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安楽死が合法の国で起こっていること ちくま新書1759
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安楽死が合法の国で起こっていること ちくま新書1759

児玉真美(著者)

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安楽死が合法の国で起こっていること ちくま新書1759

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2023/11/09
JAN 9784480075772

安楽死が合法の国で起こっていること

¥715

商品レビュー

3.8

45件のお客様レビュー

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2024/11/13

この本は、安楽死のテーマであるけれど、医療に関するあり方に関しても当事者の家族として、興味深い示唆を与えてくれている。 医療の本来あるべき姿をここまで語りつくしてくれた本はない。 そしてこれが新書として読めることも有り難い。 安楽死の現状を世界の今の流れを基に、一言では語りつくせ...

この本は、安楽死のテーマであるけれど、医療に関するあり方に関しても当事者の家族として、興味深い示唆を与えてくれている。 医療の本来あるべき姿をここまで語りつくしてくれた本はない。 そしてこれが新書として読めることも有り難い。 安楽死の現状を世界の今の流れを基に、一言では語りつくせない複層的な面を紹介して、考えさせる良書である。

Posted by ブクログ

2024/10/04

事例紹介だけでなく、むしろその背景を探っていて読み応えがあった。 安楽死が合法の国は権利意識が強い人達がいるからこそ合法になっているわけだけど、そんな彼らでさえあの手この手で安楽死に誘導されて死後に遺族が訴訟をあちこちで起こす事態になっているのだ。勿論訴訟を起こせるのも権利意識が...

事例紹介だけでなく、むしろその背景を探っていて読み応えがあった。 安楽死が合法の国は権利意識が強い人達がいるからこそ合法になっているわけだけど、そんな彼らでさえあの手この手で安楽死に誘導されて死後に遺族が訴訟をあちこちで起こす事態になっているのだ。勿論訴訟を起こせるのも権利意識が高いからこそなんだけども。他人に迷惑をかけてはいけないと教え込まれ、権威に従順な人達の国で導入されればどんな事態が起こり得るかは容易に想像できるだろう。 医師が治療に値しないと見なす患者は自己決定が死ぬ方向にしか開かれない、という指摘は祖母の介護を思い出すと心当たりしかない。障害者の家族を持つ筆者の危機感が察せられた。

Posted by ブクログ

2024/09/06

安楽死というと、現世の苦しみからの離脱という印象もあったり、尊厳死との定義が混同してしまう所もある。自殺を決意した際に、最後に痛みを味わって死ぬなら、安楽死を選びたい。しかし、その最後の痛みが砦となり、死を踏みとどまる人もいるのだとしたら、それを認める事が本当に良いのか分からない...

安楽死というと、現世の苦しみからの離脱という印象もあったり、尊厳死との定義が混同してしまう所もある。自殺を決意した際に、最後に痛みを味わって死ぬなら、安楽死を選びたい。しかし、その最後の痛みが砦となり、死を踏みとどまる人もいるのだとしたら、それを認める事が本当に良いのか分からない。また、人間は、死にたい気持ちになっても、次の日に目が覚めれば、生きていこうとも思うものだ。こうした難しい判断がこの本には凝縮されている。私自身は、特定の条件下においてのみ「安楽死」を認めるべきではという見解だ。 生きている事で他人や家族に迷惑をかけてしまう。生きることが後ろめたい。こうした存在についてどう考えるべきか。人は本当に生きているだけで優勝なのか。生きているだけで丸儲けなのか。精神的苦痛、肉体的苦痛を日々抱える、決して、そうではない人もいるだろう。 ― 私が英語圏の医療についてのニュースを読み始めた頃に初めて目にし、あまりのえげつなさに言葉を失ったのがbed blocker という表現だった。ベッドをふさいでいる人。とりわけ忙しい病棟では治療が長引いている最終段階の患者にスタッフから「そのベッドは、医療を「本当に必要としている」患者のためにすぐにも入り用なのに」という目が向けられると書いていたが、そんな非難を込めてbed blockerという言葉が向けられるのは、死ぬのに時間がかかっている患者の他、高齢者や障害のある人たちだ。この眼差しは様々に言葉を替えて、多くの「無益な治療」係争事件の議論に立ち現れる。そして治療続行を求める患者と家族を非難する。 ― そのひとりである功利主義の哲学者ピーター・シンガーによれば、「総量」ヴァージョンの功利主義では「血友病の新生児を殺すことが他者に悪影響を及ぼさない限り、その子を殺すことは正しい」。なぜなら、血友病の子どもが殺されても、両親がその子が生きていたら生まなかったはずの次の子を産むなら、その子どもの方がより良い人生を生きるため、血友病の子どもが殺されるほうが「幸福の総量が大きい」からだ。 ― 「道具的価値」は、たとえば最前線の医療職や、感染リスクに身を晒しなから社会インフラを担う、専門性が高く代替えが困難な人たち(傍点は筆者)に医療は優先的に分配されるべきだ、という主張である。エマニュエルらは、これは彼らの命がより価値があるとの判断ではなく、パンデミック対応に不可久な道具的(手段的)な価値があるからだと言い、金持ちや有名人、政治的な有力者などの優遇と混同し濫用してはならないと釘を刺す。ただし、傍点個所から明らかなように、エマニュエルらが優先せよという人の中に、同じエッセンシャルワーカーと呼ばれていても例えば緊急事態宜言下でもゴミの収集を続けた人たちは含まれない。 人間の価値とは。命の選択、幸福の総量とは。何もかも違和感のある内容だが、この違和感を超えて決断せざるを得なかったり、耐えられずに選択せざるを得ない局面はある。そうした事を考える好機となるような本だった。

Posted by ブクログ

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