爆発物処理班の遭遇したスピン

佐藤究(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2022/06/29
• JAN: 9784065279526

商品レビュー

2024/11/06

表題作の不思議な読後感が癖になってしまい、今も時々思い出してはあれは一体…という気持ちになっている。堅実なストーリー運びに騙されて、いつの間にかどこでもないところへ連れ去られているような気分になる話ばかりで楽しかった。
『ジェリーウォーカー』
モンスターものとしての楽しさと、モンスターにリアリティを与える記述のバランスが絶妙。オチもモンスターパニックって感じでワクワクする。
『猿人マグラ』
『ボイルド・オクトパス』
『くぎ』
この３編はとにかく内容が好みに合致しすぎている。大好き。一周回って人間讃歌じゃないのかなって感じのお話群なのだけれど、この味わい、どこかで食べたことがあるような…と考えて、この無情さとか人間のわからなさの書き方、平山夢明に近いものがあるのかもと思った。

2024/10/27

これは他人に勧める為の感想ではない。
新作ではなく過去作の短編集。自分が読んだ事のないカテゴリに属される内容で、鮮烈な表題作は正に恋に落ちた感覚に陥り、読んでいる最中もドキドキ(想い人への胸の高鳴りと同)が止まなかった。佐藤究さんの文体は過不足なく、大変美しい。

2024/06/16

表題作の圧倒的論理展開！

最初にあのキラーチューンを持ってこられたから、他のも同じ系統なのかと思ったら全然ジャンルの違うアソート。

それぞれ面白いんだけど、なんかテーマが欲しかったなぁ。

そして他の作品にも通ずる物語の拡げ方は秀逸だけどお片付けが汚い訳じゃないけど雑と言うか大味な所も佐藤究氏のお茶目さか。

それでも私が感じた隠れテーマみたいなのを言うと、それぞれ佐藤究氏が好きな古今東西の物語のオマージュをしてるのかな？って薄っすら感じた。格好良く言うとアンサーノベルみたいな。

表題のインパクトが強いだけに、何か共通のわかり易いテーマが欲しかった。