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ミトンとふびん
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2021/12/22 |
| JAN | 9784103834120 |

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商品レビュー
4
206件のお客様レビュー
短編集で、ちょうど自分も時期的に、いろんな場所で読んだ。空の上、ビルの6階、自宅、電車の中、 すべての場所で泣いた。変な人になってしまった。
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6作の短編集 ほとんどが身近な人の喪失を抱えている話だった。 自分の経験でも、抱えきれないほどの悲しみのなかにいるとき、何をみてもその人のことを思い出してしまい、どうしようもないことがある。 最後の章の言葉が印象的だった。 “どんなに他人と親しくなり、その人のことをわかったつも...
6作の短編集 ほとんどが身近な人の喪失を抱えている話だった。 自分の経験でも、抱えきれないほどの悲しみのなかにいるとき、何をみてもその人のことを思い出してしまい、どうしようもないことがある。 最後の章の言葉が印象的だった。 “どんなに他人と親しくなり、その人のことをわかったつもりになっても、結局その他人とは自分の中に生きているその人にすぎない。その人本人ではない。” 生きている間だって、大事な人は私の中にいる大事な人でありその人本人ではないのだから、 亡くなったって、私の前から急に消えたって、私の中にいる大事な人はいなくならない。ただ、その人はもう更新されない。 これから先の人生、また大きな悲しみに暮れたときは、この言葉を思い出すのだと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
金沢、台北、ヘルシンキ、ローマ、香港、八丈島。 見知らぬ街角で、悲しみが少しずつ小さな幸せに変わっていく短編集だった。 収録された6編のうち、ほとんどの作品で、登場人物の誰かが大切な人の死を背負っていた。母を亡くした人、恋人を亡くした人、友人を亡くした人。喪失の形はそれぞれ違うのに、読み終えるたびに、どこか同じ場所にたどり着くような感覚があった。 大切な人を亡くした痛みは、簡単には埋まらない。 それでも人は、自分で思っているよりも全然強くて、なんとか前を向いて進んでいくことができてしまう。そのしぶとさというか、生き物としての回復力みたいなものを、この短編集を通してずっと感じていた。 派手な事件は起きない。旅先の風景と、ちょっとした会話の積み重ねだけで、物語は進んでいく。それなのに、読んでいるこちらの心の奥まで、じわじわと入り込んでくる文章だった。何でもない日常の一部に、人間の優しさや温かさが溢れるくらい散りばめられている、そんな作品だと思う。 私は吉本ばななさんの描く「生」に、昔からとても惹かれてしまう。 それは、ばななさん自身が後書きなどで時折見せる「弱さ」や、生に対する執着の薄さ、そこから滲み出る言葉の不安定さがベースにあるからかもしれない。強い言葉で断言するのではなく、迷いながら、揺れながら紡がれる文章だからこそ、届く場所がある気がする。 表題作「ミトンとふびん」では、母親たちに結婚を反対され続けた新婚夫婦が、極寒のヘルシンキでふと触れる他人の優しさに救われる場面が印象的だった。誰かが意志を持ってそっとしておいてくれること、それだけでこんなに安心できるものなのかと、静かに胸に残った。 「SINSIN AND THE MOUSE」では、台北を訪れた主人公が、まだ小さくしか動かない感情の中で、ふと差し出された小さな感謝を、まるでふりかけのように心いっぱいに受け取っていく描写があった。悲しみは急には消えないけれど、そういう小さなものの積み重ねで、少しずつ元に戻っていけるのかもしれないと思わせてくれた。 読み終えたあと、少しだけ世界の見え方が変わった気がした。 何かを積み上げても、いつかは失ってしまう。それでも人は、また積み上げようとする。そのことの意味を、静かに教えてくれる一冊だった。
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