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遺伝と平等 人生の成り行きは変えられる
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遺伝と平等 人生の成り行きは変えられる

キャスリン・ペイジ・ハーデン(著者), 青木薫(訳者)

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遺伝と平等 人生の成り行きは変えられる

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2023/10/18
JAN 9784105073510

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商品レビュー

3.7

14件のお客様レビュー

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2024/09/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

優生学は、理論的根拠として遺伝学を取り込み、間違った考えや歴史を生み出した。いまだに私たちの無意識にも、そのような悪しき優生思想の片鱗が存在しているかもしれない。 自己責任という言葉もそう言った優生学の考えが下敷きにあるからこそ、出てきて、物事の本質を見ないで責任をその人自身の責任にすり替える言葉だと思う。 この本は、遺伝学をニセ科学の優生学から取り戻すための、挑戦の書である。 親ガチャの呪いから我々は脱却することができるのだろうか?そのヒントがこの書には丁寧に記述されていました。 人はこの世に誕生する時、2種類のくじを引かされる。「社会くじ」と「遺伝くじ」だ。 社会くじは、格差や不平等に結びついている。一方、遺伝くじが、優劣や格差と結びついている根拠を丁寧に紐解く。遺伝子の違いは、能力の優劣ではなくて、能力の違いにすぎない。能力が違うからこそ、それらを受け入れ、包括的思考で公平な世界を作る提案をしているように思った。 この本では、遺伝的な違いを活用して人生を変える可能性について述べている。具体的には、遺伝学の成果を利用して個人の生まれつきの特性を理解し、それを武器にすることで、教育や社会的機会を最大限に活用できるとしています。これにより、遺伝がもたらす不平等を是正し、「新しい平等」を目指すことが可能になると主張しています。 読んでよかった。

Posted by ブクログ

2024/09/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

子どもが育つ社会的環境的条件と、子どもの人生には関係があることは前提=社会くじ。 遺伝子の偶然も子どもに影響するか。遺伝子の影響も子どもは選べない=遺伝くじ。 遺伝子の影響を議論すると優生学的とみなされる。 人種間に遺伝的な違いは無い=人種とは、人類が分類したモノに過ぎず、遺伝子的には広汎な選択肢がある。 遺伝子は多様正がある。ふたりの親から生まれる子どもの遺伝型は70兆以上の組み合わせがある。一つの特徴的な遺伝情報は、プールの中の一滴のインクのようなもの。エンドウ豆のように単純ではない。 遺伝子はたんぱく質をつくるレシピ=レシピが同じでも同じ料理はできない。GWAS(ジーワス)=ゲノムワイド関連解析で遺伝子を調べても、遺伝的多様性のほんの一部しか分からない=ポリジェニック性がある。身長を決める可能性のある遺伝子だけでも10万以上ある。 人間の特性が遺伝的な人種間の違いがある、というのはあり得ない。 祖先は、遡ると広がる。しかし、数千年も遡ると全員は同じ祖先になる。その祖先の遺伝子が紛れ込んでいる可能性は低い。 人種は、政治的に差別するために人為的に作られたもの=血の一滴ルールなど。 アフリカの住民の祖先はアフリカ系遺伝子を持っているが、ヨーロッパ系の祖先も持っている。遺伝子はそれぞれがいろいろな祖先を持っていることを示している。 統計学の生態学的誤謬=平均としての違いをグループの平均と捉えること。遺伝子の違いを人種の違いと考えることは間違い。 人種に生物学的な根拠はない。しかし人種集団ごとに遺伝子が違うことは確か。 ルーマニアの里子実験。ルーマニアの孤児たちを里親に出すか、出さないかで後のIQを調べた実験。30ヶ月を超えると変わらないが、30ヶ月まででは、早い時期に里親に出した方がIQが高かった。 里親は、IQの原因か?原因と断定するには「反事実」性が必要=第1の対象がおこらなかったとしたら、第2の現象は起こらないこと、が必要=科学的思考の基礎。 ランダムに振り分けることはその一つの方法。薄い因果関係のモデル。染色体異常でダウン症になることは濃い因果関係。 遺伝子は兄弟間でも共有率にばらつきがある。50%前後。遺伝子が異なれば人生は異なるものになる。 高い方を削って全体を均し、格差を小さくする=最悪の環境をつくると格差は小さくなる。悪い環境より良い環境のほうが遺伝率は高い=遺伝的差異を発揮しやすい。 豊かな環境下での教育は格差が広がる。 遺伝的な運による不平等も憂慮すべき。 機会均等はごまかし、不平等を言い訳する方法。 マタイ効果=マタイの福音書による、持っている人はさらに与えられ、持っていない人は取り上げられる、=介入プログラムはこの傾向にある。最も恩恵を受けるのは中流家庭の子どもたち。 遺伝情報が間違った方向に利用されないか。 遺伝学を正しい方向に使うべき。 遺伝を無視するのは、暗黙の共謀。 遺伝情報を得るコストは下がっている。 犯罪行為に対する遺伝情報は受け入れられないだろうが、うつ病や肥満はどうか。遺伝的性質が元々備わっている、とすると対処を必要とするのではないか。 発話障害の遺伝率は90%以上。 鉛中毒の測定にIQテストが使われた。 SATの特典はIQと0.8の相関がある。 優生学、ゲノムブラインド、アンチ優生学、どの道を選ぶか。遺伝データを活用して適切な介入をすべき。 数学のポリジェニックスコアが低い生徒は高校から数学をドロップアウトする。その時点で救う介入は成り立つだろう。機会の平等だけでは不公平。 アメリカはメリトクラシーの国=メリットとアリストクラシーを合わせた造語。社会のエリートは、メリット故に選ばれた人であるべきという考え方。カースト制よりはいい。 アメリカの絶望死=自殺、薬物過剰摂取、アルコール依存症、による死。 ロールズの無知のヴェールをかぶって考えれば、遺伝的性質を考慮した社会を作るべきと考えるだろう。 優生思想と戦うのは、遺伝的に平等だと考える方法だけではない。遺伝子を無視すると、環境因子を変える努力も無駄になりかねない。

Posted by ブクログ

2024/08/13

三代遡れば8人分。我々は先祖代々受け継がれるものをランダムに配置されてきた。人は生まれながらにして違う。それを認めなければ格差はなくならない。得手不得手は遺伝子が決める。機会均等にしても結果には運が左右する。何が優位かは時代で変化する。バリエーションの多さは種の存続のため。更に、...

三代遡れば8人分。我々は先祖代々受け継がれるものをランダムに配置されてきた。人は生まれながらにして違う。それを認めなければ格差はなくならない。得手不得手は遺伝子が決める。機会均等にしても結果には運が左右する。何が優位かは時代で変化する。バリエーションの多さは種の存続のため。更に、自由主義経済では消費が生産を促す。富の独占では生まれる価値に偏りが出る。優勢思想は今この時代をも衰退させる。苦手なことは補完されて、得意なことは活かされる。出来も不出来も受け入れて、素の姿を尊重する。そんな社会を目指していきたい。

Posted by ブクログ

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