エレファントヘッド

白井智之(著者)

• 販売会社／発売会社: KADOKAWA
• 発売年月日: 2023/09/26
• JAN: 9784041141786

商品レビュー

2024/05/07

なんだ、このぶっ飛んだ話は・・・！

エグい・グロい・サイコ！ なミステリー！
「いともたやすく行われるえげつない行為(Dirty Deeds Done Dirt Cheap)」に頭が爆発！

読めば「ブクログの書籍紹介文がやけに短い」理由がわかる。
この本は説明しづらく、そして しない方がいい。説明すると面白さが半減し、ネタバレにつながる。
端的にいうならサイコ・サスペンス・ミステリーかな。

どうやってこんなにも複雑で入り組んだ話を考えられたのか。表現、構成、構造が作り込まれ、あらゆる描写に「意味」が持たされている。

物語中盤に＜世界＞が判明したとき、その想定外の展開に驚かされ、もはや後戻りはできない。

主人公は精神科医の象山晴太(きさやま・せいた)。
妻と2人の娘がいる彼の平穏で幸せな生活は、ある事件により一変する。
いや「一変どころか数変」する(まぁ、自業自得なのだが)。

キーワードを挙げるならば
精〇〇。パ〇〇○。分〇。記○。不〇〇〇罪。いともたやすく行われるえげつない行為。
….これ以上は、あえて言及しない。

ややグロい描写もあり、胸糞な内容でもあるのだが、量子力学的展開と複雑怪奇なトリック、スーパーどんでん返しに、超絶ワクワクさせられた。

事前にあらすじとかを入れずに読むことを強くオススメします。
エログロがすごく苦手でなければ、めちゃくちゃ面白いと感じるはずです。

なるほど。それで「エレファントヘッド」か。
あー、すごい話だった。

2024/05/06

愛する家族と生活を維持してゆくために邪魔となるものは手段を選ばずに排除してきた精神科医。
誤算から綻びが生じ、その後ある薬を手に入れたことからとんでもないことに巻き込まれてゆく。
設定はぶっ飛んでいるけど、論理はしっかりしている（物理的に正しいかは別として）。
頭を整理しながら、時には読み返しながらでないと難しい答え合わせでした。
量子論からの発想により、いくつかの世界線がもつれ合って進んでいく物語なので、ミステリなのかSFなのか判断しかねる作品です。

2024/05/02

壮大な辻褄合わせを構築することに全力が注がれているけれど、そもそも前提となる理論が崩壊しているため、まったく興味も説得力も感心も感じることができない。自らの家族を殺すという動機がまったく腑に落ちないし、猟奇的なエピソードをここまで好むその感性が気持ち悪い。時間軸の分離だけならともかく、別の時間軸でも同様に死がリンクするなどという設定はどう考えても意味がわからない。この作品を読む限り、著者はバーチャルな世界観の中でだけ生きてきた頭でっかちで孤独なサイコパス野郎としか思えなかった。
序盤のエピソードだけは面白くて、ものすごく期待して読み進めただけに、この感想に至ってしまったのは、ただただ残念です。