商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2023/12/05 |
JAN | 9784087718560 |
- 書籍
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続きと始まり
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続きと始まり
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商品レビュー
3.6
32件のお客様レビュー
確かに、ここには私がいる。 しかしそれは、共感という名の、自己愛に満ちた思いの表明ではない。 自画像を突きつけられたときの少しばかりの居心地悪さに近いだろうか。 深煎りのコーヒーを口に運び、苦味と共に微かにざらつきが舌に残る。 声高な社会への違和感と、それに目を伏せるだけの日々...
確かに、ここには私がいる。 しかしそれは、共感という名の、自己愛に満ちた思いの表明ではない。 自画像を突きつけられたときの少しばかりの居心地悪さに近いだろうか。 深煎りのコーヒーを口に運び、苦味と共に微かにざらつきが舌に残る。 声高な社会への違和感と、それに目を伏せるだけの日々。 空き地を見ても何が建っていたかすら思い出せない不安。 まだ恵まれている方だよなと、いう思いが浮かんでしまう自己嫌悪。 真っ当に生きていると思う一方で、社会の“普通”の枠から疎外され、帰属感を持てないこと。 誰かを傷つけた罪悪感を、誰かに癒して欲しいこと。 「終わり」も「始まり」も掴めないまま、続きを生きることしかできない僕は、何かを始めていけるのだろうか。 ベルリンの壁が打ち壊される映像に釘付けだった中学生のときのようには、僕もまた、世の中がいつか素晴らしくなるだろうとは、もう思えなくなってしまったけれども。 作中では二つの震災後が回想として描写される。 津波に押し流された石巻を訪れたとき。 “ダウンジャケットを着込み、ニット帽を目深に被ったその人は、どんな人か遠目からはわからなかった。どんどん歩いて行く犬に引っ張られて、だんだんと夕闇が迫るその場所を、まっすぐに歩いていた。 どこを通ることもできそうだと、ここに何があったのかを知りもしない自分には見える場所で、車も、人も、道を通っていた。 犬は、どんどん道を歩いていった。 静かだった。 何もかもが変わってしまったその場所で、犬は変わる前と同じ道を散歩していた。たぶん、毎日。 悲しいと感じたのか怖いと感じたのか、もっと別の感情だったのか、いまだにわからない。” 神戸の街を六甲山から眺めたとき。 “「わたしがここ初めて来たんやったとしたら、この景色はどんなふうに見えるんやろうなぁ、 って。 穏やかな海が見える、きれいな街やなあ、ただそういうふうに見えるやろか。 それか、あれからもずっと働いてたり、住んでたりしてたら、毎日見続けてたら自分が生活してる、暮らしてる街として馴染んでいって、そういう風景に見えてたかもしれへん。 二十年以上経ったなんて、信じられへんけど、その間にあったたできごとは全部確かにあったことで、上の子は二十歳になるし、母は死んだし、私は四十四歳で、どの人にもどの場所にも、同じだけ時間が過ぎて、それは消えない” 始まりはすべて 続きにすぎない そして出来事の書はいつも 途中のページが開けられている 失なっても、残るものがある。 目に見えなくても、消えないものがある。 忘れてしまっても、色褪せてしまっても、僕を作ってきたものは確かに存在する。 引用された詩にあるように、続きの日々を新しく生きていくこと。 決して派手でも、目新しいわけでもないが、虚しく希望のない時代の中でも、日々を歩むことは、何かを作り出すことだと信じて。 終わらせてはいけないものに耳を澄ませて。 まだ始まらないものの胎動に目を凝らしながら。 今への違和感に向き合って、こだわりながら。
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あの日のことをコロナ禍に思う。 淡々と日々を過ごす中、過去を振り返り、今を思う。幸せとはなんだろうか。被災地や戦場の人々のことを想うことはあれど、何か具体的に行動を起こすわけではない。いる場所によっても距離感は違うのか。 ほんの数年前のことだけど、忘れていることだらけだなぁと感じ...
あの日のことをコロナ禍に思う。 淡々と日々を過ごす中、過去を振り返り、今を思う。幸せとはなんだろうか。被災地や戦場の人々のことを想うことはあれど、何か具体的に行動を起こすわけではない。いる場所によっても距離感は違うのか。 ほんの数年前のことだけど、忘れていることだらけだなぁと感じた。 夢=仕事って風潮どうにかならんかなぁ。
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別々の3人がコロナ禍で考える日々を追う。 2つの震災やいろいろな出来事の中で、3人とは年齢も立場も違うけれど、いくつも私もそう思った、わからなかったけれど、同じ感情だと感じたことがいくつもあった。 とにかく、文字量が凄い。ただ、感情はこれほど多く日々語ってるんだよなと思うとと...
別々の3人がコロナ禍で考える日々を追う。 2つの震災やいろいろな出来事の中で、3人とは年齢も立場も違うけれど、いくつも私もそう思った、わからなかったけれど、同じ感情だと感じたことがいくつもあった。 とにかく、文字量が凄い。ただ、感情はこれほど多く日々語ってるんだよなと思うとともに、だから疲れるんだなぁとも。
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