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嫉妬/事件 ハヤカワepi文庫
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嫉妬/事件 ハヤカワepi文庫

アニー・エルノー(著者), 菊地よしみ(訳者), 堀茂樹(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2022/10/26
JAN 9784151201066

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嫉妬/事件

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2024/10/02
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嫉妬/事件 著者:アニー・エルノー 訳者:堀茂樹(嫉妬)、菊池よしみ(事件) 発行:2022年10月15日 ハヤカワepi文庫 初出:200年5月、単行本(早川書房) ノーベル文学賞が発表される時期になった。2022年の受賞者であるアニー・エルノーは、その年に初めて読み(『シンプルな情熱』)、去年も1冊(『凍りついた女』)を読んだ。これが3冊目。中編小説が2本収められているが、『事件』の方は2022年に「あのこと」というタイトルで映画化されたようである。この文庫本も、本来の表紙カバーと、映画化用のものと、2枚重ねになっていた。 そのカバーにも書いてある「オートフィクション」というジャンル。自伝風の小説と言ったところ。どこまでが自伝なのか分からないが、アニー・エルノーはその名手と書かれている。これまで読んだ小説は、すべてそれだった。 『嫉妬』は、ある中年女性が、6年間つきあった30代の恋人男性Wと自分から別れを切り出したものの、その後も会ったり電話をしたりという関係が続き、そんな中でWに新しい恋人が出来、その相手が47歳の女性で16歳の子供もいるということを知り、激しく嫉妬するという物語。30代の男性だから、まだまだ可能性が大きいのに、よりにもよって47歳のおばさんとは、と嘆くが、主人公も18年間の結婚生活があり、Wとも6年間付き合ってきたとしているので、重なっている年月があるとしても、結構な年齢じゃないかと思うが、どうなんだろう。なお、彼女にも別居しているが子供がいる。 47歳の女性については、パリ第三大学の准教授で歴史学が専門としか教えてくれない。名前は不明。住んでいる通り名も分かっている。主人公は、その女性のことを必死で探ろうとする。論文を探し回り、候補を何十人とリストアップし、次々と電話をしてWがいるか?というような探りの電話を入れてみようかと計画したりする。 日常のちょっとしたことが、全てその女性に関係しているのではないかと結びついて考えるようになる。激しい嫉妬心に苛まれた際の心理状態。自らがパネルディスカッションでパネリストになった時、会場に来ていた40代女性のことが気になる。もしかして私のことを見に、その相手が来ているのではないか、と考える。その女性が質問するが、主人公にではなく、主人公の隣のパネリストに質問したのだった。それもわざとだろう、と考える。 次々に浮かんでくる嫉妬にまつわる逡巡。ものすごい心の内の暴露に染まったオートフィクションだった。 * 『事件』は、1963年の秋、妊娠が判明した主人公が、中絶をするまでに苦しみ、苦労をし、やっと中絶できたと思ったら、今度は肉体が傷ついて命が危なくなるという、そんな顛末を描いたオートフィクション。1963年はカトリック信者の多いフランスでは、まだ中絶は非合法であり、医療側も妊婦側も罰せられていた。やっと中絶が出来るようになったのは、1975年、ディスカールデスタン大統領の時代だった。 主人公は学生だったが、遠く離れたボーイフレンドとセックスをし、妊娠してしまった。しかし、自分には子供を産むなどという感覚がなく、自分の体に別の命が育っていくということが想像もできなかった。だから、ほぼ機械的に中絶を選んでいるが、どこもしてくれない。医者に行くと、おめでとうございます、しか言わない。中絶を望んでいることが分かっていても、それしか言わない。 友達などをたどり、中絶手術をしてくれる医師を必死で探す。やがて、パリの安アパートに住む准看護師を見つける。ゾンデを子宮口に突っ込み、胎児が出てくるまでそれで生活をする方式だった。彼女が勤め先からゾンデを持って帰れる日を指定し、その施術を受ける。主人公は学生都市に戻り、寮で生活をするが、なかなか出てこない。だが、やがて激痛に襲われ、排便にトイレに向かうと、榴弾が炸裂するように胎児が飛び出てきた。そして、へその緒がつながったまま股間に。 その後、手伝ってハサミでへその緒を切ってくれたのは、大学1年から同じ寮に住むOだった。彼女はブルジョアのカトリック。そんな彼女が切るなどとは、皮肉だった。しかし、出血が止まらず、彼女は病院へ。入院する。 胎児が飛び出し、中絶が成り立つところの描写は、なかなかエグいものがあった。 それにしても、さすがはアニー・エルノー、さすがはノーベル文学賞作家。彼女の作品を読むのは大変だし、並大抵の覚悟では読めない。

Posted by ブクログ

2024/04/06

初アニー・エルノー。すごく良かった。小説ってこんなに生身の人間を直に曝け出すことができるんだと圧倒された。 恐らく筆者自身が経験したであろう出来事を深く正確に綿密に的確な言葉を重ねて描きつつも、決して感情だけに流されることのない冷徹とも言える明晰さ。個人的な出来事を突き詰め続ける...

初アニー・エルノー。すごく良かった。小説ってこんなに生身の人間を直に曝け出すことができるんだと圧倒された。 恐らく筆者自身が経験したであろう出来事を深く正確に綿密に的確な言葉を重ねて描きつつも、決して感情だけに流されることのない冷徹とも言える明晰さ。個人的な出来事を突き詰め続けることで至る普遍。特に嫉妬には自分自身に思い当たる経験があり、個人的な経験を分析して突き詰めて文学に昇華させる彼女の手腕に驚いた。小説というのはこういう書き方もできるだと世界を広げてくれる作品だった。 事件は男女問わず必読。甘えのない生々しい描写に気分が悪くなるかもしれない。しかしこれが現実なのだ。本作のレビューを読むと中絶に関して日本に比べフランスが遅れているような印象を受けている人が見られたが、本当にそうなのか、いま一度自国の現状を学び直す必要があるだろう。

Posted by ブクログ

2024/01/26

この作品の言葉にはあまり感情が見られない。 出来事を言葉にすることで与えられてしまう、ある種のフィクション性がなるべく排除されている。 記憶がドラマチックに歪曲されてしまうことを作者は危惧しているように思う。 そういった意味で最もノンフィクションに近い小説だった。 印象的だった...

この作品の言葉にはあまり感情が見られない。 出来事を言葉にすることで与えられてしまう、ある種のフィクション性がなるべく排除されている。 記憶がドラマチックに歪曲されてしまうことを作者は危惧しているように思う。 そういった意味で最もノンフィクションに近い小説だった。 印象的だった箇所 「当時真実だったただ一つのこと、私はそれをけっして口にしないつもりだったけれど、それは、「あなたと寝たい、そして、あなたにもうひとりの女性を忘れさせたい」だった。他のことはすべて、厳密な意味において、フィクションにすぎなかった」

Posted by ブクログ

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