商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2023/05/25 |
JAN | 9784122073692 |
- 書籍
- 文庫
持続可能な魂の利用
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持続可能な魂の利用
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商品レビュー
3.9
14件のお客様レビュー
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勿論主語はでかい。でかいけどもこう思ったよという話、以下。 序盤、けいこ知覚過敏で生きづらそう、それにしてもフェミニスト小説なだけあって流石におじさんへのヘイトが凄まじすぎるだろと読んでいた。あまりにもけいこの気にし過ぎる物の見方に正直辟易しながら読んでいたし、現実はここまでじゃないだろうと考えていた。そんな風に思いながら読んでいると、ふと昔の1つの会話を思い出した。以前女友達と話していた時に、"女の子で痴漢された事がない人はいないと思う"という会話だ。 それを思い出した瞬間から、あながちここで話されている事は誇張ではないのかもしれないと、ハッとした。 冷静に考えて、高校生くらいまでの人生で痴漢されてない女性の方が少ないとかイカれてる。 この本から感じる、"何で女ってだけでこっちが搾取されて理不尽に我慢しなきゃいけないだよ"という強い訴えが誇張でもなんでもなく至極真っ当なものだと思えた。しかも何が問題っておじさんによる搾取が身体的な面に留まらず社会性として酷く根付いてるいる事が問題なのだ。 物語の後半からはそんなおじさん社会を覆さんとするある種ディストピアへと向かう世界が描かれていたが、それはあくまでフィクションの話。 ここ最近はセクハラやパワハラなどに対してのリテラシーが高まってきた事で副次的に社会として"おじさん"を問題視する目が増えてきていると思う。ノンフィクションである現実はユートピアなんて目指さなくていいが、ただ今より良い社会を作る為にちゃんと声を上げていきたい。 自分の認識がどれくらい女性と乖離しているかを知る為にも全メンズが読むべき本だと思いました。
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不思議な話だった。でも、ただ不可解な話なのではなく、きっとこの物語の構造は二重三重になっていて私が一層目までしか気付けていないからなのだろうな。松田青子さんの本を読むと強いフェミニズムを感じる。私は結構、おじさんに迎合したり男性的な社会の中で配慮されて過ごす、みたいなこと得意で過...
不思議な話だった。でも、ただ不可解な話なのではなく、きっとこの物語の構造は二重三重になっていて私が一層目までしか気付けていないからなのだろうな。松田青子さんの本を読むと強いフェミニズムを感じる。私は結構、おじさんに迎合したり男性的な社会の中で配慮されて過ごす、みたいなこと得意で過ごしやすいと思ってしまったりする部分もあって、おじさん社会を助長させてしまってるのかな、なんて思ったりする。
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非常に面白かった。 最初に、「おじさん」から少女が見えなくなった世界であることが示される。 現実ではない、仮想世界の物語かと思って読んでいくと― 現代の女性たちが直面するさまざまな理不尽なことが、これでもか、と挙がっていく。 セクハラを訴えて職を失った30代の女性、敬子を軸に、何人もの女性の生活が、次々と提示される。 ・非正規社員の女性へのセクハラとそれをもみ消す会社 ・女性が楽しむことを非難する雰囲気 ・女性の自己主張へのタブー視 ・女性の外見を問題にする文化、特にアイドルへの圧力 ・女性の身体の自己決定への侵害 ・女性の体への性的なまなざし ・ワンオペ育児 これが、地球環境を保全するため、国家を仕舞うためのくじに当たった日本の、緻密で効果的な施策の結果だった―というあたり、非常にシニカルだ。 そして日本は何もない、緑なす土地になり、ここに魂となった女性たちが浮遊するという結末。 なんとなく、井上ひさしの『吉里吉里人』が思い出された。 どちらも地縛霊とか、魂だけが滅んでいく国について語っていたという構図が、最後に明かされる点で似ていると思ったから。 でも、吉里吉里人は、日本に接収されて終わった。 本書では、日本ごと滅びる。 「女性ならではの観点で、日本を立て直す」などという、おじさん世界のおとぎ話に収斂することも避けたのだな、と感じた。
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