バニラな毎日 幻冬舎文庫

賀十つばさ(著者)

• 販売会社／発売会社: 幻冬舎
• 発売年月日: 2023/04/06
• JAN: 9784344432840

商品レビュー

2024/10/20

NHK夜ドラ枠でドラマ化するというので先んじて読んだ。

食×癒しの物語は、食を通して主人公が回復していくという流れが多い気がするけど、こちらは癒しの提供をお手伝いする方。ところが主人公は癒し系という訳ではなく、わりとサバサバしていた。
個人情報保護については…まあそこはフィクションということで触れないでおこう。

6遍のうち、イートン・メスの回がお気に入り。イートン・メスって初めて聞いたから思わず調べたよね。目標を決める事は大事と言われるけれど、広角レンズでゆったりと視野を広げる事もいいなと思った。

2024/09/24

なんとなく椿文具店のバーバラ婦人を思い出して読んでいた。
活力があって、小粋で、ちょっと謎なのが魅力的で、ド真ん中をついてくるのに憎めなくて、でも優しくて‥
佐渡谷さんは、強力なキャラクターだ。
すごく惹きつけられる。

一方主人公‥店をたたむのだから、それはへこむし、平常心ではいられないだろう。
心がささくれ立っているのもわかる。
そんな刺々しかったり、投げやりだったり、斜めだったりしていたのに、いつの間にか佐渡谷さんを通して、真摯にお菓子と向き合い、感情を取り戻し、お店までも取り戻せてしまった。

ラストはバニラの香りに包まれ、白井さんの作ったお菓子を食べたくなった。
一緒に元気を取り戻せる本だと思う。

2024/09/23 15:57

2024/08/31

5年続けた店の閉店を決めた洋菓子店の店主・白井。アルバイト先で常連客のマダム・佐渡谷真奈美に出会い、閉めた店舗の厨房を料理教室のために貸して欲しいと頼まれる。佐渡谷の料理教室は参加者1人、参加者の作りたいものを作るのだという…。フルーツタルトを作りたい会社員、マカロンが作りたい女子中学生、チョコレートケーキを作りたい失恋に悩む歌手、亡き母の好物を作りたい女性。
佐渡谷さんがすごく魅力的。美味しいものが好きで昔の恋人のことを忘れられずにいる乙女な部分もある。白井が作るケーキもどれもとても美味しそう。ケーキ作りを通して自分なりの答えを見つけていく登場人物たちの姿もいい。