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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
| 発売年月日 | 2023/06/22 |
| JAN | 9784163917122 |
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商品レビュー
3.5
837件のお客様レビュー
障がいがある著者の矜持と覚悟
先天的な重度身体障がいにより胎児の成育にも出産や育児にも無理があるために、「普通の人間の女のように」妊娠と中絶をすることが夢であると公言し、それを本気で実現しようとする40代の主人公・井沢釈華が一人称で語る形式の短編小説である。体や精神を削りながら生きている障がい者の生と性が赤裸...
先天的な重度身体障がいにより胎児の成育にも出産や育児にも無理があるために、「普通の人間の女のように」妊娠と中絶をすることが夢であると公言し、それを本気で実現しようとする40代の主人公・井沢釈華が一人称で語る形式の短編小説である。体や精神を削りながら生きている障がい者の生と性が赤裸々に描出されており、そのリアルに圧倒され衝撃を禁じ得ない。健常者優先・優位社会に向けた憤怒や不満、自虐や諦観など屈折した複雑な感情が時にほとばしり出てくる中、自分はまだ辿り着けないが、障がいのある者は他者のどんな助けを借りながらでも生きることにこそ人間の尊厳があると、主人公に語らせるところに、ご自身も同様の障がいがある著者の矜持と覚悟を感じる。最終場面で語りの主体は一転、主人公「釈華」のインターネット上のアカウントネームであり実像のなかった「紗花」に変わるが、それまで描かれてきた物語は実は「紗花」による「釈華」の物語だったということなのだろうか。
fugyogyo
p27 私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に書いに行けることーー5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。その特権性に気づかない「本好き」たちの無知な傲慢さを憎んでいた。 私は作...
p27 私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に書いに行けることーー5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。その特権性に気づかない「本好き」たちの無知な傲慢さを憎んでいた。 私は作者と違って健常な身体で生活できていて、紙の本を読む行為に必要な能力があるとは意識してこなかった。作者の病名を聞いたことも、「お金があって健康がないとどうなるか(清くなる)」と考えたこともなかったが、そこから怒りが生まれる過程は自分の怒りが生まれてくるメカニズムと究極的に一緒な気がして近しさを感じた。うまく説明できないけど、紙の本を愛するカルチャー人、みたいなdisの部分で、現実や制度に対する抗議よりも感情を先に感じて、そうだよな、怒りがスタートだよな、と思ったというか。
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好き嫌いが分かれそうな作品。 読むたびに得体の知れない気持ち悪さというか、もやもやした気持ちが出てきて後味が悪かった。
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