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新古事記
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2023/08/10 |
JAN | 9784065326831 |
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新古事記
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商品レビュー
3.7
12件のお客様レビュー
古典かと思ったら予想外の話。 NHK朝の連ドラ「虎に翼」で星航一が勤めていた「総力戦研究所」という場所とエピソードが何気なく手に取った「御手洗潔の追憶」内の「天使の名前」での御手洗の父とかぶり、 「新古事記」で作られた原爆が、「天使の名前」で落とされた側の結末を読むという。 ...
古典かと思ったら予想外の話。 NHK朝の連ドラ「虎に翼」で星航一が勤めていた「総力戦研究所」という場所とエピソードが何気なく手に取った「御手洗潔の追憶」内の「天使の名前」での御手洗の父とかぶり、 「新古事記」で作られた原爆が、「天使の名前」で落とされた側の結末を読むという。 3つの側面からこの夏教わったことは、なんらかの意味があるのだと思う私にとって。
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翻訳本かと思った。 文体も、原爆に対する解釈も。 戦争を知らない若い人の作品かとも思った。 仕事柄、被爆したおばあさんからお話を聞かせてもらっているので、なんだかおとぎ話を読んでるような、やりきれない気持ちになりました。
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ロス・アラモスはアメリカの原爆開発の舞台となった地である。マンハッタン計画に基づき、高台のこの地に研究所が築かれた。それだけでなく、ここには科学者らの家族も住むこととなり、街が作られた。 研究の性質からして、機密は守られなけらばならず、人の出入りも厳しく管理された。 一風変わった...
ロス・アラモスはアメリカの原爆開発の舞台となった地である。マンハッタン計画に基づき、高台のこの地に研究所が築かれた。それだけでなく、ここには科学者らの家族も住むこととなり、街が作られた。 研究の性質からして、機密は守られなけらばならず、人の出入りも厳しく管理された。 一風変わった、閉ざされたこの街で、科学者たちは研究に励みつつ、一方で家庭生活も楽しんだ。若い研究者らが多かったから、彼らの多くは子供をもうけた。 夫たちが作ろうとしているものが何なのか、妻たちは詳しくは知らなかった。それよりも日々の生活を回すだけで精いっぱいだった。 子供が生まれ、犬が駆け回り、普通の営みが行われている中心で、行われているのは大規模殺戮兵器の開発だったのだが。 主人公のアデラは、恋人・ベンジャミンとともに、カリフォルニアからロス・アラモスの「Y地」へやってくる。アデラは見た目は白人だが日本人の血を引いており、真珠湾以後、日系人への風当たりの強さをひしひしと感じているところだった。ベンジャミンについていくことはよいアイディアに思われたのだ。 Y地は台地の上にあり、大きな町からは離れた、奇妙に閉じられた場所だった。 アデラはベンジャミンとまだ結婚していなかったため、Y地の中へは入れず、塀にへばりつくように建っている動物病院の看護助手として働くことになった。 アデラがお守りのように持っているのは、おばあさんからもらったノート。そこにはおじいさんの国の文字やお話が綴られていた。実のところ、アデラはおじいさんの顔も知らず、おじいさんが米国に帰化した経緯も真偽が判然としないものだった。だが、おばあさんが綴った日本の漢字や神話は不思議にアデラの心を捉えた。 Y地にはユダヤ系研究者家族も多く、信心深い妻たちの中にはシナゴーグが必要と考える者もいた。実際、それは作られたのだが、神職を引き受ける男性はおらず、妻たちの1人が仮のラビとなった。 Y地につく郵便物はすべて、「私書箱1663号」に集められる。麓の人々はY地で何が行われているのかも知らず、膨大な郵便物が届く私書箱を奇異に思っている。 犬も人も次々に妊娠し、新しい命が生まれた。恋人たちは一組、また一組と結婚し、ベンとアデラも結婚することになった。 ユダヤ教徒が読む旧約聖書では、神が最初に現れた。おばあさんが残したノートの中の日本の神様は天地とともに現れた。 できたての国は 土と思えないほど柔らかで スープ皿に浮かんだ 鹿肉の脂身のように 海のクラゲのように ゆらゆら漂っていた プエブロ族の娘がY地に働きに来ていた。彼らの部族には蓄財観念がなく、畑を耕して働いては、日々、自然にお祈りしていた。 アデラが曇りのない目で見つめるY地の日々。 一方で、研究は着々と進んでいた。 本書のインスピレーションの元になっているのは、「ロスアラモスからヒロシマへ」という1冊の本である。科学者の夫とともにロスアラモスで2年間暮らした女性の手記だ。女性は戦後、広島を訪れて、アメリカ人女性として、「人間の人間に対する非道」を忘れまいと誓ったという。 この女性はユダヤ系であったが、著者はここに日系三世の女性の視点を入れ込んだ。 原爆開発国であり、同時に移民の国でもあるアメリカ。 神にも匹敵しうるような技術を手に入れ、そしてそれを行使するとはどういうことだろうか。 物語の記述の大半は、穏やかな「日常」なのだが、その背後にある結果の大きさに言葉を失う。 物語の最終章は「新しい世界は神じゃなく、人の子がつくるのだ」と題される。 ニューメキシコの大地の草の海を、人の子と犬が駆け回る。大地を焼き尽すかもしれない業火を手に入れた今、「新しい世界は神じゃなくて人の子がつくる」。 神なき世界で行われる人間の人間に対する非道を、本当に人は背負いきれるのだろうか。
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