああっ! やっぱり読書は、ファンタジーで「革命の話をしよう。」とか、遥か宇宙空間に思いを馳せたり、熱烈な恋愛を疑似体験して胸がキュンキュンしたりしたい! さあ!次の口直し作品を読もうぞ!

Posted byブクログ

2024/05/21

石原優子、小坂圭太郎、柳本れい。 この3人の2020年から2022年までの日々や思いがそれぞれ記された小説。1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東北大震災、そして2020年からのコロナ禍。生活も考え方も変わらざるをえない出来事のなかで、どう生活をしなにを考えてきたのか。三人...

石原優子、小坂圭太郎、柳本れい。 この3人の2020年から2022年までの日々や思いがそれぞれ記された小説。1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東北大震災、そして2020年からのコロナ禍。生活も考え方も変わらざるをえない出来事のなかで、どう生活をしなにを考えてきたのか。三人三様なのだけれど、細かく表現されていて、読みごたえがあった。共感することも多かった。「じわじわと。自分が削り取られていく感じ」とか。深く考えてしまうと、人と話すのは本当に難しく思えた。「わたしは、なにを言って、なにをしてきたか。わかっているのだろうか。」ということも、自分に当てはめて考えた。捉え方は人それぞれだから、普通に話すことは難しいと改めて思った。 「始まりはすべて 続きにすぎない そして出来事の書はいつも 途中のページが開けられている」 このシンボルスカの詩の一部分が、表現していることが今日も続いているんだな、と思った。柴崎友香さんの他作品も、これから読んでいきたい。

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2024/05/15

ちょうど真ん中くらいで、タイトルにもなってるフレーズが出て来たのが印象的でした。 もはや、コロナ禍、と言うジャンルが出てもよいくらい、この時期に執筆された本を色々読みました。 まだ収束してないフェーズで読んだのと、今読んだのでは全然印象が違います。もっともっと時が経ったら、これも...

ちょうど真ん中くらいで、タイトルにもなってるフレーズが出て来たのが印象的でした。 もはや、コロナ禍、と言うジャンルが出てもよいくらい、この時期に執筆された本を色々読みました。 まだ収束してないフェーズで読んだのと、今読んだのでは全然印象が違います。もっともっと時が経ったら、これも昔の事になってしまうのかな。

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2024/04/29

なにが自分の生き方を決めるのだろう。 どんな出来事が自分を形作ってきたのだろう。 この数十年の間に私たちは、コロナウイルスや大きな震災を経験し、遠い国のテロや戦争をニュースで見た。 あるいはごく個人的な、育った家庭環境があり、今も記憶に残る子どもの頃の出来事がある。 他者と...

なにが自分の生き方を決めるのだろう。 どんな出来事が自分を形作ってきたのだろう。 この数十年の間に私たちは、コロナウイルスや大きな震災を経験し、遠い国のテロや戦争をニュースで見た。 あるいはごく個人的な、育った家庭環境があり、今も記憶に残る子どもの頃の出来事がある。 他者とのかかわりの中で、「じわじわと。自分が削り取られていく感じ。」p71 誰かと比べて、自分は「恵まれてる」p18 のだからと、飲みこむ小さなモヤモヤ。 書評家の藤田香織さんの、「自分に刺さっているトゲ」(朝日新聞)という言葉に、この物語全体に漂う、どこか漠然としてすっきりしないものの正体を知る。 私たちは、心に刺さったままのトゲを抱えて大人になり、この先も生きていく。 「前。前って?なんの前だろう」p65 「あれからって、いつから? どのできごとから?」p85 私たちが今生きている時間は、いつもなにかの、どこかの続きだ。 そして繰り返しなにかが、どこかで始まる世界だ。 この瞬間と次の瞬間では、なにも変わっていないように見えるし、まるで違っているようにも見える。

Posted byブクログ

2024/04/23

はじめて読んだ作家さん。 コロナ禍での人々の生活。 大きな出来事はないけれど淡々と話は進む。 そんなに共感できる登場人物はいなかったけど、 色々な制限の中で暮らした緊急事態宣言のときを思い出した。

Posted byブクログ

2024/03/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分が決して共感しないだろう人の心情を疑似的に追体験するのが小説の機能の一つ。そういう意味でとてもよかった。依然としてわかりはしないけれど。

Posted byブクログ

2024/03/18

なんかわかるな。 なんかそれぞれの感じ方に、共感できる部分が多数あって、なんか透明な感じにすーっと物語が続いてる感じがとても良かった。

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2024/03/07

何か特筆するような出来事が起こるわけではない。2020年3月から2022年2月にかけての期間、コロナ禍で全ての人の生活が影響と制約を受けていた期間における、ごくありふれた一般市民である男女3人の身の回りで起きたことを、それぞれが主人公となる章を交互に重ねることで描いていく。 確か...

何か特筆するような出来事が起こるわけではない。2020年3月から2022年2月にかけての期間、コロナ禍で全ての人の生活が影響と制約を受けていた期間における、ごくありふれた一般市民である男女3人の身の回りで起きたことを、それぞれが主人公となる章を交互に重ねることで描いていく。 確かに、コロナ禍の生活ってこんな感じだったよなあと、ほんのちょっと前のことなのに、時を隔てた異世界のように感じられるのが不思議だ。 あの時期の暮らしや感覚を、後に記録として残す意味でも貴重な価値を持つ小説と言えるかもしれない。 登場人物たちに、ふとしたきっかけで蘇る過去の記憶、それがこの小説のテーマである。阪神大震災や東日本大震災など多くの人が共通に体験した記憶と、両親や同級生、別れたパートナーとの間で交わした会話の断片などのプライベートな記憶。 ありふれた一般市民といっても、人に歴史ありというか、記憶を紐解くことで立ち現れる、それぞれの人生の複雑性や個別性、それを丁寧に紡いでいく筆致の確かさはさすがで、読み応えがある。

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