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市川沙央(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2023/06/22
JAN 9784163917122

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商品レビュー

3.5

648件のお客様レビュー

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2024/07/18

障がいがある著者の矜持と覚悟

先天的な重度身体障がいにより胎児の成育にも出産や育児にも無理があるために、「普通の人間の女のように」妊娠と中絶をすることが夢であると公言し、それを本気で実現しようとする40代の主人公・井沢釈華が一人称で語る形式の短編小説である。体や精神を削りながら生きている障がい者の生と性が赤裸...

先天的な重度身体障がいにより胎児の成育にも出産や育児にも無理があるために、「普通の人間の女のように」妊娠と中絶をすることが夢であると公言し、それを本気で実現しようとする40代の主人公・井沢釈華が一人称で語る形式の短編小説である。体や精神を削りながら生きている障がい者の生と性が赤裸々に描出されており、そのリアルに圧倒され衝撃を禁じ得ない。健常者優先・優位社会に向けた憤怒や不満、自虐や諦観など屈折した複雑な感情が時にほとばしり出てくる中、自分はまだ辿り着けないが、障がいのある者は他者のどんな助けを借りながらでも生きることにこそ人間の尊厳があると、主人公に語らせるところに、ご自身も同様の障がいがある著者の矜持と覚悟を感じる。最終場面で語りの主体は一転、主人公「釈華」のインターネット上のアカウントネームであり実像のなかった「紗花」に変わるが、それまで描かれてきた物語は実は「紗花」による「釈華」の物語だったということなのだろうか。

fugyogyo

2024/10/21

純粋な怒りを感じた。読んでいて自分の甘さが嫌になるような気がした。苦しかったけど、目を背けてはならない気がした。文章に殴られた。 苛立ちや蔑みが遠くのものに向かないという文章にハッとした。自分が劣っている部分があると思った時に正面から否定されたりするほうが気持ちがいいのはそのため...

純粋な怒りを感じた。読んでいて自分の甘さが嫌になるような気がした。苦しかったけど、目を背けてはならない気がした。文章に殴られた。 苛立ちや蔑みが遠くのものに向かないという文章にハッとした。自分が劣っている部分があると思った時に正面から否定されたりするほうが気持ちがいいのはそのためであると思う。まだ近くに感じてくれているということだから。また、可哀想だと言う目線が苦しいのはもはやそれは遠くのものへの目線だからではないだろうか。相手に対して、完璧に寄り添うか反発するということが誠実な気がした。 また、何か成し遂げたときに嫉妬や怒りが向くのは侮っているのだなとも思った。私と同じレベルかそれ以下だという下心を感じる。だから、自分の中にそのような嫌な感情が湧いた時は相手に向けるのではなく、自身の醜さを見つめるべきだ。 出版文化が健常者中心であることはその通りである。わたしは紙の書籍がすきで、それが恵まれているからなのだというのは自負しないといけない。障害者も手に取りやすい方法を沢山考え、編み出し、浸透させなければならない。

Posted by ブクログ

2024/10/20

話題になった本なので読んでみました。最初から性的描写が始まったので、どんな話?と思いながら読み進めました。ミオチュブラー・ミオパチーという障害を初めて知りました。もちろん、きちんと理解は出来ていないと思いますが、市川さんと同じ障害を持つ紗花さんの心の声が、まさに市川さんの声なのだ...

話題になった本なので読んでみました。最初から性的描写が始まったので、どんな話?と思いながら読み進めました。ミオチュブラー・ミオパチーという障害を初めて知りました。もちろん、きちんと理解は出来ていないと思いますが、市川さんと同じ障害を持つ紗花さんの心の声が、まさに市川さんの声なのだと思いました。世の中にはまだまだ自分の知らない障害があり、健常者が気づきもしないような不自由さや思いがあるのだと思いました。まずは知るところから。この作品は多くの人にそのきっかけを与えてくれたと思います。作品については、想像もしなかった最後が待っていました。オリジナリティに溢れた、良い作品だと思いました。

Posted by ブクログ

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