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持続可能な魂の利用 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2023/05/25 |
JAN | 9784122073692 |
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持続可能な魂の利用
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商品レビュー
3.9
13件のお客様レビュー
不思議な話だった。でも、ただ不可解な話なのではなく、きっとこの物語の構造は二重三重になっていて私が一層目までしか気付けていないからなのだろうな。松田青子さんの本を読むと強いフェミニズムを感じる。私は結構、おじさんに迎合したり男性的な社会の中で配慮されて過ごす、みたいなこと得意で過...
不思議な話だった。でも、ただ不可解な話なのではなく、きっとこの物語の構造は二重三重になっていて私が一層目までしか気付けていないからなのだろうな。松田青子さんの本を読むと強いフェミニズムを感じる。私は結構、おじさんに迎合したり男性的な社会の中で配慮されて過ごす、みたいなこと得意で過ごしやすいと思ってしまったりする部分もあって、おじさん社会を助長させてしまってるのかな、なんて思ったりする。
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非常に面白かった。 最初に、「おじさん」から少女が見えなくなった世界であることが示される。 現実ではない、仮想世界の物語かと思って読んでいくと― 現代の女性たちが直面するさまざまな理不尽なことが、これでもか、と挙がっていく。 セクハラを訴えて職を失った30代の女性、敬子を軸に、何人もの女性の生活が、次々と提示される。 ・非正規社員の女性へのセクハラとそれをもみ消す会社 ・女性が楽しむことを非難する雰囲気 ・女性の自己主張へのタブー視 ・女性の外見を問題にする文化、特にアイドルへの圧力 ・女性の身体の自己決定への侵害 ・女性の体への性的なまなざし ・ワンオペ育児 これが、地球環境を保全するため、国家を仕舞うためのくじに当たった日本の、緻密で効果的な施策の結果だった―というあたり、非常にシニカルだ。 そして日本は何もない、緑なす土地になり、ここに魂となった女性たちが浮遊するという結末。 なんとなく、井上ひさしの『吉里吉里人』が思い出された。 どちらも地縛霊とか、魂だけが滅んでいく国について語っていたという構図が、最後に明かされる点で似ていると思ったから。 でも、吉里吉里人は、日本に接収されて終わった。 本書では、日本ごと滅びる。 「女性ならではの観点で、日本を立て直す」などという、おじさん世界のおとぎ話に収斂することも避けたのだな、と感じた。
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友達が貸してくれた一冊。 内容をよく知らず読み始めたので、女性に向けられる視線の描写にあるあるを感じる度、だんだんうんざりしてきてしまった (ストーリーを批判しているわけでは断じてない)。 「男性」には経験しようのない「女性」の現実をリアルに小説として残してくれたことについて...
友達が貸してくれた一冊。 内容をよく知らず読み始めたので、女性に向けられる視線の描写にあるあるを感じる度、だんだんうんざりしてきてしまった (ストーリーを批判しているわけでは断じてない)。 「男性」には経験しようのない「女性」の現実をリアルに小説として残してくれたことについては、作者に感謝したい。 ただ、どれだけの「男性」が、この本を最後まで読むことができるだろうか。「女性」が読んで、共感し、息苦しさや生きづらさを感じていたのは自分だけではなかったのだ、そしてそれを訴えてもいいのだ、と思える作品であることは間違いない。それだけでも大きな意義がある。でも未来志向的に考えるならば、多くの「男性」に読んでもらい、当たり前に存在する男性優位の社会について考えを巡らせてみてほしい。それを難しくしかねない、完全な二分論に基づく「男性」の描き方に、少々もったいなさを感じた。 そして、悪意が明らかな「男性」による「女性」へのセクハラは、まだ扱いやすいと思う。正当に訴えることができるし(正当に受理されるかはさておき)、糾弾されうるからだ。問題なのは、悪意のないセクハラだ。それには男も女もないと思う。「女性」による「男性」の性的モノ化だって存在する。 そんな「性」について、あらゆる視点から捉え、考えられるような作品があったら読んでみたい。
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