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安楽死が合法の国で起こっていること の商品レビュー

3.8

42件のお客様レビュー

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2024/08/22

安楽死が合法化されている各国において、安楽死や尊厳死を拡大し、対象範囲を広げようと言う圧力が法的または事実上強まっていると言う現状を報告し、安楽死合法化に対して強い懸念を投げかけている本。基本的に、安楽死に対して反対の意見を持っている著者なので、このような論調になるが、中立的見れ...

安楽死が合法化されている各国において、安楽死や尊厳死を拡大し、対象範囲を広げようと言う圧力が法的または事実上強まっていると言う現状を報告し、安楽死合法化に対して強い懸念を投げかけている本。基本的に、安楽死に対して反対の意見を持っている著者なので、このような論調になるが、中立的見れば、高福祉を実現している諸国において、安楽死の拡大傾向が強まっていると言うのは、それが高福祉や高度医療を広く提供する社会にとって、必要または当然の成り行きだと言うことを意味しているのではないかと思われる。

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2024/08/08

本書を読む前と後では安楽死に対する考え方が大きく変わりました。安楽死の合法を考える前に一度読んで欲しい本です。

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2024/07/24

安楽死は簡単に答えが出るものでもないため、あらゆる面から考え、議論が必要だと思いました。 他国の安楽死の捉え方、医療、命の考え方、ケアラー、重度障害者のケア・医療面からの話は勉強になりました。

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2024/06/28

 これは本当にいい本。  心ある人々に広くお勧めしたい。  日本で安楽死が合法だと言う意見をあちこちで聞くようになった。雑で知的でない攻撃的な物言いで語られる安楽死。「プラン75」という優れた映画が上映されたことで、安楽死容認説のなんとなくの胡散臭さが明らかにされつつあるように...

 これは本当にいい本。  心ある人々に広くお勧めしたい。  日本で安楽死が合法だと言う意見をあちこちで聞くようになった。雑で知的でない攻撃的な物言いで語られる安楽死。「プラン75」という優れた映画が上映されたことで、安楽死容認説のなんとなくの胡散臭さが明らかにされつつあるように思う。  この胡散臭さをはっきりさせたい、と思っていた時に、安楽死が合法である国でどのようなことが起こっているかと言う切り口で書かれたこの新書が出版された。今の日本にとって非常に必要な本だと思う。  具体的には安楽死が合法の国はベルギーオランダ、ルクセンブルク、コロンビア、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、スペイン、ポルトガル。医師幇助自殺のみが合法とされているのは、スイスアメリカのいくつかの州と、オーストリア。  人権を尊重する住みやすい国だと思っていた国々で起こっている自殺幇助。  これらの国で「すべり坂」と言われる安楽死の拡大解釈が具体的にどのようにされているかと言うことを明らかにされている。  なかなかに衝撃的な実例ばかりだ。  認知症であるが故に、安楽死をさせられた例。うつ病で安楽死をさせられた例。生まれつき重度の障害があるから安楽死をさせられた例。配偶者が亡くなった悲しみに耐えられず安楽死を選択した例。 「死にたい…」と言うつぶやきがそのまま受け取られるとしたら、私たちはもう弱音なんか怖くて吐けない。  これらは「安楽死」なのだろうか?  「安楽死」という名で行われる、功利主義的発想のトリアージ、あるいは殺人?  本来ならば、他の救いがあるはずの人たちが、安易に安楽死というものを選べる国々。言葉巧みに安楽死に誘導することが当たり前になっている国々。    「安楽死」を容認することは、「安楽死」という制度を各々が内面化することにつながるだろう。その内面化が、自分の意志で行う自殺や殺人を肯定することになる。  ヨーロッパでもこれだけのすべり坂が起きているのに、人権意識の低い、同調圧力の強い日本で容認されたら、と思うと、ゾッとする。  いや、日本だからこそ、容認されてしまうかも。「プラン75」の世界はすぐそこかも。  

Posted byブクログ

2024/06/29

僕自身は 「どうしても、やむを得ない場合は尊厳死としては認めることもありかもしれない」 という考えでした。 この本を読み、 『制度や法律、社会的な認定ができるとより幅広く運用できるように変わっていく』 ということから、 日本で仕組みを作るには早すぎると思いました。

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2024/06/22

これまで表面的に、同一視点から見ていた安楽死や尊厳死に関して多面的な捉え方を示してくれた。命の話は単純ルール化出来にくい。一方でこの制度の有無に本当に悩まされる人は今後さらに増え、このテーマはより身近になる。議論の為の知識を身に付けるため、こういった本は非常に有益。 当事者として...

これまで表面的に、同一視点から見ていた安楽死や尊厳死に関して多面的な捉え方を示してくれた。命の話は単純ルール化出来にくい。一方でこの制度の有無に本当に悩まされる人は今後さらに増え、このテーマはより身近になる。議論の為の知識を身に付けるため、こういった本は非常に有益。 当事者としての立場や見方から、後半は著者の体験談中心で客観的でない印象。

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2024/06/20

著者自体が障害者の親でありケアラーとしての立場での著作も多い人物。 前半は各国の動向や範囲が拡大するすべり坂傾向について。タイトル通り程よくまとまってはいる。 後半は1人に向き合う介護者と多くの患者を抱える医療関係者との意識の溝とそれによる殺される危険への懸念。当事者であるが故...

著者自体が障害者の親でありケアラーとしての立場での著作も多い人物。 前半は各国の動向や範囲が拡大するすべり坂傾向について。タイトル通り程よくまとまってはいる。 後半は1人に向き合う介護者と多くの患者を抱える医療関係者との意識の溝とそれによる殺される危険への懸念。当事者であるが故の限界ではあるのかもしれないが一方的。表紙の懸念が広がっているというのが主題。

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2024/06/14

近年欧米では安楽死を合法化する国が増加している。本書は、その状況を整理するとともに、こうした状況が理解されないままに日本で導入された場合の危険性などについて警鐘を鳴らす。 安楽死先進国のオランダではすでに死者数に占める割合が4%を超えているというから驚きだ。 安楽死はもともと救命...

近年欧米では安楽死を合法化する国が増加している。本書は、その状況を整理するとともに、こうした状況が理解されないままに日本で導入された場合の危険性などについて警鐘を鳴らす。 安楽死先進国のオランダではすでに死者数に占める割合が4%を超えているというから驚きだ。 安楽死はもともと救命が叶わない患者に対する例外措置、医師を免責する措置として導入されたが、近年は「すべり坂」のように拡大が起きている。安楽死の理由にQOLが使われだし緩和ケアとの混同が進んでいるほか、対象も終末期の患者から認知症患者や障害者、しまいには子供まで広がりを見せている。安楽死が医師への免責からいつの間にか死ぬ権利に置き換わっていることが、すべり坂現象に拍車をかけているとする。 筆者は安楽死の外縁にある議論として、無益な治療論を紹介する。これは、自己決定による安楽死とは異なり、「無益」とみなされる医療に対して医療側がその治療を打ち切るというものだ。無益な治療論と移植臓器の確保の議論との結託についても懸念を示す。 筆者がこうした警鐘を鳴らす背景には、障害を抱える子の介護・治療を通じて得た医療従事者に対する強い不信感があるようだ。本書の後半は、海外における安楽死の紹介ではなく、筆者の考える医療側の問題や不信の背景について頁を割いている。 本書を通じてあまり知られていない国外の状況を知れたのは良かった。ただ、もう少しタイトルに沿った内容に限定して欲しいと思った。

Posted byブクログ

2024/06/10

・尊厳死=終末期の人にそれをやらなければしにいたることが予想される治療や措置を、そうと知った上で差し控える、あるいは中止することによって患者を死なせること。 人工呼吸器や胃ろう、人工透析などの中止。 死ぬにまかせる。 日本でも日常的に行われている。 ・安楽死=医師が薬物を投与して...

・尊厳死=終末期の人にそれをやらなければしにいたることが予想される治療や措置を、そうと知った上で差し控える、あるいは中止することによって患者を死なせること。 人工呼吸器や胃ろう、人工透析などの中止。 死ぬにまかせる。 日本でも日常的に行われている。 ・安楽死=医師が薬物を投与して患者を死なせること。 殺す。 日本では違法。 ・安楽死の合法化が世界に広がりを見せるにつれ、対象者が終末期の人から認知症患者、難病患者、重度障害者、精神・知的・発達障害者、高齢者、病気の子どもへと広がっている。 また、安楽死が容認されるための指標が「救命できるか」から「QOLの低さ」へと変質している。 ・安楽死が合法な国で法的規制があっても、実際は多くが医師の専門性、つまり個々の医師のアセスメントにゆだねられている。 ・日本に安楽死を合法化するのにリスクが大きい理由 ①日本の医療現場では医師の権威が圧倒的に大きく、「患者の自己決定権」概念が医療職サイドにも患者サイドにも十分に成熟していない日本に「死ぬ権利」という言葉だけが輸入されても機能し得ないだろう ②家族規範が強く、家族を優先して個としての自分を貫きにくい文化特性がある ・患者の「死にたい」という言葉を額面通りに受けとめて死なせてあげるのは理解とはみなさない。 なぜ死にたいと言っているのか耳を傾けて、理解しようと努めることが必要。 ・安楽死は社会にとって最も安直で安価な問題解決策。 まず個々の事例を細かく丁寧に検証して他に策がない場合の最後の解決策とならなければならない。

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2024/06/09

安楽死についてもっと知識を得たいと思い読んでみました。 安楽死について学びたいと思っている方には、ぜひ読んでみてほしい本です。色々と考えさせられました。多くの事例が紹介されているため、わたしには精神的に読むのがかなりキツかったです。でも読んで良かったと思います。勉強になりました。...

安楽死についてもっと知識を得たいと思い読んでみました。 安楽死について学びたいと思っている方には、ぜひ読んでみてほしい本です。色々と考えさせられました。多くの事例が紹介されているため、わたしには精神的に読むのがかなりキツかったです。でも読んで良かったと思います。勉強になりました。 この本を読むまで個人的に安楽死は賛成だったのですが、自分がいかに不勉強で思考を重ねる事なく安易に決めていた事に気付かされました。良著。

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