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エリザベス女王の事件簿 バッキンガム宮殿の三匹の犬 角川文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
発売年月日 | 2023/02/22 |
JAN | 9784041110201 |
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エリザベス女王の事件簿 バッキンガム宮殿の三匹の犬
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商品レビュー
3.9
7件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
女王陛下と秘書官補、またまた謎解き。 女王の信頼厚いハウスキーパーが変死した。周囲からは煙たがられていた彼女は数々の嫌がらせを受けていた。しかし嫌がらせを受けていたのは彼女だけではなかった。ブレグジットに揺れ、アメリカ大統領選挙に気を取られ、世界の変化を感じる女王陛下は自分の所有物である絵が思いも寄らないところにあった謎を解くためにロージーに依頼をしていた。すべてが繋がったときに見えてきたものは——。 前巻もそうだが、女性の戦いを描いた小説だと言ってもいい。女性だから、と扱われること。たとえ君主が女性の国でも、あまく見られたり不名誉な言葉で表現されたりはするのだ。それを女性同士の連帯でしなやかに乗り越えていこうとする姿が描かれているのが気持ちのよいところでもある。 女王陛下がなぜ美術的価値がそれほどない船の絵に執着したのかがわかるラストシーンがとてもチャーミング。そしてあらためてフィリップ殿下の逝去は女王陛下にとって大変なことだったのだとしみじみ思う。現実の女王陛下はおそらくフィリップ殿下と同じところに行ってしまったけれど、願わくばまだこのシリーズを読みたいと思った。
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訳のせいなのか、読みにくくなかなか進まなかった。バッキンガム宮殿のプールサイドで発見されたハウスキーパーの遺体と、駄作と呼ばれていたが女王にとってはとても大事な絵が海軍保有となっていたこと。まるでホントにエリザベス女王が推理をしているみたいだった。日本では皇室の人物を小説に!なん...
訳のせいなのか、読みにくくなかなか進まなかった。バッキンガム宮殿のプールサイドで発見されたハウスキーパーの遺体と、駄作と呼ばれていたが女王にとってはとても大事な絵が海軍保有となっていたこと。まるでホントにエリザベス女王が推理をしているみたいだった。日本では皇室の人物を小説に!なんて絶対無理だろう。失言王フィリップ殿下のジョークがいいスパイスだった。
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「エリザベス女王の事件簿」シリーズの2作目(1作目はこちら→「ウィンザー城の殺人」)。 先ごろ亡くなった英国のエリザベス2世が、実は陰の名探偵であったという架空の設定に基づくミステリ・シリーズ。前作ではウィンザー城が舞台、本作はバッキンガム宮殿である(3作目は邦訳未刊行だが、サン...
「エリザベス女王の事件簿」シリーズの2作目(1作目はこちら→「ウィンザー城の殺人」)。 先ごろ亡くなった英国のエリザベス2世が、実は陰の名探偵であったという架空の設定に基づくミステリ・シリーズ。前作ではウィンザー城が舞台、本作はバッキンガム宮殿である(3作目は邦訳未刊行だが、サンドリンガム・ハウス)。舞台となる場所が1作ごとに変わるという趣向である。 大規模修理が必要でてんやわんやのバッキンガム宮殿のプールサイドで、有能だが嫌われ者の王室家政婦(ハウスキーパー)が遺体で発見される。 死因は足首からの大量出血。その場に残されたウイスキーグラスを片付けようとして、誤って破片で動脈を傷付け出血死した、つまり事故死と当初は見なされた。だが、本当に事故死だろうか。 一方、女王には、お気に入りの絵が1つあった。傑作とは言えない、いや、むしろ駄作であるものの、大切な思い出のこもった絵だったのだ。それがいつからか行方知れずになっていた。ところが偶然、その絵が海軍所有になっていることがわかる。いったいなぜ? 女王は秘書官補のロージーに、絵を取り戻すこと、そしてなぜ海軍に所有が移ったのかを調べることを命じる。 この2つの一見、関わりがなさそうな事件が、実は深いところで絡み合っていることが徐々にわかってくる。 女王が探偵として活動する際に、隠れた手足となって働くロージーに今回も指令が下る。そんな彼女の元に、不快な怪文書が何通か届く。どうやら死んだハウスキーパーも嫌がらせを受けていたらしい。果たしてこれも事件に関係があるのか。 表題の「三匹の犬」は、著者あとがきによれば、古典力学の「三体問題」とシャーロック・ホームズの「パイプ三本分の問題」から来ているという。どちらかというと後者の方がより当てはまる。難題を解くときに、ホームズはいつもパイプを3本連続で吸って考える。それをもじって、犬好きのエリザベス女王が犬三匹を連れて散歩しながら考えた、というわけ。女王の犬が事件に巻き込まれて酷い目に遭うわけではないので、犬好きの方も安心してよい(ただ、高齢で亡くなる犬は登場する。これは実際、女王の犬が亡くなった時期を舞台にしているため)。 本作の売りは、かっちりと調べられた舞台背景に、架空の事件を配していること。女王や王配、各国首脳などは実在の人物で、トランプ大統領が誕生したアメリカ大統領選や、イギリスのEU離脱(ブレグジット)など、実際の出来事も出てくる。その最中に、もしもバッキンガム宮殿で事件が起きていたら、そしてエリザベス女王が探偵さながらの洞察力で事件の捜査にあたっていたら、という「if」を楽しむシリーズである。 犯人=黒幕に関しては、割と早い段階で予想はつく読者が多いのではないか。事件の全容はあまり後味のよいものではないのだが、女王がなぜ駄作の絵に愛着があったかを示す最後のエピソードが効いていて、読後感は悪くない。 英王室研究者によるあとがきも舞台背景を補って秀逸。
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